勇気を振り絞って
ある日、龍儀はいつものように屋上にいるとやっぱり桜もいた。
「また、ここか。もしかして、イジメにでもあっているのか。」
「余計なお世話。」
二人が話しているとまたあの時と同じ連中がやってきたので桜はとっさに龍儀に抱きついた。
「!」
その姿を見たリーダー格の男子校生が龍儀に突っ掛かってきた。
「おい、お前こいつの何なん?」
「クラスメートだ。」
「じゃあ、関係ないよな。」
そう言って男子校生が桜の腕を引っ張った。すると、桜は龍儀の腕を強く抱きしめた。すると、
「今、この人と付き合ってるから無理。」
桜は衝撃のカミングアウトをした。
「はぁ!」
もちろん、その男子校生は驚いていたが龍儀も顔はポーカーフェイスだったが内心ものすごく驚いていた。
すると、その男子校生は龍儀の胸ぐらを掴んできた。
「てめえ、何様のつもりだぁ!」
「これに様とかいるのか。」
龍儀はその男子校生の腕を掴むとおもいっきり男子校生の肘に自分の肘を当て、真後ろに曲げた。
「い、痛い!いたたたたたた!」
泣き叫ぶ男子校生を龍儀はただ見ていた。しばらくして手を離すと男子校生は腕を抑えながら龍儀に向かって叫んだ。
「俺にこんなことしてただで済むと思うなよ!」
男子校生達が屋上から消えると桜は龍儀から離れた。
「よし。」
「良くねぇよ。何、俺を巻き込んでんだ。」
「だってあの時言ってたじゃん。一度成功すると調子にのるタイプって。だから、あいつらが調子に乗らないようにしただけ。」
そう言って桜は屋上から教室に戻ろうとした。すると、ドアの手前で振り向いた。
「そうそう。さっきのあれ、私なりに勇気を振り絞ってやったことだから。」
桜はそう言い残して屋上から去った。龍儀がその様子を見ていると後ろに蛇谷が頷きながらやってきた。
「なんだ、蛇谷。」
「龍儀、あれ龍儀に気があるぞ。でなきゃあんな大胆な行動には出ない。」
「そうか。」
「それと、さっき龍儀がのした奴な。天倉市市議会議員の一人、金浦康志の息子、金浦康司だぞ。」
「めんどくさい奴に絡まれたなぁ、あいつも。」
龍儀が屋上から出ようとすると蛇谷が肩を叩いた。
「龍儀、一回あの子をデートに誘え。」
「は?」
「好きなんだろ。だったらデートの一回ぐらい誘わないと進展しないぞ。」
蛇谷だ龍儀の肩を叩きながらデートに誘うように言ってきた。もちろん龍儀はデートなんかしたことないのでデートプランはもちろんのこと、誘い方すらわからなかった。
「龍儀、ここは男らしく勇気を振り絞ってデートにさそえ!」
「どうやって?」
「俺の言う通りに言えば大丈夫だ。」
そう言って蛇谷は龍儀に耳打ちで誘い文句を教えた。
「蛇谷、それお前だから大丈夫であって俺は完全に駄目なやつじゃねぇか。」
「一度試してみろ。」
蛇谷に言われた龍儀はしばらく考えた後仕方なく蛇谷に言われた通りにすることになった。
そして、次の日
いつも通りに屋上にいると桜が屋上にやってきた。龍儀は桜を見た後、向き合った。その様子を蛇谷と月影がこっそりと見ていた。
「桜、今週の日曜日、暇なら俺と付き合ってくれ。」
「・・・は?」
「・・・」
しばらく沈黙が続いた。蛇谷も額に手を当て呆れていた。
「なんでいきなり告白?」
「いや、なんというか、今週の日曜日に遊園地とかで一緒に遊ばないか?」
「龍儀、全然教えたことと違う感じになっているんだが。」
「・・・大丈夫なのか?」
二人が影から龍儀を見たまま心配していた。当の龍儀は「あー」や「えーと」を繰り返してなんとか言葉を繋げようとしている。
すると桜はクスッと笑っていた。
「いいよ。今週の日曜日は暇だから付き合ってあげる。」
「あー、ありがとう。」
「じゃあ、今度の日曜日ね。」
そう言って桜は屋上から去って行った。その後、蛇谷と月影が龍儀のところにきた。
「全然駄目だったな。」
「言えるわけねぇだろ。今週の日曜日、俺と一緒に遊園地デートしないか。なんて。」
「それすら言えないとは。」
「あれでも勇気を振り絞ってデートに誘ったんだぞ。」
「でもあの子はOKしたぞ。」
「そう。つまり、神室桜は龍儀に気があるってことだ。だから龍儀、今度の遊園地デートは絶対成功させよう。場所はちゃんと取っている。」
蛇谷はそう言うとある遊園地のチケットを龍儀に渡した。
「これ、今人気の遊園地だろ。」
「さすがに龍儀も知ってたか。そう、ここの遊園地は人気があり過ぎて毎日たったの200人しか入ることのできない。その遊園地のチケットだ。」
「どうやって手に入れた。」
「企業秘密。」
龍儀は蛇谷をジーっと見ていたがそれ以上は聞くことはなかった。
そして、デート当日。東京にある遊園地に龍儀と桜がいた。その遊園地には蛇谷、月影、栄龍組の組員が一人、そして、鬼城達がいた。




