海色の街 アクアライト
ルリカをパーティーに加えた龍儀一行が森を抜けると、そこは辺り一面海が広がっていた。
「わぁ、キレイ。」
初めて海を見たライカはその光景に目を輝かせていた。一行が海沿いを歩いていると街が見えてきた。
その街の名は【アクアライト】海に面した街で面積は岩手県とほぼ同じ、海に長く面しているため港が多く、漁業が盛ん、常夏なのでビーチがあり、毎年海水浴客や観光客が多く訪れている人気の街でもある。
龍儀一行はアクアライトに向かった。
「ようこそ!海色の街、アクアライトへ!」
声の大きい門番に迎えられた龍儀達が街に入ると白いレンガ造りの家が並んでいた。街の中には人間だけではなく、亜人と呼ばれる獣人やエルフなども大勢いた。龍儀一行が大通りを歩いていると周りの人達が龍儀を見ていた。龍儀の格好と顔の傷はやっぱり目立つのだった。
一行がビーチに来てみると水着姿の観光客で溢れていた。ライカが目をキラキラさせて見ているとグレンが龍儀に
「龍儀さん、海、行きましょう。」
と、目をキラキラさせて言った。
龍儀は少し笑い、目をキラキラさせている二人を見て
「いいぞ。」
「「やったー!」」
ビーチに向かって走り出す二人、龍儀とルリカはそんな二人を見ていた。
「優しいのね。」
「あぁ、本当に父親になった気分だ。」
「それじゃあ、私はお母さんかしら?」
「ふ、恐妻家はごめんだぜ。」
「ふふっ。」
二人が笑いあっているとグレンとライカが戻ってきた。
「「そういえば、水着持ってなかった!」」
「気づけ。」
龍儀一行が水着ショップに入って見ると中にはオーソドックスなビキニやワンピース、少し際どい水着まで何でも揃っていた。ライカが水着を見ていると店員と思わしき猫の獣人と目があった瞬間、店員は目を輝かせながらライカに近づいてきた。
「いらっしゃいませ!何をご所望ですか!?当店ではお客様のご要望に答え、様々な水着をご用意しております!さぁ、あなたもご一緒にいかがですか!」
店員の迫力に押され、ライカとルリカは水着を試着し始めた。
ライカは白いスクール水着、ピンクのワンピース、フリル付きの水色のビキニ、水玉模様のタンキニ、青いセパレート水着などを試着し、ルリカは白と青のストライプ柄のシンプルな三角ビキニ、真っ黒なバンドゥビキニ、緑色のハイレグ水着、ピンクのレオタード水着、貝殻ビキニなどを試着した。ライカは終始ウキウキしていたがルリカは途中から恥ずかしそうに顔を赤く染めていた。
水着選びを終えた一行はビーチに向かった。ライカはフリルスカート付きのレオタード風ワンピース、ルリカは黒と白の胸の中心で結ぶタイプのバンドゥビキニとパレオ付きのハイレグカットパンツを選びビーチに向かった。グレンも緑色のサーフパンツを着ていたが龍儀はいつも通りの格好だった。
「龍儀さんは水着着ないんですか?」
「知ってるだろ、俺の体。」
龍儀の体には無数の刀傷や銃創があり、背中には刺青が彫ってあった。グレンはずっと思っていた疑問を龍儀に聞いた。
「龍儀さん、なんで・・・」
龍儀に質問しようとした瞬間、ライカ達の方から歓声があがった。二人がライカの方を見てみるとライカとルリカが大勢の海水浴客達に囲まれていた。
「キャー、可愛い!」
「もふもふしてる~!」
「ねぇ、触っていい?触っていい!?」
「あわわわわわわわ。」
「ねぇ、あなたもしかして、ハイエルフ?」
「え、えぇ。」
「すご~い!初めて見た。」
「暇なら俺達と遊ばね?」
「あなた、ウチに入らない?」
「す、すごい大きい・・・」
海水浴客達にもみくちゃにされる二人を見て龍儀は少し笑うとグレンの方を見た。
「グレン、助けてやれ。」
「僕ですか!こういうのは龍儀さんの方が。」
「この顔の俺が行ったら雰囲気台無しだろ?」
「うっ。」
龍儀達がそうこうしているうちに、一人の女性がライカ達に近寄ってきた。その女性は青い髪に青い瞳、スタイル抜群のモデル体型をしており、胸の中心に星が描かれた青いホルタービキニと青と白のボーイレッグを見事に着こなしていた。
「あなた達、その子達が困ってるでしょ。離れなさい。」
彼女がそう言うと「ハ~イ」と言って周りの人達は離れていった。
「大丈夫?ごめんなさいね。あの子達、可愛いものに目がなくてね。」
「う、うん!」
「えぇ、大丈夫よ。ありがとう。」
「そう、良かった。私はディーネ・アクエリス。エンジェルマリンのギルドマスターをしているわ。ところで、あなた達は二人でここに?」
「ううん。4人。」
「へぇ~、どんな人?」
「リューギとグレン!あそこにいるよ!」
ディーネがライカが指す方を見ると苦笑いで手を振るグレンとこっちを見ている龍儀がいた。
「あ、はははははは。」
龍儀の顔を見たディーネは強張らせた表情で笑っていた。
「ごめん!顔を見てついっ。」
「大丈夫だ。慣れた。」
「リューギは顔に似合わず優しいんだぞ。」
「ですね!僕も初めて見た時は凄く怖かったですけど凄くいい人です!」
「私も最初は恐ろしい人に見えたわね。」
「おい、お前ら・・・」
ディーネが手を合わせて謝っているとライカ達が顔について各々の感想を述べていた。
「そうだ。さっきのお詫びとあなた達が気に入ったからエンジェルマリンに招待したいんだけどどう?」
「やったー!」
「そうね、いいんじゃない?」
「行きましょう、龍儀さん。」
「あぁ、よろしく頼む。ディーネさん。」
「いいの、いいの。それとディーネでいいわ。堅苦しいの苦手なの。」
グレン達にせがまれた龍儀はディーネの提案にのり、エンジェルマリンに行くことにした。
エンジェルマリンに着くと入口の前に二人の人物が立っていた。一人は女性で小麦色の肌で丸眼鏡をかけて麦わら帽子を被っている。もう一人は男性で真っ黒な肌と引き締まった体に赤いスパッツ型の水着をはいている。
男性がディーネに気づくと大声で語りかけた。
「おぉ!ディーネ、後ろのは知り合いか!」
「声が大きい、ラッガー。この人達はさっき知り合ったのよ。」
ラッガーと呼ばれた男を見ると耳が尖っていた。
「そうか!はじめましてだな!俺はセインフィーネ、アクアライト支部のラッガー・グレードサイダー!この街で一番熱い男だぁ!」
ラッガーの大声に龍儀以外の人が耳を塞いだ。それを見た女性がラッガーの肩を叩いた。
「バカ、そんな大声で喋ったら迷惑でしょ。ごめんね。このバカ、加減を知らないから。はじめまして、私はセインフィーネのリーフ・エリアスフィールよ。よろしくね。」
二人の自己紹介が終わったので龍儀達も自己紹介を済ませた。
「あの、ラッガーさん。」
「なんだ、グレンくん!」
「もしかして、ラッガーさんはダークエルフですか?」
「いや、違う。俺はエルフだがダークエルフじゃない。こいつはただの日焼けだ。」
そう言って、ラッガーは自分の胸を親指で指した。
「ところで、二人は何しに?」
「今日は祈りの日よ。忘れてたの、ディーネ。」
「あ、それ今日だったの。忘れてた。ごめんね、中で待ってて。」
そう言ってディーネは二人とどこかにいった。龍儀はその後ろ姿をじっと見ていた。
「祈り?」
「龍儀さん、祈りを知らないんですか?」
「あぁ。」
「祈りは月に1回行われる女神様から恩恵を授けてもらう儀式のことです。その月に17歳になる人は教会で女神様に祈りを捧げることで授けてもらえます。但し、祈っても恩恵がもらえない人達もいます。」
「なるほど。じゃあ、あの3人はその祈りに行ったと?」
「違うわ。」
後ろから女性の声がしたので振り向くとギルドの入口から一人の女性が出てきた。
「祈りにはね、恩恵を授けてもらう人と見届け人が必要なの。教会で祈りを捧げるところから恩恵を授けてもらうまで一緒に祈り、見届けるの。そして、恩恵を確認して街に報告するまでが見届け人の仕事よ。」
「そうなんですか!僕も今年、17歳になるので少し心配していたんです。」
「頑張ってね。」
「はい!」
「そう言えばディーネも恩恵を?」
「・・・マスターは、恩恵を持ってないの。今は元気だけど、最初は凄く泣いてたわ。」
「!すまない、こちらの配慮が足りなかった。」
「大丈夫よ。ディーネも気にしてないから。さぁ、中に入りましょ。それとあなた、汗臭い。」
「あ・・・」
自分の体を匂う龍儀。実際、夏の太陽が照りつける中、ずっとスーツ姿でいたため龍儀は凄く汗をかいていた。
ギルドで龍儀がシャワーを浴びている間、ライカ達は雑談をしながら中を見学することにした。龍儀と初めての出会い、クエスト、ヘイサゼオンのセインフィーネなどを笑いながら話していた。
ギルド内を見ていると至るところに水着姿の女性がいた。その光景にグレンは目やり場に困っていた。
「ここ、女性がいっぱいいますね。」
「えぇ、そうよ。エンジェルマリンは女性のみで構成されたギルド。それに常夏の街だから、自然にみんなこんな格好になるのよ。」
笑いながら説明する彼女にグレンは赤面していた。雑談を続けていると黒いサーフパンツを履いた龍儀が前からきた。全身に傷がついているのも気になるが、彼の後ろでまじまじと龍儀の背中を見るギルドメンバーに目がいった。
「何してるの、あなた達?」
「マイさん、マイさん、彼の背中すごいよ。」
「背中?」
(((あ・・・)))
マイと呼ばれた女性が龍儀の背中を見ると目を丸くした。彼の背中には見たこともない生物が描かれていた。
「この生き物は何?」
「鬼と龍だ。龍はこっちではドラゴンと呼ばれるみたいだが。」
「ゴブリンみたいね。」
「龍?私達の知るドラゴンと違うわね。」
各々が龍儀の背中に興味を抱いている時、ギルドの入口からディーネ達が帰ってきた。
「ただいま、ギルドのみんな~!」
元気に入ってきたディーネを静かに見つめる龍儀、その視線に気づくとディーネは笑いながらかけよってきた。
「顔も凄かったけど体も凄いわね。」
「あぁ!引き締まったいい体だ!」
「マスター、背中ももっと凄いよ!」
「え、背中?・・・ホントだ!凄い!」
「見たことないわね。」
龍儀の体に興味深々のディーネをよそにマイはラッガー達にヘイサゼオンの話をした。
「最低ね。」
「おい、そいつどこだ。俺が直接殴りに行く。」
「もう龍儀さんが倒したみたいよ。」
「そうか!」
そのことを聞いたラッガーは嬉しそうに龍儀の肩を叩いた。
「聞いたぜ、ヘイサゼオンの話!気に入った!安心しろ!そんなバカを殴ったぐらいでセインフィーネは報復なんかしねぇよ!」
「あぁ、安心した。」
「今日泊まっていきなさい。歓迎するわ。」
「ありがとう。」
「やったー!」
こうして、龍儀達はエンジェルマリンで一夜を過ごした。
その夜、アクアライトに1台の馬車が近づいていた。
ディーネ・アクエリス(20)のステータス
《ディーネ・アクエリス Lv75》
HP 6842/6842 MP 453/453
AT 786 DF 351 SP 912
アビリティ[無し]
ラッガー・グレードサイダー(25)のステータス
《ラッガー・グレードサイダー Lv80》
HP 8573/8573 MP 999/999
AT 843 DF 307 SP 819
アビリティ[無し]
リーフ・エリアスフィール(21)のステータス
《リーフ・エリアスフィール Lv77》
HP 6427/6427 MP 492/492
AT 726 DF 426 SP 920
アビリティ[治療]
回復系魔法のみ消費するMPが1/10になる




