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27 アリシアの自由

「私は、生きていても、良いの?」



「君がいなければ。」


マックスはそう言って優しく、優しくアリシアの髪を撫でた。


目の前に暖かな明かりが灯った気がした。


ずっと暗闇の中を1人手探りで歩き続けていた。

一歩先は崖なのではないかといつも不安だった。


不安だらけの覚束ない足下に光が射すと、色鮮やかな緑の大地がそこにはあった。


そんな気持ちになった。




マックスさんが、いつの間にかお茶を淹れ直してくれていた。

のどを通るお茶の熱さと優しい香りが身に染み渡る。


「・・美味しい。」


アリシアはそう呟いて目を細めた。


「少しは落ち着いた?」


その問いにコクンとアリシアは頷いた。

マックスは、そうかと口元を弓なりにした。


「君は、君の目標を持った方がいい。」



アリシアはマックスの言葉に少し顎を上げた。



「アリシア、君は将来、何になりたい?」



唐突な質問に小首を傾げる。


私の、将来?

私の将来は学園を出たら婚約者と結婚してお互いの家の繁栄のために、、、


「それが、君のなりたいものなのかい?」


だって、もう家同士で決まっていて私には選ぶ余地が何もないし、、、貴族ってそういうモノなんでしょう?、、、


「じゃあ質問を変えようか。もし、君が、貴族の娘でも何でもなくて、人と違った面もなくて、何かに制約されることなく何でも自由に選べるとしたら、アリシア、君は何をしたい?」



ーー自由。そんなもの、ある訳がない。前も、今も、これからも。

けど、もしも。もしも、何者からも自由だったら。


私は。


「・・本が、たくさん読みたいわ。」



うん、それから?と柔らかにマックスが頷く。


「本に携われたら嬉しいわ。」


そうなんだね。それから?


「その知識を使って何かできたら楽しそうだわ。」


うん。それから?


マックスは、独り言のようなアリシアの言葉を優しく受け止めてくれた。

そして、たくさんの言葉の最後にアリシアが言ったのはー



「もし、私が何にでもなれるなら。私は、私みたいに迷い悩む子を導ける先生になりたい。」



それを聞いたマックスは、とても嬉しそうに笑った。



「それが、誰にも侵すことのできない、君だけの自由だよ。」



そう言うと、クシャクシャとアリシアの髪を撫で、ソファを立ち上がって自分の髪を掻き上げた。


いつもボサボサ髪の猫背姿しか見たことのないアリシアは、立ち上がったマックスの背が思いのほか高く、髪を掻き上げてあらわになった顔の輪郭がとても綺麗だったことに驚いた。


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