高天原と因幡 通話
「——はい、もしもし。因幡です」
「お疲れ~、高天原だよ~。いきなりだけど、桃ジュース作戦はうまくいった?」
「はい、おかげさまで上手くいきました」
「マジか! 良かった~」
「私もそのときの様子を見ていましたが、想像以上に楓花が活躍してくれました。彼女と出会えたことをとても光栄に思いますよ」
「そうなんだ~、因幡くんにそこまで言わせるとは——あー、俺も見たかったな、楓花の活躍。で、ドラマ撮影も順調?」
「はい、順調です。このままいけばクランクアップまで良い撮影期間になるでしょうね」
「そっかそっか、咲堂さん元気そうだった?」
「ええ、もう悪い気は感じられません——そして楓花の話のまた聞きなのですが」
「うん」
「咲堂樹里さんは、御剣社長からもらったドリチャコを飲んで体調が悪くなったと言っていたようです」
「……ほうほう」
「さらに言うと、彼女がもらったドリチャコのフレーバーが苦手な味だったという理由により、楓花がもらっていたものと交換をしていたようです」
「ってことは、間違ってたら楓花が飲んでた可能性もあったってことか。怖いねえ」
「これが何を意味するのかは現時点で判断はつきませんが」
「ちょっと何とも言えないよねえ。それに関連する話なんだけど、この間預かったE&Fエレメントの例のブツたちあるでしょ? ドリチャコ」
「ありますね」
「そのうちの錠剤の方を、食品の研究してる理系の知り合いに頼んでみたわけ。食品の原材料分析ってやつだね」
「本当にあなたは人脈が豊かですね」
「へへっ、恐れ入ります——それはさておき、あれの中に何が入ってたと思う?」
「炭が主な原材料でしょうか」
「そうだね、ほとんどはメインの栄養成分の炭だとか、錠剤固めるためのゼラチンだとかだったんだけどさ。でも、量はごく僅かなんだけど紙も混ざってた」
「は? 紙?」
「うん、ペーパーの方。紙を極薄い繊維状にしたものだったんだけどね。実際に販売されてる成分表示も確認したけど、『紙の繊維』なんていう表記は一切なかったんだよね。怪しくない?」
「私は食品関連には詳しくありませんが、それが本当なら成分表示法違反などに匹敵するのでは?」
「俺もそう思う、これはかなーり闇が深そうな気がするよ」
「ドリンク剤の方はどうだったんです?」
「そっちの方はまだ調査中——でも、同じように怪しい気がするね」
「——紙、だとしても何の紙なんでしょうね」
「本当にねえ——作った人間は何考えとるんやろうね」




