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エピローグ(それぞれの結末)
娼館の屋根裏部屋から一人の女が飛び降りた。
「ログアウト」
女の最後の言葉は何者にも届かなかった。
聖女の娘を間違いで捕縛した近衛騎士は、魔力確認などでの本人確認が不十分だった事をとがめられ、近衛から外されてシュバルト教が開発を進めている未開地の魔獣討伐隊に配属された。
同行していた学園の生徒は卒業後本人の志願により騎士として同隊に配属される予定だ。
王太子殿下は内輪で国王陛下に叱責されただけだが、辺境の救済を援助しているシュバルト教へ個人資産から寄付をおこなった。
カルテ伯爵は今どこにいるのかわかっていない。
いなくなった娘を探しに行っているとか、世をはかなんで姿を消したなど色々な噂が流れてはいるが事実は不明だ。
現在のカルテ伯爵領は継承権第三位である伯爵の妹夫妻が呼び戻され、実際の政務をおこなっている。
妹の夫は小さな商会を経営しており、人脈と正しい金銭感覚でなんとか領地をまとめているそうだ。
そして四十年の歳月が流れた。
「ありがとう」とベッドに横たわる老婆は笑顔で言った。
「いかないで」と教会の子供たちが泣いた。
少し離れた場所には神官服を着た人たちが立っている。
老婆はもう一度「ありがとう」と言った。
その後しばらくして、街にあるすべての教会の鐘が鳴り響いた。




