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やりすぎたかもしれない①
式神トーナメントから二日経ち、俺は神遊祭の観客席にジュース片手に座っていた。
「ねえねえ、君一人?」
こういう場所でもナンパ目的でここにきている人がいるようだ。通行の邪魔にしかなってないぞ。するなら競技終了してからにしろ。
そういう俺の目的は、神遊祭四日目の競技種目である個人トーナメント戦を観覧すること。
わざわざ会場に来なくてもテレビで観れるのに、七瀬さんに無理を承知で頼み、神遊祭運営委員会から観客席を融通してもらったのには理由がある。
それは無論、音無君が出場するからであり、活躍を直にこの目で見ておきたかったからだ。《雷神の義手》を使うから、その性能を見ておきたいという思惑もあるけど。
「おーい、無視しないでよ」
まだナンパを続けているようだ。無視されても挫けないのには感心するが、されている方には迷惑でしかないだろうに。聞いてるこっちも少しうんざりする。
「ねえ、そこの君」
グッ、と誰かに肩を掴まれた。誰だよ馴れ馴れしいな、と思い振り返ると──
「お、やっと反応した」
俺の肩を掴んだのは、さっきから聞こえていたナンパをしていた男。
「ねえ、彼女一人?」
何言ってんだコイツ、確かに俺は中性的な童顔だってことは把握しているが──
……あ、そうだった。
今、俺は女だった。




