表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 山奥たける


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/70

第46話 分裂する街

 騒ぎは、小さな言い争いから始まった。


「基準で十分だ!」


「いや、レオン様を呼べ!」


 市場の中央で、声がぶつかる。


 発端は、怪我人一人。


 軽傷。


 処置は終わっている。


 だが。


「前は違った!」


 年配の男が叫ぶ。


「前は、もっと早く治った!」


「それは奇跡を使ったからだ!」


 若い神官が言い返す。


「今は、必要ないと判断した!」


 群衆がざわめく。


 そこに、俺は立っていた。


 呼ばれたわけではない。


 ただ、通りがかった。


「レオン様だ!」


 視線が、一斉に向く。


 この瞬間が、一番危険だ。


「どう思う!」


 年配の男が詰め寄る。


「基準でいいのか!」


 若い神官も、無言で見つめる。


 唯一無二に戻せ。


 それが、空気だ。


「処置は適切だ」


 俺は、落ち着いて言う。


 ざわめきが変わる。


「だが、不安は消えない」


 男は言う。


「前は、奇跡があった!」


「今もある」


 神官が反論する。


「だが、乱用しないだけだ!」


「乱用じゃない、安心だ!」


 その言葉が、核心だった。


 安心。


 分散は、正しい。


 だが、正しさは安心を保証しない。


 その夜、広場で集会が開かれた。


 支持派と復帰派。


 対立は明確だ。


「自分で判断できる街がいい!」


「だが、犠牲が出た!」


「犠牲は前もあった!」


「だが、レオンがいれば少なかった!」


 俺の名が、議論の中心になる。


 分散の象徴が、個人である矛盾。


 アルヴェインの言葉がよぎる。


 唯一の思想。


 セラフィナの言葉も。


 強すぎる思想。


 壇上に上がる。


 ざわめきが止む。


「俺は」


 静かに言う。


「安心は約束しない」


 ざわりと揺れる。


「約束できない」


「なら何をくれる!」


 叫び。


「考える力だ」


 沈黙。


「俺がいなくても、

 決められる力」


「それで死んだ!」


 痛い一言。


 逃げない。


「死んだ」


 事実を否定しない。


「だが、前も死んでいた」


 静かに続ける。


「ただ、その責任が

 俺一人に集まっていただけだ」


 空気が凍る。


「それが楽なら、戻す」


 ざわめき。


「俺一人に、全部乗せる」


 拳を握る。


「だが、その世界は長く続かない」


 静寂。


「安心が欲しいなら、制度を選べ」


 国家の影。


「祈りが欲しいなら、神殿を選べ」


 宗教の影。


「それでも」


 一拍。


「自分で立つ街を選ぶなら、

 分散を続ける」


 選択を渡す。


 押し付けない。


 広場は、完全にはまとまらない。


 だが、暴動にはならない。


 割れたまま、立っている。


 夜、リーナが言う。


「きついね」


「きつい」


 正直に答える。


 分散は、優しい思想ではない。


 自立は、痛みを伴う。


 だが。


 囲われた世界は、もっと脆い。


 街は、分裂したまま眠る。


 国家も。


 宗教も。


 そして民衆も。


 次に動くのは――構造だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ