ハイエルフの国 フィリルティア
メナールを出発した龍儀一行はルリカの案内のもと、北に進んでいた。
「そういえば、フィリルティアってどんな国ですか?」
「そうねぇ、一言で言えば静かな国かな。フィリルティアはルドザニア王国の北に位置するハイエルフだけの独立国、人口は約1000人。平和に暮らしていたわ。あの日までは。」
ルリカはそう話しながら悔しそうに握り拳を作った。
「ルリカさん・・・」
メナールを出発して数日
龍儀一行はフィリルティアの手前まで来ていた。龍儀一行が向かう先に大きな木がいくつか並んでいた。
「あの木がフィリルティアのお城みたいなものよ。あの日まではあそこに住んでいたわ。」
「なるほど、確かにここまで人が来ないところならバレることもないというわけか。」
「えぇ、でもバレた。そして、人間達が襲ってきた。」
話しているうちにフィリルティアに着いた。その国は栄えていたとはいえないほど閑散としていて廃墟だらけだった。龍儀一行がルリカが住んでいた木に近づいていたら、廃墟から数人のハイエルフが現れた。
「え、みんな!」
あわてて駆け寄るルリカ、ハイエルフ達もルリカのもとに駆け寄ってきた。
「大丈夫だったの?」
「はい、なんとか私達だけ逃げてここまで来れました。」
「良かった。」
ホッと胸を撫で下ろすルリカ、ハイエルフ達はそんなルリカを凝視していた。
「良かったですね、ルリカさん。」
「えぇ。」
「・・・。」
「どうしたの、リューギ?」
龍儀がハイエルフ達を見ているとハイエルフ達はいきなりルリカ達を《フォレストバインド》で拘束しだした。龍儀はすぐ拘束を拘束を解き、ルリカ達を助けようとしたが、ハイエルフ達とは違う方向から炎が飛んできた。それを避けた龍儀がきた方向を見ると知らない男達がいた。龍儀が睨んでいるとリーダーらしき男が笑ってきた。
「やっと見つけた、フィリルティアの姫!何年も雲隠れしやがって、面倒だったぜ。」
「な、なんでここに人が?」
「大方、そこのハイエルフ達と密約でもしたんだろ。」
「正解、そこのハイエルフ達には自分の国の姫を差し出す代わりに自由にする、とな。」
「普通はそんな密約なんぞ簡単に破られるものだが。」
「そうよ!みんな、目を覚まして!」
「うるさい!俺達がこんな目にあっているのに一人で逃げやがって。」
「違う!私は・・・」
「ルリカ、何言っても無駄だ。そう思わないと生きていけないほど追い込まれてる。」
ハイエルフ達の目には光がなく、ただ怯えていた。その姿を見て男はニヤリと笑い龍儀に顔を向けた。龍儀はすかさず男に拳銃を向けたがそれより早く男は炎をだした。拳銃を弾かれると龍儀は前に出ようとしたが、今度は龍儀の行く方向に炎をだした。
(こいつは・・・未来予知か?)
龍儀は拳銃を拾いつつ、男に近づこうとするが、男は龍儀がどう動くかわかったかのように龍儀の行く方向に炎を繰り出した。近づくことができない龍儀は距離を取った後、息を整えた。
(なんとかあのバカを倒してルリカ達の方にいかないと。)
「私をバカにした罪は重いぞ。」
「!?」
(もしかして。なら、少しの被弾は覚悟して突っ込む。)
「愚策だな。」
一直線に突進する龍儀に男はピストルを向け、撃った。乾いた音とともに弾は龍儀の胸に命中した。
「リューギ~!」
ライカ達が叫ぶ中、龍儀は踏ん張り拳銃を向けたが隣にいた男が風を起こし、龍儀を遠くへ吹っ飛ばした。その瞬間、《フォレストバインド》を焼いたリチェリアが男達に向け《アイスランス》を放った。
「へぇ、タウロ、狙いはお前だ。」
「はい。」
リチェリアが狙ったタウロと呼ばれた男は意図も簡単に避けた。リチェリアが追撃しようとすると男はピストルをライカ達に向けた。
「いいのかい?こいつらがどうなっても?お前は強い。強過ぎる。だから、卑怯な手を使わせてもらう。大人しくしろよ。」
男の脅しにリチェリアは武器を捨てた。その後、男達はリチェリアを気絶させ暴れるライカ達と一緒にどこかへ運んで行った。その様子を見た後、男はハイエルフ達の方に向かった。
「いや~、助かったよ。まさか、あれを鵜呑みにして本当に差し出すとはねぇ。」
「え?」
「だから、あのお姫様はあんた達は見捨てて逃げたわけじゃない。奴隷になった仲間を助けようとしたんだぜ。実際に、何人か逃げられたしな。それを・・・笑えるぜ。自分達の希望を自分達で消すんだから。どうする?このまま自由になるか、お姫様と一緒になるか、どっちがいい?」
「あ、あぁ。」
「バードル様。」
「ん?」
「吹っ飛ばした男はどうしますか?」
「あぁ、あれか。拘束しても撃っても襲いかかる奴なんか奴隷にいらねぇし、そもそもあんだけ吹っ飛ばしたら普通は死ぬ。ほっとけ。」
「かしこまりました。」
「さぁて、行こうか。奴隷ちゃん達。」
一言も発することなくハイエルフ達は連れていかれた。
フィリルティアから数km離れた森の中、運良く生きていた龍儀だが、全身を強く打ち満身創痍だった。そんな龍儀のもとに一人の顔が犬の男が近づいてきた。




