第1話 天界の裁き
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空は青くなかった。
それは白だった。
あまりにも白く、色も温もりも、まるで全てが削ぎ落とされたような世界。
アエリスはその場に立ち尽くしていた。
足元には光の地面が広がり、まるで生きているかのように微かに揺れている。
周囲には無数の天使たちがいたが、誰一人として彼に優しい視線を向けてはいなかった。
そこにあるのは、ただの裁きだった。
「アエリス……第三光の子よ。お前は天界の均衡を崩した罪に問われている。」
声は“上”からではなかった。
いや、“上”という概念すら意味を持たない。
天界は常に、どこからともなく語りかけてくる存在だった。
アエリスはゆっくりと顔を上げた。
「……俺は何もしていない。」
その声は震えていなかった。
だが、その後に訪れた沈黙は、どんな言葉よりも重かった。
やがて光が降りてくる。
優しい光ではない。
すべてを“消す”ための光だった。
空間に文字が浮かび上がる。
それは法そのもののように、揺るぎないものだった。
判決:神の均衡崩壊 —— 即時追放
アエリスは目を細めた。
「……裁判もなしに、か?」
返答はない。
最初から決まっていたのだ。
天界において“真実”とは探すものではない。
与えられるものでもない。
ただ、押し付けられるものだった。
その瞬間、足元に黒い裂け目が走る。
扉ではない。
門でもない。
“無”そのものだった。
アエリスの体は引きずり込まれるように落ちていく。
初めてだった。
彼が「落ちる」という感覚を知ったのは。
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ネロス
衝撃。
だが、地面にすぐには届かない。
空間そのものを貫くように落下し、何層もの現実を突き抜ける感覚。
そして、ようやく――
地面に叩きつけられた。
静寂。
灰色の世界。
動かない雲。
遠くに崩れた遺跡。
そして、この世界には何かが“欠けている”という感覚。
アエリスはゆっくりと立ち上がる。
「……ここは……」
その瞬間、頭の中に声が響いた。
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【システム起動】
世界:ネロス
基本ルール:この世界では誰も生まれながらにスキルを持たない
条件:すべてのスキルは試練によって獲得される
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アエリスは眉をひそめた。
「システム……?」
天界には存在しない言葉だった。
冷たい風が吹く。
その時――音がした。
背後だ。
ゆっくりと、何かが近づいてくる足音。
アエリスは振り返る。
廃墟の影に、“何か”がいた。
人ではない。
この世界の最初の現実が、そこにあった。
――ここでは、生きることすら“スキル”だった。
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