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聖女、対策考える



「そろそろいいですか?」


メリアによる説教が思いのほか長く続いて、日も暮れてきそうなので、ここらで止めることにした。

メリアも私を待たせていることもあり、スッとやめた。


魔王が凄く痩せ細くなっているように見えた気がする。


「すみません。そういえば要件がお有りでしたね」

「あぁ、そうそう。実はね」


私は今回の村の件、病の件に関して事細かく説明した。


「むむ、そんな病気は知らぬ、メリアは?」

「私も存じ上げません。恐らくは新種、もしくは人間の方から流れてきたものかもしれません」

「やっぱりそうだよねぇ」


二人が知らなければ表立って知られているものではない。

ただたんに知らないだけの可能性もあるにはあるが、それはほぼないだろう。

理由?ある程度何でも知っている魔王様と噂系統にはお強いメイドさんだ。

かすりもしないのはないだろう。


勝手な偏見だけど。


「今回はたまたま私がいたから良かったけど、別の村にも同じのが発生してたら多分今から調べてギリギリになると思うの」

「なるほど。それを治すにはリーリアを頼らないといけなさそうだ」


いや、それほどでも。


「褒めてはいませんよ?事実を言っただけです」


はい、すみません。


メリアさん、辛辣。


「むむ、これは早急に対策と調査が必要だ。メリア、お願いできるな」

「お任せを」


シュバッ、って音がするような動きで姿を消した。

メイドさんってやっぱりそんな感じなんだぁ。


私の家のメイドも同じような人だったのかな。

そう思うとメイドって怖い。下手したら寝首かかれそうって、それはないか。


「さて、結局、その病はなんなんのだろうか」

「それはよくわからない。聖女の魔法はほぼ全てに効果を与えて治すから私自身何がまではわかってないんだよねぇ」

「厄介な。とりあえずはリーリアが協力してくれるからいいが……この先が心配だな」


私がいなくなれば、また流行れば領土中に拡がって死者が多数出るだろう。

それはどうにかして防ぎたい。


「薬は何かわからないからなぁ、市販させるにはちょっと無理かなぁ」


つい、独り言的に言葉を溢した。


「そうだなぁ………ん?リーリア今何って言った?」

「えっ?薬は何かわからないからな?」

「それじゃなくてそのちょっとあと!」

「えっと、市販させるにはちょっと無理かなぁ、だよ?」


少しの沈黙が流れた。


「市販させるわけじゃなければできるのか?」


えっ?できるけど?

けど、それじゃあどうしようもなくない?

絶対に手の届く額じゃないよ?もちろん手数料人経費を全て抜いて材料費だけの話。


「うん」

「ふぅ。なんとかなりそうだな」


えっ?なりますかね?


「えっ、だって超高いよ?」

「金なら税から引けばいい。最悪我の私財を出せば良い」


そ、そうですね。そういうもんですかね?


確かに魔王のことを考えれば金なんて些細な問題だよね。

今までは金が高く付くからとか色々とイチャモンつけられて駄目だったからなぁ。


それでどれだけの人が救えたと思ってるのよっていっつも怒ってたけど、いつの間にか私も染められてたわけね。


自分が情けなく感じた。


「さて、いくら位になる?」

「人口は?」

「一億三千万人。予備なども含めてこの二倍」

「そうだなぁ。白金貨五十枚程度だと思う」


白金貨というのは金貨一枚が一般家庭の一年の出費であり白金貨は一枚で国家予算一年分となる。


「ちなみに材料費がいくら位だ?」

「これの百パーセント」

「そう、って!材料費だけでいいのか!?」


驚くとこそこ?


「私自身お金は最低限でいいからね。人経費は私がすべて作ればオールオッケーだからね」

「本当に、いいのか?」


いいも何も、本人の提案で、最初からいいって言ってるのに。


「もちろん」

「そうか。なら、手伝えることはいくらでも手伝うぞ」


よし、張り切りますか。

これから始まる制作の日々に少し苦笑い気味になりながらも、私は力強い笑みを作った。



「まず必要なのは、人口の十分の一の数の吸帯きゅうたい石」


この石は魔力を吸い、貯める性質を持つ。

他にも似たような性質はあるがこの石が一番効果が高いものだ。


「ふむ。それならばたくさん地下に置いてあるな」

「そう、置いてある??えっ、あるの?」


嘘でしょ?これが一番高いのに。

あれ?ちょっと待てよ。

確か吸帯石って、魔王領が特産地だったっけ……。


「あるも何も腐るほどあるぞ」

「……なら、さっきの嘘。もっともっと安くなる。何なら一般に売れるかもしれないわ」

「えっ?!」


私の知ってる相場はここの相場じゃないの忘れてた。

何なら他の素材ももしかしたら安いかもしれない。

そうなれば超安く売れる!

市販、できるかもしれない。

この薬の一番の問題、コスパを解決できてしまうかもしれない!


「ちょっと待って、今使う素材書き出すから」


そうして紙に使い素材を全て書き出した。


紙を受け取り、それを全て読むとニカッと笑い


「ほぼ全て、この城に置いてあるぞ!」


そう告げた。


あっ、解決したわ。


今回の問題解決のお知らせだった。




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