哀色から愛色へ
戦争後の龍儀のステータス
《栄 龍儀 Lv70》
HP 19898/19898 MP 614/614
AT 1100 DF 519 SP 637
アビリティ[自由]
どんな束縛も受けず、どんな呪いも効くことはない
アクアライトへ帰る途中
「・・・ありがとう。」
「どうした、急に?」
「・・・それだけ。」
「そうか。」
静かに礼を言うリチェリアに龍儀は何も聞こうとしなかった。そして、アクアライトが見えてきた。
エンジェルマリンに着陸するとメンバー達が泣きながら駆け寄ってきた。
「マスタ~!」
「お帰りなさい、マスター!」
「ただいま、みんな!」
ディーネに抱きついて泣くメンバー達。彼女達が龍儀に気がつくと龍儀に抱きついてきた。
「龍儀さんもお帰りなさい!」
「あぁ、ただいま。」
龍儀の帰還にメンバー達が喜んでいるとラッガー達もやってきた。
「やったぜ、龍儀!さすが、俺が気に入った男!」
「バカ、まずはマスターに挨拶でしょ。」
「いや、大丈夫だ。それより英雄達の帰還を喜んでやってくれ。」
「おぅ!」
「バカ!」
「龍儀さん。」
「ん?」
「はじめまして。セインフィーネ、アクアライト支部リーダーのトルクラ・バリアスです。あなたのことはラッガー達から聞いています。ありがとうございます。」
「龍儀さん、私からも街を代表して改めてありがとうございます。」
「あぁ。」
「そうだ、龍儀!約束していた旨い店だが、この街の店は全部旨いからよぉ、選べなかった!だから、全部予約したぁ!」
「え?」
「今から街一番の旅館に行くぞぉ!そこで歓迎会だぁ!」
「「やった~!」」
楽しくしている龍儀達を後ろからそっと見ていたリチェリアにレオナルドが声をかけた。
「どうだい、伝説の傭兵さん。」
「・・・知っていたのね。そうね、意外だった。あの人があそこまで人望があったなんて。でも、何故か分かる気がする。」
「男気ってやつかもな。みんな、龍儀さんの新しい仲間、リチェリア君だ。仲良くしてやってくれ!」
「は~い!」
「おぅ!よろしく!」
「綺麗!」
「!」
「行ってこい。」
「・・・でも。」
「リチェリア!来い。」
「・・・うん。」
「よぉし、宴会だぁ!」
「「おぉ!」」
旅館「オーシャンコール」にて
「どうだ、龍儀!うめぇだろ!」
「あぁ。」
「リチェリアさんって凄く美人よね。羨ましい~。」
「あ、ありがとう。」
「リューギ!一緒に飲も!」
旅館の宴会場で賑やかに食事を楽しむみんな。歓迎会も佳境に入ろうとしている時、レオナルドが立ちあがった。
「楽しんでいるところすまない。セインフィーネのメンバーはアクアライト支部に来てくれないか。」
「え~。」
「わ、分かりました。」
「マジかよ。」
「ほら、ラッガー行くよ。」
「皆さんは楽しんでいってください。」
そう言ってセインフィーネのメンバーは全員退席した。
セインフィーネのメンバーが居なくなった後、ディーネが宴会場のステージに立った。
「え~、まぁ長苦しい話は嫌いなのでここはこの戦争を終わらした立役者、栄龍儀に改めて乾杯の音頭を!」
「聞いてねぇぞ。」
「いいから、いいから。」
ディーネに唆され、ステージに立つ龍儀。
(俺が栄龍組の組長になった時の挨拶以来だな。)
見渡す限り期待の目をしているので少し緊張したが、昔のことを思い出しながら口を開いた。
「え~、話にあがった栄龍儀です。俺もこういうのは得意じゃないので手短に話をしようと思います。俺はここに来て日が浅く、何も知らない人間でした。そんな俺がここにいるのは俺を迎えてくれたこの街の人達やセインフィーネ、一緒に旅してくれたグレンやルリカ、そして、あの日初めて会った俺についてきてくれたライカがいたおかげです。そんなみんなとの出会いに、乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
乾杯して飲んでいるライカ達 (もちろん、ライカとグレン達未成年はオレンジジュース)にステージから降りた龍儀がやってきた。
「乾杯の音頭はあんなんで良かったか?」
「いいよ、いいよ。最高だよ!」
「リューギ~!あたし、嬉しかった!」
「あぁ、お前にはいろいろ教えてもらったからな。」
楽しく飲んでいる龍儀達を見てリチェリアは少し寂しそうに飲んでいた。そんなリチェリアを見たディーネは少し笑い龍儀に近づいた。
「そうだ、龍儀。この旅館の温泉は最高だから、入ってきなよ。」
「あぁ、わかった。」
龍儀とグレンが温泉に行くのを見届けたディーネは襖を閉め、笑った。
「よし!みんな・・・」
温泉にて
「うわ~、大きい。」
「さすが大浴場。」
龍儀とグレンは体を洗った後、ゆっくりと湯に浸かった。
「気持ちいいですね。」
「あぁ。」
「そういえば、龍儀さんに聞きたいことがあったんです。」
「なんだ?」
「どうして龍儀さんは・・・」
二人が浸かっている時、後ろからガラッと音がしたので振り向くとディーネ達が入ってきた。もちろん、裸で。
「な、なななな何ですか!」
バスタオル1枚でくるディーネ達に赤面して湯に顔を沈めるグレンに対し、龍儀は全く無反応だった。
「ありゃ?もしかして、私達がくるの知ってた?」
「いや、ここにくる時に入口が二つあったから混浴かなと思ってな。あとはあんたの性格を考えたら予想はできたってだけ。」
「ウソ~。それで私達の体はどうよ?」
「あぁ、魅力的だよ。ただ、こういうのに慣れてしまってるだけだ。」
「そう、残念。慌てる龍儀が見たかったのに。」
体を洗ったらライカが龍儀の膝の上に座った。それから龍儀とグレンの間にディーネが、正面にルリカが、周りにエンジェルマリンのメンバーが座ってきた。
「何やってるの、リチェリア。折角、ここ空けてあげたのに。」
そう言って龍儀の左隣にリチェリアを誘った。
「いや、何故か龍儀の隣は少し恥ずかしい。」
「え~。じゃあ、私達が独り占めしようかなぁ。」
「・・・わ、わかった。」
そう言い恥ずかしながら龍儀の隣に座るリチェリア。
「す、凄い体の傷ね。」
「そういえば、何で最高位回復魔法で傷を治さないの。」
「そういえばそうね。」
「私も気になります!」
「・・・そうだな。この傷はな、俺が昔率いていた栄龍組の仲間を守りぬいた誇りであり、俺が逃げることなく戦った証であり、あいつらと生きた思い出でもあるんだ。だから、こいつを消すわけにはいかないんだよ。」
「「おぉ~。」」
龍儀の傷を知ったディーネ達は次々にいろんな質問をし始めた。そんな中、龍儀は少し違和感を感じディーネに質問した。
「そういえば、グレンはどうした?」
「あれ?グレン?」
グレンを探しているとディーネの隣からプクプクと泡が出ていた。
「グレンー!」
あわてて湯からグレンを出すディーネ達。グレンは完全にのぼせていた。
「あー、耐えれなかったか。仕方ない。俺はグレンを部屋に運ぶ。あとは、女同士でな。」
そう言って龍儀はグレンをおんぶして温泉を後にした。残ったディーネ達はリチェリアに質問をし始めた。
「で、どうなの?リチェリア。」
「何が?」
「何がじゃないよ。龍儀のこと好きなんでしょ。」
「!」
「隠しごとは無しよ。見たら分かるんだから。宴会の時からずっと龍儀を見ていたの知っているんだから。」
「・・・うん。初めてかな、こんな気持ちになるの。今までずっと戦うことしかしなかった。楽しみなんてなかった。私に近づく男達はみんな力か体しか求めてなかったから。あの時、家族にならないかと聞いてくれたのが嬉しかった。恩恵なんていらない。龍儀と同じ時を生きたい。龍儀と同じ時間を歩みたい。この止まった心を龍儀に進めて欲しい。そう思ってしまったの。」
「くぅ~。それはまさしく恋!間違いなく愛よ!」
「・・・恋とか愛とかよくわからない。」
「じゃあ、私達が教えてあげるから!応援するから!行きましょう!」
「行こうよ、リチェ!」
「リチェ?」
「うん。リチェリアだからリチェ!どうかな?」
「・・・それもいいわね。」
「やった!」
ディーネ達に後押しされたリチェリアは何かを決心していた。
旅館客室内、のぼせていたグレンを布団に寝かせた龍儀は月を見上げていた。そこに、リチェリアが入ってきた。
「ん?どうだった、リチェリア?楽しめたか?」
「えぇ、あなたのおかげ。ありがとう。」
「俺だけじゃない。」
「・・・ねぇ、隣いいかな?」
「いいぜ。」
龍儀の隣に座るリチェリア。少しもじもじしながら龍儀に話かけた。
「ねぇ、あの時私に家族にならないかと聞いてくれたよね。嬉しかったよ。」
「あぁ、お前が寂しそうだったし、それに・・・」
「それに?」
「・・・いや、お前に言うことじゃなかった。」
「気になる。」
「あぁ、お前があいつに似てたのもあった。けど、今はあいつはいない。もう、あんな思いはしたくない。だからってわけじゃないがお前と一緒になりたいと思っただけだ。」
「それでも嬉しかった。ずっと哀しかった私に光を、愛をあなたが見せてくれた。ねぇ、龍儀。私もあなたの思い出の中に入りたい。あなたと同じ時間を過ごしたい。どうかな?」
そう言ってリチェリアはおもむろに浴衣を脱ぎだした。
翌日
「うーん、昨日は何があったんだっけ?」
頭を抑えながら布団を出るグレン。周りを見てみると上半身が裸の龍儀がこっちに気づいた。
「おはよう、グレン」
「おはようございます、龍儀さん。」
龍儀に挨拶するグレンだったが龍儀の布団が不自然に膨らんでいることに気づいた。その膨らみがもぞもぞ動き、中からリチェリアが出てきた。全裸で。
「りゅ、龍儀さん、リチェリアさん。何やってたんですか!?」
「あー、いろいろ。」
顔を真っ赤にさせて部屋を出ていくグレンを静かに見ていた龍儀とリチェリアは少しして服を着た。
「結局、恩恵は健在だな。」
「えぇ、でもいつかは。」
「そうだな。」
「ねぇ、龍儀。」
「なんだ。」
「私のことはリチェと呼んでくれない?」
「・・・わかった、リチェ。」
「ありがとう。」
それから、エンジェルマリンのメンバー達と一緒に食事をとり、アクアライトを出発することになった。その間もグレンは顔を赤くしながら二人を見ていた。
「昨日は途中で抜けてしまってすまない。これからも君達を応援するよ。」
「龍儀、いつでも歓迎するからまたアクアライトに来てね。」
「龍儀さん、ありがとうございました。皆さんの御武運を祈っております。」
「龍儀!なんかあったら俺達を頼れ!いつでも力になるぞ!」
「あぁ、みんな、ありがとう。」
「そうだ、龍儀さん。君達もセインフィーネに入らないか?」
「ウソ!」
レオナルドの提案に驚くライカ達だが、龍儀は冷静に断った。
「勧誘は嬉しいがすまない。俺は、俺達でギルドを作ろうと思う。」
「そうか、頑張れよ。」
「すげぇな!ますます気に入ったぜ、龍儀!」
「いいわね、龍儀。新しいギルド、楽しみにしているよ!」
レオナルドやディーネ達からエールをもらった龍儀一行はそのまま旅に出た。
「なぁ、みんな。俺はギルドを作る。もう一度、家族を作りたい。俺の家族に、なってくれるか?」
「「「「もちろん!!」」」」
ライカ達は満場一致で龍儀の提案を受け入れた。
「で、ギルドの名前は決まったの?」
「あぁ、《栄龍組》。これが俺達のギルドだ。」
「いいじゃん、リューギ!」
こうして、ここにギルド《栄龍組》が誕生した。彼らの旅はまだ続く。
龍儀一行が出発する前日
「いきなり、セインフィーネ全員集合ってどういうことですか、マスター?」
「みんなに集まってもらったのは少し気になる事件があってな。」
「事件?」
「あぁ、みんなは覚えているか?8年前のヘイサゼオン領主、メレニス・ユーザードとルドザニア王国貴族、ゼルストリア・シルフォニア公爵殺害事件。」
「えぇ、知っていますわ。確か、その二人と護衛22人が殺害され生き残ったのは一人だけ。」
「あぁ、そいつの証言で犯人は獣人だとわかったが、まさか、そいつが嘘を!」
「いや、私が調べたが彼は嘘を言っていない。問題はマックスが調べたこれだ。」
そう言ってレオナルドはマックスが調べた資料を出した。
「この時使われた凶器が何か分からなかった。しかし、マックスが調べた結果、龍儀さんが使っていた武器とほぼ同じものだということが判明した。」
「!」
「まさか、龍儀が犯人だと!」
「いや、その可能性は限りなく低い。しかし、龍儀さんと同じ我々の知らない武器がこの時からあったのは確かだ。」
「嘘、でしょ。」
「このことは他言無用。もちろん、龍儀さん達にもだ。」
レオナルドの言葉でセインフィーネは緊張に包まれた。
此れにて桜色の戦争編完結です。
次からはフィリルティア奴隷解放編です。
お楽しみに。




