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お嬢様は追い出される

※R15は保険です

最初はざまぁ要素ないです

この物語はフィクションで登場する学校やお店は実在いたしません

「何をしているの!早くして!それは第五テーブルに!そっちは第三!もたつかない!」

「Oui!Chef!!」


フランスで三ツ星を取り続ける名店【Sommetソメット

そこで料理長をする私、七草由紀さえぐさゆきはその日の夜焦っていた。

料理人にとってそれは特別でお店にとっても特別な日で、絶対に失敗してはいけない日。

そう、今日はミシュランガイドの審査員が来る日なのだ。少しのミスも許されない。


「クソッ‼」


---------------------------------------------


 私、七草由紀は自分で言うのもどうかとは思うが天才だ。生まれた時から実家は裕福で毎日本物の味を口にし、気が付けばその料理がどのように作られてどんな印象を人に与えるのかを私は把握する能力が付いていた。高校時代にはいい店に行ってはこの味はどうだあれはこれには合わないなどの批評をするようになって私自身でつくったほうが美味しいと思えてきて高校を卒業してからはフランスにすぐ渡りフランスで一番有名なシャンドルマン料理学校に進学、ほかの追随を許さぬ成績で首席卒業をした。その後今現在働いてる三ツ星レストランSommetからスカウトを受け就職、わずか一年でシェフの座まで上り詰めた。


「これを作ったのはだれ!?ルセットはこれではなかったでしょ!?レモングラスよ!エストラゴンじゃないわ!作り直して!」

「ですが今からですと間に合いませんシェフ!」

「もういいわ・・・それでいきましょう。私が何とかするから!わかったらはやくしなさい!」

「Oui!!Chef!!」


 私は昔から男社会といわれるこの業界に腹が立っているし女だからと気を使われるのはごめんだった、だからこそ実力をつけ自分の才能をただしく料理に生かしてやろうとおもったのだ。誰にも文句は言わせないし邪魔もさせない、私を煙たがっている人たちもいただろう。私はそんな中でこの店を任されて2回目のミシュランを迎えて今日それが終わった。


「はぁ・・・」

「どうしたんですか?ため息なんてついて・・・あっ、お疲れ様です。」

「お疲れ様、ねぎらってくれてありがとう。ちょっと疲れてしまってね」

「ふふっ、私もですよ」

「それもそうね」


 そこには私がシェフになってから私についてきてくれたサービスチーフのミハエルだ、ミハエルは私がシェフになった際に私が推薦しチーフにした。


「私は今年も三ツ星をとれるかしら・・・」

「大丈夫よ、あなたなら」

 

 そう言って私を励ましてくれるミハエルは私の肩を軽くたたき店の中に戻る。

結果はおそらく2~3週間後には出るだろう、私は少しの不安を残したまま仕事をしつつその日がくるのをただひたすらに料理をして待っていた、そして3週間後、ついにその時はくる。


「シェフ‼電話です‼」

「わかった・・・」


 ミハエルが私に電話の報告をしてくるということはつまりそういうことだ、自然と店全体の雰囲気が硬くなるのを肌で感じながら私は重々しくミハエルの手から電話を取った。そこから告げられた決断を聞き私が電話をきると誰かが唾をのむ音が聞こえた。そう、みんなが私の口から決断が出されるのを待っているのだ。私は重い口を開く


「まず、星をいただくことはできました」


この一言でみんなは安堵のため息をこぼすが複数の物は私のこの発言に真の意味を感じ取り口をつぐむ


「星はいただけましたが2つでした、これは私がミスを犯してしまったせいだと思っています。皆さん明日から気を引き締めて」

「やっぱり駄目だったんだよお前じゃ」

「なんですって?」


 私ではだめだと告げるその男はこの店の副料理長であるシモンズだった、彼は元々私が料理長になる前料理長になるはずだった男である。それにしてもスタッフの中にも彼と同じ目をしている、その中には私に間違えたソースを渡してきた男もいる。そうか、そうだったのねシモンズ・・・


「だからあなたのせいだと言ってるんですよ、うちの店は今まで三ツ星を取り続けていたのに一つ落としてしまうとはそういうことでしょうよ。どう責任をとるおつもりで?」

「そうだ!歴史のある店の面汚しやがって!」


 こいつらは揃いもそろって・・・そんなに私が疎ましかったか、あきれて腹も立たない。


「そうか、なるほどね。そういうこと・・・わかりました、私が責任をもって辞職します。」


 私はそうして店を追いやられる感じで店をやめた。私が店をやめるときミカエラは申し訳ない、私がもっとちゃんとしてれば・みんなをまとめていれれば等と声をかけてくれたが別に彼女は悪くない。悪いのはチーム全員からの信頼を得られない私だったのだ。

 

 始まりはいつからだっただろうか、荷物をまとめているとこの店でのあらゆる思い出を思い出す。

フランスの名門調理学校を首席で卒業した私はコンクール等で知り合ったこの店の料理長に名前と顔を覚えてもらいスカウトされこの店に来た。いくら天才ともてはやされてきた私でも初めての就職先がこんなに歴史のある名店だと流石に緊張してしまう、しかしそんな私を料理長は優しく受け入れてくれたのだ。


 だがその優しさもつかの間で一度営業が始まってしまえばそこは戦場、わかってはいるつもりだったがこのお店が一流で仕事は洗練されていて覚えることも多く学校を出たばっかりで現場経験のない私はイレギュラーに対応できず足手纏い。初日は自分の不甲斐なさに涙を流したこともある、先輩は居れど丁寧に教えてくれるわけでもなく実力主義で誰もが他人のことなど気にしてはおれず逆に誰かがミスをすればそれに対して笑みを浮かべるものも多かった。その環境が私の負けず嫌いに火をつけたのだろう。


 私は自分の不甲斐なさを自覚しほかのシェフに負けたくないその一心で朝は誰よりも早く出勤をして休憩時間は仕事を覚えるために削りすべてを店に捧げる覚悟で仕事を続けた、その成果が出たのか料理長から直々に肉を焼いてみないか?と声がかかり喜んで引き受けソースを教えてやると言われれば休みも返上して教えてもらいに行った。そうして極めつけには君を次の料理長に任命しようと思うとお声がかかったのだ。


 私は歓喜した、私はこの戦場の指揮官を認めさせこの場を支配できるほどの力を身に着けたのだとその時実感することができたのだ。シェフはその年のミシュランに食べさせる料理のコースの中の何品かを私に任せると言ってくれたので自分の自信作を提出しその年のミシュランに挑んだのだが結果は三ツ星だった。それは即ち私の料理がミシュランに認められたということに他ならない、私はその結果でさらに自信をつけ次の年に晴れて料理長に就任した。


「アイツ生意気だよな、女の癖にちょっと才能があるからって調子乗りやがって。ジャッポーネはおしとやかな女が多いんじゃなかったのかよ。」

「どうせ前料理長に色目でも使ってあげてもらったんじゃねぇの?スカウトされてたみたいだしよ」

「違いねぇ!いいよなぁ、女ってのはよ!ハハハ!」


 またこれだ、前からちょくちょくあったけど料理長になってから特にひどい。私に聞こえないとでも思っているのだろうか、気にはならないけど正直めんどくさい。


「こら、あなたたちまだそんなこと言ってるの?そんなこと言ってる暇があったら今すぐ厨房に行って自分の技術を磨いたらどうなの?」

「げっ、ミハエル・・・」


 そう彼らを説教するのはサービスチーフのミハエルだ、彼女は私がこの店に来た時から仲良くしてもらっていて私がつらいときいつも支えてくれた戦友で私が料理長になるときサービスチーフに任命した。そのせいか彼女もこういうことをちょくちょく言われるらしいのだがその男勝りな性格ですべて潰しているらしい。


「大丈夫?」

「大丈夫よ、慣れてるもの。」


 そう自分に言い聞かせてわたしもミハエルに負けないくらいになろうと誓った。私はついてきてくれるシェフたちより自分が優れていていることを自負しながら普段の業務をこなし、その年のミシュランで三ツ星を取ることである程度の信頼を得たとおもっていたんだけどなぁ・・・

こんなはずじゃなかったのになぁ・・・


---------------------------------------------


「この後はどうするつもり?」

「ん~、一度日本に帰ろうかしら。お父様とお母さまに顔を見せろってずっと言われてたし・・・」

「そっか!何か困ったことがあったらいつでもいってね、協力するから。」

「ありがとね、何から何まで。」


 そうして私はミハエルに見送られながら店を出て日本の実家へと帰ることとなった。

ここまで読んで下さりありがとうございました!

Pecox2<ぺこぺこ>といいます!

今後の展開が気になる!頑張れゆきさん!そして頑張れ投稿者!という方はぜひブックマークと評価の方お願いします。


料理人の私ですがコロナ渦で時間ができたので自分の好きな料理でストーリー書いてみようと思いました。

僕自身初めての作品なので更新頻度は遅めですのでご了承くださいませ。

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