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29 ヴァイオレットの恋

こんな時間にまだ残ってる人いるのね。先生かしら?



「・・何度も足を運んで頂いて申し訳ないのですけれど、私の身の丈には合わない役職ですので・・」

「・・僕は、ヴァイオレット、君のカリスマとリーダー性に期待してる。それに・・」


あれ?ヴァイオレット?帰ったんじゃないの?


そっと教室を覗くと、ヴァイオレットと、背の高い茶髪の男子学生が向かい合って立っていた。あの人は確か・・。

じっと見過ぎたせいか、教室内にいたとヴァイオレットと目が合う。


「あ、アリシア!待たせてごめんね!ではジェームス様、友人を待たせておりますので失礼いたします。」


ヴァイオレットはアリシアに足速に近づくと腕を引っ張ってズンズンと廊下を歩いて行く。


「また話をしよう、ヴァイオレット。」


ああそうだ、あの人、現生徒会役員のジェームス・ブレイク様だ。侯爵家の次男でかなり優秀だって聞いたことがある。


「・・ごめんね、アリシア。だしに使っちゃって。何度も断ってるんだけど、あの人なかなか諦めてくれなくって。」


「生徒会役員のこと?」


アリシアが尋ねると、ヴァイオレットは微妙な顔をして小さく頷いた。


「私、正直、ああいう人間関係が面倒くさそうな所に入りたくないのよ。生徒会は社会の縮図、なーんて言われてて。この歳で貴族内の派閥の御輿に担がれるなんてまっぴらよ。私は学園生活をお気楽に楽しみたいの!」


アリシアはヴァイオレットの話にうんうんと頷いた。


ヴァイオレットは、華やかで素晴らしい社交術があり面倒見も良いので周りから慕われている。けど実はかなり一匹狼的な性格で、面倒くさいことも大嫌いだ。


「でも、辺境伯家の次期女当主で、学生ながら化粧品事業も成功させてて、しかもこんなに美人じゃジェームス様でなくとも担ぎたくなるのはわかるわ。」


「もうっアリシアまでそんなことを言って。生徒会は名誉好きなお坊ちゃん達にお任せするわ。どうせあの4馬鹿たちが立候補するでしょ。」


イザークにボールにゴッグにチャールズが組織運営・・想像すると割と怖い。


「とにかく私はやらないわ。」


ばっさりとヴァイオレットが言い切る。

あれ?なんだろう。やりたくないのもあるんだろうけど、何かいつものヴァイオレットと違う気がする。


私的には向いてると思うんだけどなあ。


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