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Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 山奥たける


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第43話 制度という保護

 王都への召喚は、予想よりも丁寧だった。


 拘束ではない。

 命令でもない。


 正式な招待。


「……来ましたか」


 謁見の間は静かだった。


 そこに立っていたのは、若い男。


 年は三十前後。

 軍人ではない。官僚の衣。


「アルヴェインと申します」


 深く、礼をする。


 敵意はない。


 むしろ、誠実すぎる目。


「お会いできて光栄です、レオン殿」


 俺は無言で頷く。


「本題に入りましょう」


 彼は、迷いなく切り出した。


「あなたの支援基準を、国家公認とします」


 静かな爆弾。


 ざわめきが起きる。


「公認……?」


「はい」


 アルヴェインは続ける。


「現在、基準は自発的拡散です」


「そうですね」


「それが問題なのです」


 否定ではない。


「質が保証されない。

 責任の所在が曖昧。

 誤用の危険」


 すべて事実だ。


「ならば?」


「制度化します」


 即答。


「国家が監修し、

 正式な支援体系として登録」


 そして。


「あなたを、最高監修官に任命します」


 空気が止まる。


 それは。


 管理。


 だが、拘束ではない。


「自由は奪いません」


 アルヴェインは言う。


「むしろ守ります」


「どうやって」


「法的保護です」


 彼は一歩近づく。


「あなたの思想を、

 国家が保証する」


 甘い。


 あまりにも。


「それなら」


 俺は、静かに問う。


「分散は守られますか」


「はい」


 迷いがない。


「制度として」


 そこだ。


 制度として。


「制度は、変えられます」


 俺が言うと、彼はわずかに笑った。


「変えられます」


 否定しない。


「ですが、今は必要です」


「なぜ」


「世界は、曖昧を嫌うからです」


 国家は、安定を求める。


「死者が出た」


 彼は言う。


「あなたは思想を守った。

 私は構造を守る」


 対立ではない。


 役割分担のように語る。


「あなたが自由に広げると、

 いつか必ず暴走します」


 断定ではなく、確信。


「だから、囲うのです」


 囲う。


 守るために。


 檻ではない。


 保護。


「レオン殿」


 アルヴェインの声は、真摯だった。


「私はあなたを潰しに来たのではない」


「……では」


「守りに来ました」


 静寂。


 リーナが、わずかに拳を握る。


 カイルは無言。


 俺は、目を逸らさない。


「制度化すれば」


 俺は言う。


「例外は減る」


「はい」


「減りすぎれば」


「硬直します」


 彼は、即答する。


 分かっている。


 全部。


「それでも、やると?」


「はい」


 迷いはない。


「あなた一人に背負わせないために」


 その言葉が、胸を揺らす。


 敵ではない。


 正しい。


 だからこそ。


「……即答はできません」


 俺は言った。


 アルヴェインは、静かに頷く。


「構いません」


 背を向ける前に、彼は言った。


「あなたが拒めば、

 別の形で制度化します」


 脅しではない。


 現実だ。


「世界は、空白を放置しません」


 扉が閉まる。


 王都の空は、曇っていた。


 思想は、自由だ。


 だが。


 広がれば、必ず囲われる。


 守るために。


 管理するために。


 俺は、静かに息を吐く。


 分散は、理想だ。


 だが、理想が力を持った瞬間、

 構造は動く。


 選択は、まだ先。


 だが。


 この提案は、

 甘く、重かった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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