七話 今日は疲れた
「ふっ!」
「ギッ」「グギャッ!」
大剣ネージュの横一閃で、縦に並んでいたゴブリン2体の首が飛ぶ。
ここは、白の迷宮6階層。
朝から迷宮に潜り探索に精を出す。
5~6階層には、ゴブリンの他に浅い階層にいた獣の姿も見える。それぞれは連携を取る事をあまりしないし、テリトリーを守っているのか個別なグループで行動していて、他の生物がいる所へは足を運ばないようだ。
大抵は部屋や通路の一角でたむろしているだけだ。
しかしその所為で、殆どが俺を発見するので奇襲は通じない。
同じ種族ではグループを作っているようだが。
今日の朝は、迷宮に来る前に鑑定士の所へ寄った。受けていたクエストの皮を納品をする為だ。
昨日行かなかったのは、登録したばかりの初心探索者が数時間で4階層まで行ったと分かると面倒そうだったからだ。ギルドカードに階層が表示されるのは、便利だけではなかったという事だ。
しかし、登録日が表面に表記されているし、魔物の討伐数も自動表記されるので余り長くは誤魔化せないかな?
暫くは臨時パーティーを組んでいたと言えば良いだろう。固定パーティーでなければ、ギルドカードのパーティー名は表記しなくても良いらしいし。
クエストや素材を売って得た金額は、3340ソルにもなった。高品質な皮が多かったので、クエストだけで2280ソルにもなったのだ。クエストを受けておいて良かった。
魔石は質が悪いので高く売れない。だから数個売って後は精製して貯める事にする。魔具作成は楽しかったしね。
そうして雑務などをこなして、迷宮に潜ってから既に4時間になる。時刻は正午過ぎ。
階段を見つけたらそこで食事でもしようかな。
そんな事を思いながら素材を拾い先へ進む。
階段を見つけ食事と休憩を済ませてから、7階層へ向かう。
暫く探索を続けていると7階層に降りて始めての魔物の気配を感じる。
たどり着いた場所は今までの部屋と違い、40メートル四方の広さのある地面に大小の凹凸がついた部屋だった。
大きい物は2メートルの高さになり、天井の隙間が狭いので通り抜ける事も出来ない。もはや壁となって立ち塞がっている。
きっと隠れているだろうから厄介だな……。
小回りと手数を増やす為にカンティーとノールを装備する。
ちゃんとした気配は感じ取れないが、部屋の右側面と左側面にそれぞれ複数敵が隠れているようだ。どちらかに直接行きたいが、高い突起が邪魔をして飛び越える事が出来ない。もう少し低ければ上空からの奇襲ができたのに。
左右の敵と戦う為には正面から行くしかないようだ。
周囲に使える物が無いか見回すと、敵が見えるだろう寸前の所に石が何個か落ちていた。
これは使えるな……。
少しずつ正面へ移動し、敵に挟み撃ちを食らうであろう寸前で立ち止まる。足元に石を手繰り寄せ、左側にいるだろう敵に向かい勢い良く蹴っ飛ばす。
石は当たらなかったみたいで「ガンッ」と大きな音をたて、壁に当たった様だ。しかし、その石に驚き注意力が散漫になっている敵を放置、右へ飛び込んだ。
そこには今までに見た、木の棒を持って質素な布切れを纏ったゴブリンが左右に1体ずつ、その後ろにリーダーだと思われるボロボロの青銅の片手剣と、木を張り合わせた盾を持ったゴブリンがいた。
取り合えず、右のゴブリンの胸へカンティーを突き刺す。剣は服を通り、皮膚を貫き、肋骨を切断し、心臓を破壊、背骨を粉砕して背中から飛び出した。半分まで貫通した所で手を捻り、体内をズタズタにする。
何体か戦って肉体の構造は把握したので、首以外への攻撃に幅を持たせられるようになったのだ。
ゴブリンリーダーが右手の片手剣を寝かせ横から薙いで来る。俺はノールを縦に構えそれを受け止める。難なく受け止める事が出来たが、ゴブリンリーダーは全力だったのだろう、左手で保持していた盾を体の振りと同時に外側へ開いてしまっていた。
その隙に、ゴブリンの胸に刺していたカンティーを引き抜き、剣先を上に向けゴブリンリーダーへ密着する様に滑り込む。身動き出来なくなった所へ顎下から頭部まで差し込む。
最後のゴブリンは、俺の剣とゴブリンリーダーの剣に邪魔され攻撃し辛かったようだが、木の棒で足元を攻撃しようと思ったのだろう。頭と姿勢を下げ、殴りかかってきた。
だがその時にはもうゴブリンリーダーは倒していたので、力の抜けた剣を押し出す様に弾き、ノールを振り下ろす。
真っ二つになったゴブリンの勢いは弱らず、俺を避ける様に後ろへ抜けてった。
残りの敵を倒す為、振り返りながら武器を構える……途中で、
ヒュッ
っと風切り音が聞こえた。
風切り音と殺気から、どこに何をしようとしているのか分かった。これは訓練で得た経験の賜物だろう。
武器で受けるのは間に合わないので、頭部に向かって来る攻撃を左手の篭手で防ぐ。
重い衝撃と木が鉄を叩く音が同時にヒビク。そして、木の棒がその衝撃に耐えられなく砕け散った。
空中に散らばる木屑が目に入らない様に気を付けながら敵を窺う。
俺は疑問に思っていた。
相手がゴブリンだと俺に攻撃をする為には、後3歩程近づいてないと届かないはずだ。しかし届いたのだから、相手はゴブリンじゃない。
疑問と解答を同時に浮かべ、敵を確認する。
持っているのは木の棒、纏っているのはボロの布切れ、体は1メートルちょっととゴブリンと同じだが、体の作りと顔が違った。剥き出しの牙、爛々と輝く殺意の篭った瞳、狼に似た顔立ちと耳、全身を覆う黒い体毛、相手はコボルトだった。
どうやら俺は油断していた様だ。敵の確認を怠ったのだ。今回は大丈夫だったが、これからは気をつけないと。
武器を失ったコボルトが正面に、もう1体いたコボルトが回りこんで側面から襲い掛かる。
一歩下がり側面からの攻撃を避け、2体重なった所でカンティーを首に突き立てる。横から攻撃して前に来たコボルトは即死した様だが、後ろにいたコボルトは素早く避ける。
それをさせまいと、首に刺さっているカンティーから手を離し、追撃する。
急に避けた為体制を崩したコボルトはあっけなく切り捨てられた。
迷宮に赴き初めてのダメージは油断から来た物だ。
少々自分に活を入れないとな。
ゴブリンからの素材は魔石だけではなく、武器の木の棒や、纏っていた布を手に入れた。コボルトの方も1個は魔石だが、もう1つは布を手に入れる。何も貰えないよりかはマシだな。布も棒も品質は上昇しているし。
祝福品も、今日は幾つか貰ったが、今回も出てくるようだ。
現れたのは『青銅の片手剣』で、先程ゴブリンリーダーが持っていた青銅の片手剣みたいだ。
刀身は傷付き刃毀れが所々にあり、柄はグラついている。唯一祝福で与えられた"切断"の概念がこの剣の価値を上げている。
しかし、これは研ぎ直しと、柄の調整をしなければ売ることもできないな。さて、どうするか……。
そんな事を思っていると、背中にある大剣ネージュが震えだした。
どうしたかと取り出すと、青銅の片手剣がネージュに引き寄せられて行く。2つが重なると暫し発光する。光が収まると青銅の片手剣は、まるで燃えた紙が灰になるように塵となって消えていく。
どうやら、俺の力量が上がったとしてネージュが新たな力を吸収したようだ。
青銅の剣の"切断"を取り込み、切れ味をましたのだ。
初めて見たが、中々面白い光景だった。
こうして認められると嬉しい気持ちになる。カンティーやノール、アトレスにも認められるように頑張るか。
新たな思いを胸に迷宮探索を開始する。
7階層ではゴブリンとコボルトが徒党を組むので戦闘が乱戦になる。
数の多いゴブリンと、素早く撹乱するコボルト。そして、命令し作戦を立てるゴブリンリーダー。
これらの連携で意外に苦戦するが、落ち着いて対処すれば何でもない。
効率性重視から確実性重視に変えたので、戦闘時間は延びたが危うくなる事は起きなかった。
8階層への階段を見つけたところで今日の探索を止め帰る。
9階層で階段を見つければテレポーターで帰る事ができるのに、来た道を帰ると時間が掛かりそうだが、別に急ぐ理由もないし疲れてもいないので問題なかった。
確かに後2階層分進むだけだから、戦闘を極力回避して急げば見つけられそうだが、先程油断禁物と気を引き締めたので安全策を採る事にする。
帰りはマップのおかげで、来る時の半分以下の時間で帰る事ができた。
鑑定士の所で、獲得した素材とクエスト用の皮を鑑定して売り払う。
ただし木の棒は削ってオモチャでも作ってみるのは面白そうだし、布は裁縫でもして服を作ってもいいだろう。
ゴブリン達が持っていた時はボロボロだったけど、魔物を倒して手に入る時に、パラメータの運の数値によって出現した時の状態が変わる。俺の数値は高いので、現れる時は大抵良品質か高品質になる。
それを使って別の物に加工するのだ。
皮も少しだけ残しておく。何かに使えるかもしれないし。
クエスト受付カウンターに寄った帰りに、正面受付にレナさんを見つけた。
ちょっと挨拶でもしてくるかな。
「こんばんは、レナさん」
「いらっしゃいませ、セージ様。
今日はどの様なご用件で?」
「いえ、レナさんを見たので挨拶でもしようかと思って」
「あら、そうなんですか?
こうやって挨拶に来てくれる人は居ないので、何か変な感じですね。
でも、嬉しいです。ありがとうございます」
そう言って胸の前で手を組み微笑む彼女は、本当に嬉しそうだ。
その笑顔を見て頬をかく。何となく声を掛けたのでどうも気まずい。
「受付が暇そうだったから、こうやって話かけても大丈夫かなーって思って。よかったですか?」
「ええ、今は人がいないですから大丈夫ですよ。
そう言えば迷宮はどうでしたか?
迷宮で誕生する獣や魔物は、外とは違う行動をするらしいでしょ。
私は分からないんですけどここでは良くその話を聞きます。迷宮の3階層と4階層へ行くときは気を付けてね。あそこで亡くなる探索者多いから」
やはりそうなのか……。あそこでは急に敵が強くなるからな。
「自分の進みやすい速度で探索しますから大丈夫ですよ」
嘘ではないが騙すような物言いになったが許して欲しい。
「そろそろ行きますね。お仕事頑張って下さい」
「セージ様もお気を付けて。私が暇でしたらまたお声を掛けて下さい」
ギルドを出たその足で酒場へ向かう。
今日の晩飯はそこで食べる事にしたのだ。
酒場には沢山の探索者が集まり、今日も生きて帰ってこれた喜びに宴を開いている。
そんな人が多いから、情報が色々耳に入って来るのだ。口の軽い者がいれば、クエストの内容、何階層かに出てくる魔物の情報、気を付けなければいけない場所、他の探索者の情報や様子といたモノも聞けるのだ。
飯を食べている間に情報を仕入れよう。
とある繁盛している酒場に着いた。名前は『ヒチェンバー』。
老舗なのか店構えは古く色褪せているが、客の入りは良いようで、笑い声や言い合う声が人通りの少なくなった外に響いている。その様子に、楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
中に入ると外で思った通りに陽気になった人達で溢れている。
屈強な男達がジョッキを片手に飲み比べをしていて、その周りの男達が金を賭けている様だ。ウェイトレスの尻に手を回し、トレイで頭を叩かれ周囲から失笑を貰う男がいれば、そんな者達に目もくれず真剣な表情で話し合っているグループもある。食事に舌鼓を打っている人もいて、その人は周りに対して無関心だ。
この様な店なので女性は居ないと思ったが、ざっと見回してみたら3分の1は女性がいる。そして一般人らしき人はいないので探索者御用達の酒場みたいだ。
あ、今、豪快に酒を飲んでいた1人が沈んだ。
4~5人掛けの丸テーブルが15脚ありほぼ満席。カウンターにも10席あるが埋まっている。
だが、酒を飲んで騒いでいるグループと、静かに食事やミーティングをしているグループは分かれている。
店側も色々考えてるみたいだ。でも、座れるかな?
「すみません、食事をしたいんですけど座れますか?」
近くに通り掛ったウェイトレスに声を掛けて聞いてみる。
「はい、いらしゃいませ。
相席になりますが宜しいですか?」
「はい、良いです」
「お席はどちらの方で?」
そう言って指差したのは騒がしい方と静かな方だ。
どっちでも良いのかな?
「できれば静かな方が良いけど……食べられるならどっちでも」
「分かりました。少々お待ち下さい」
ウェイトレスは3人組が話し合ってる席に行き、少々話してから戻ってくる。
「では、こちらへどうぞ」
案内された席は、先程ウェイトレスが話していた人達で、重装備の男性が2人に軽装備の男性が1人座っていた。
テーブルの上には、それぞれがにエールやつまみ、料理が並んでいた。
俺もエールとつまみにサラダとポトフを付けて注文した。
ついでに、エールを3人分追加する。折角相席になったので、気を良くしてもらって色々話を聞こうと思ったのだ。
「おぉ、何か悪いな。奢ってもらって。
俺はドルズ。まぁよろしくな」
そう言って話し掛けてきたのは、全身鎧を着込んだ大柄の男性だ。その大きな体でどっしりとイスに腰掛ける姿は歴戦の勇士のようだ。
パワー系のタイプの様で盾は持たず大剣を装備している。
「そんな事をされなくても良かったのに、どうもすみません。
私はオイゲンと言います」
次も全身鎧を着た、ドルズさんよりか少し背が低いぐらいの男性。穏やかな雰囲気と背筋の伸びた綺麗な姿勢は、それなりの教育と教養を備えた身分だと窺わせる。
こちらは、大型の盾を横に置き手斧を腰に差している事からガード系のタイプだ。
「いいじゃねーか、オイゲン。くれるってんだから貰っとけ。酒に罪はねぇ。
オレはレオン。アンタみてーな話の分かる奴は大歓迎だ」
そんな風に陽気に話し掛けてくるのは、緑の鱗状の物が付いている皮鎧を着ている男性だ。にやけた表情を浮かべ、テーブルに肘を付けその手に顎をのせる姿は、丸っきりチンピラだ。
彼は片手剣に弓矢とスピード系のタイプだ。
3人揃うと中々バランスが良いな。これで魔法使い系や支援か回復特化がいれば完璧だ。
彼らからは俺の装備は見えないだろうな。今はマントを羽織っているので、正面に座っているオイゲンさんから鎧と投げナイフの一部が見えるぐらいだろう。
「まだこちらに来て短いですから、他の探索者の方とも仲良くしておこうと思っていました。
俺はセージって言います。色々お話を聞かせてもらっても良いですか?」
「そうなのか。俺もここに来た頃は大変だったからな。ここは1つ、『戦場支配』旅団、蹂躙パーティーのドルズがレクチャーしてやろう」
「あぁ、喋り方は普通にしてもらっても良いですよ。探索者は魔物の魂で見た目と年齢が一致しない者ばかりですので、そういう事を気にする人はいませんから。
ちなみに、私のはこれが素ですので」
「そうそう。ここでは何より力がものを言う所だからな、気にすんなよ。
まぁ、女に対しては気をつけねーと切られっかもな」
どうやらエールの効果は上々みたいだ。
しかし、旅団ってなんだ?
「分かりました。
それで早速質問なんだけど、旅団ってなんですか?」
「旅団は、パーティーを大きくしたもんだ。
旅団は幾つも有って、戦闘に特化したグループ、魔物の素材収集に特化したグループ、迷宮の攻略に指針をおいているグループとかが旅団として登録すればそれが新たな旅団になる。
旅団内は情報をそれぞれ集めてるし、人数も多いとこだと300人を超えるし、どこかの旅団に入れば知りたい情報やパーティーを探すのが簡単になるぞ。
旅団それぞれにある規律や、制約もあるから合わなくて脱退する奴や、最初から入らない奴もいるがな」
「オレらの旅団は名前からしてわかるだろ? 分類的に言えば戦闘特化だな。
アンタもどうだ? 家の旅団に入んねーか?
オレらの所は200人所属するソコソコ有名な旅団なんだぜ」
ドルズとレオンが教えてくれて良く分かったが、今の俺はどこにも所属する気はないからな。断らせてもらおう。
「その提案は嬉しいですけど、俺はまだ迷宮の事、ティトゥスの事、探索者の事を良く知りません。だから旅団に所属するのが早道だけど、自分の力量を確かめる為にも白の迷宮を攻略するまでは、時間が掛かっても1人で頑張ろうと思っています」
「私の若い頃を思い出しますね」
「いやー、オレも昔そうやって意地を張ってたから懐かしく思うぜ」
「そうだな。若い時には無茶をするもんだ。
だが、思い込みは気を付けろよ。慎重になるぐらいが丁度いいもんだ」
何か好感触。やっぱり皆男だなー。思考が短絡的だ。
「お待たせしましたー」
丁度会話が一段落した所で、ウェイトレスが注文の品を持ってきた。
つまみに料理、エールをジョッキ4杯とテーブルの上はすし詰め状態だ。
俺はジョッキを持ち皆を見回す。
「折角ですから乾杯でもしましょうか」
その言葉を受け、それぞれがジョッキをかかげる。
「この出会いを祝して、乾杯」
「「「乾杯」」」
1杯目のエールが一気に消えていく。大丈夫だろうか……?
俺はかなり酔った状態で、フラフラになりながら宿に着いた。結局大丈夫じゃなかった。
あの後、会話に料理に酒が進み、3時間も居座った。
誰も悪酔いをしないのか、泣きも騒ぎもしない所為で酒が進んだのが原因だろう。唯一の救いは、俺が余り酒を飲まない事を伝えていたのでこの程度で済んだ事だ。
哀れな事に、オイゲンとレオンは確実に二日酔いするほど飲んでいた。
冥福を祈ります。
宿にはローランさんがカウンターにいて、俺を出迎えてくれた。
「随分飲まれましたね。今日の所はお風呂には入らずにいた方が宜しいですよ。
お風呂場での事故などよくありますから」
今日の所はその言葉にちゃんと従います。もう寝たいです。
ローランさんに頷き返し、重い足取りで階段を上ろうとすると、誰かの手が俺の肩を支える。
ローランさんだ。
「お辛いでしょう。お部屋までお連れします」
もう、貴方は神です。トォーラなどと言うドSな神より神らしいです。
「すみません。助かります」
喋る事も億劫になってきた体に鞭打って部屋へ向かう。
「ごゆっくりお休み下さい」
「ありがとうございます」
連れてきてくれたローランさんに感謝を告げ、部屋に入る。
鍵をしたらランプを点け、窓を開ける。本当はこのまま寝てしまいたいが、装備の点検や掃除をしなくては眠るに眠れない。命を預ける物だからぞんざいに扱うと後で手痛いしっぺ返しを食らうだろう。
特に俺の武具は生きているからな。
適当に装備を外し、それぞれを掃除し点検をする。
こいつらは身に着けると俺の力(霊力や魔力や気の事)を吸収して自己修復をするので、実際に整備する事は余り無い。これにこうやって感謝するとは思わなかったよ。
投げナイフだけを研いで終了。
さて、明日の為に早く寝なければ。
誠司は実年齢80歳。
でも肉体的には18歳。
どっちで見れば良いのかな? 分からないから適当で。
つまり、異世界なので飲酒はOK!
皆は真似しないでね。