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Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 山奥たける


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第40話 正しさの誤用

 報せは、早朝に届いた。


 南方の街ルドナ。


 魔物襲撃後の後処理で、処置が遅れたという。


「基準通りにやったはずなんです」


 現場責任者は、汗を浮かべていた。


「三段階確認も、優先順位も」


 資料を確認する。


 確かに、逸脱はない。


 だが。


「最初の判断が、保守的すぎる」


 俺は、静かに言った。


 負傷者は十名。

 うち三名が中度。


 現場は、悪化要因の排除を優先しすぎた。


 安全側。


 それは間違いではない。


 だが――


「回復開始が遅れた」


 結果、二名が重症へ移行。


 まだ、命に関わる段階ではない。


 だが、明確な悪化だ。


「俺たちは、基準を守った!」


 若い神官が声を荒げる。


「逸脱していない!」


「分かっている」


 俺は、即座に否定しなかった。


「だからこそ、問題なんだ」


 沈黙。


「基準は、枠だ」


 俺は続ける。


「枠を“盾”にするな」


 空気が凍る。


 誰も悪意はない。


 むしろ、慎重すぎた。


「間違えないようにした」


 神官が、震える声で言う。


「そうだ」


 俺は頷く。


「間違えないために、動かなかった」


 その言葉が、刺さる。


 夜。


 重症者の一人が、容体を崩す。


 奇跡が使われる。


 間に合った。


 だが。


「これが、誤用」


 エリスが、静かに言う。


 俺は、焚き火を見つめたまま答える。


「基準は悪くない」


「うん」


「でも、“安全側に倒す”ことが

 正解になると」


 動きが鈍る。


 標準化は、強さだ。


 だが。


 強さは、使い方を誤ると

 **硬直**になる。


 翌日、王都へ報告が上がる。


「基準遵守にも関わらず悪化」


 監察官は、資料を読む。


「誤用か」


 その言葉は、冷静だった。


「それとも、設計不備か」


 机に置かれた紙。


 そこに書かれているのは――


 レオンの名。


 ルドナを出る前、ミナトが言った。


「俺、怖くなってきました」


「何が」


「間違えないようにやったのに、

 悪くなること」


 正直な言葉だ。


 俺は、しばらく考えた。


「間違えない、は幻想だ」


 そう言うと、彼は目を見開く。


「正しくても、悪くなることはある」


 世界は、そうできている。


「だから」


 拳を握る。


「止めない」


 安全側に固まるほうが、

 よほど危険だ。


 火は、まだ消えていない。


 だが、風が強くなっている。


 正しさが、

 少しずつ揺らぎ始めていた。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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