四話 価値観と人間関係
ギルドを出てから俺は、宝石店があった通りに向かう。
俺がティトゥスに入った門は正門で、方角は南に当たる。そちらの方は店や家が雑多に建っている。
北には高級住宅街が建ち並んでいて、こちらには裏門が在るが通常開かれる事は無い。町や周辺の土地を管理している市役所の様な施設も在るが、あまり市民に向け露出していないので知名度は低いそうだ。
西には工業系の建物や店、低所得者用の家が並んでいる。
そして、俺が宝石を売った東側の通りは、ある程度落ち着いた雰囲気のある店や住宅が建っている。俺はこの通りで宿を探すことにした。
宿を探す途中で書店を見つけたので、本を5冊適当に見繕ってもらった。1冊1000ソルで合計5000ソルになる。
お金を支払い、ついでにそこそこの宿屋を紹介してもらった。
宿の名前は『トイボックス』。
トイボックスは直ぐに見付かった。この通りの宿としては、高過ぎず安過ぎず、豪華過ぎずボロ過ぎずの宿になるらしい。平均よりかは良い宿らしいが。
3階建てで全室1人~2人の個室。質素だが朝食も付くし昼飯や晩飯も金を出せば食べられる。何よりも、共同だが1階には風呂も付いているのだ。ここにしない訳が無い。
宿に入ると左手のカウンターの奥に、恰幅のいいおばさんが食材を切っていた。カウンターにはイスが4脚あり、右手の方には6人掛けで横長なテーブルが2台置いてある。そして、そのテーブルを15歳ぐらいの女の子が拭いている。
正面には2階に上がる階段が見え、テーブルの奥には扉が見える。
カウンターにいるおばさんが俺に気づいた。
「あら、いらっしゃい。初めてのお客さんだね? 探索者かい?」
「はい。今日登録したばかりの新人です。宿を取りたいのですが空いていますか? 空いているなら、ついでにこちらで拠点の登録をしたいのですが」
「両方とも大丈夫だよ。ギルドカードを見せてごらん、確認するから」
俺はダッフルバッグに入れていたギルドカードを取り出し、おばさんに見せた。
しかし、この荷物もどうにかしないとな。こんな荷物を持って迷宮に挑むのは少々危ない。
「セージ・トダだね。もういいよ。あたいの名前はアンナ、この宿の女将さ。
今日探索者になったって事は色々知らない事が多いだろう? 少し説明してあげるよ。
探索者で宿を取るって事は、拠点が其処になるって事だ。
だから金が無いならしょうが無いが、出来れば1ヶ月や、3ヶ月契約をした方がいいね。その方が、そっちも料金が安くつくし、1ヶ所に宿を決めると知り合いに連絡が取りやすくもなるしね。
で、どうするかい? 家は簡単な物だけど朝食が付くし、6時以降10時以内は共同の風呂にも入れる。宿の出入りは24時間いつでも大丈夫。部屋も個室だから気楽だよ。
これで一泊1500ソル。1週間、8日で1万ソル。1ヶ月、40日で4万ソル。3ヶ月、120日で9万ソルって計算だよ。どうだい?」
そうか、迷宮の内部構造変化は、こっちでの1ヶ月が40日だからか。
1年は9ヶ月になると。
さて、金はある事だしここは大盤振る舞いに――
「3ヶ月契約でお願いします。お金はこれで良いですね」
――金貨で支払う。
これに女将さんは驚いたのか、目を開いてビックリしていた。後ろにいた女の子も驚く気配が伝わって来た。
初心探索者が大金を持っている事に驚いたのだろう。
「換金用に持っていた宝石がいい値段で売れたので、今お金には困っていないんです」
その言葉に気を取り直したアンナさんは金貨を受け取った。
「ビックリしたよ。家の宿で3ヶ月契約をする客なんて滅多にいないから驚いちゃったよ。それも初心者でなら初めての事だよ。
それぐらい稼ぐようになるともっとグレードの良い宿に移るし、最初からお金を持っている人なら家を買うか直接高級宿に行って泊まるだろうからね」
「今まで贅沢な暮らしをしてきませんでしたから、これ以上豪華だと逆に息苦しくて気疲れしそうですよ」
そう言って苦笑いしてると、女将さんは笑顔で答えてくれた。
「こっちにしちゃーありがたいよ。それで何か質問はあるかい? 答えて上げるよ」
「丁度良かった。探索者の人達は荷物をどうしているんですか? 部屋に置いたままにしているんですか?」
「一応部屋には、武具や荷物を置く鍵付きの棚が置いてあるけど、貴重品とかは預かり屋に預けといた方が良いね」
「預かり屋?」
「そう、このティトゥスでは迷宮があるおかげで、探索者の持ち帰る素材や武具、アイテムなどを預かってくれる店が無いと困る人が多いんだよ。そういった荷物を預かる店舗の事を『預かり屋』って言うんだ。
家の店の右隣はその預かり屋だから後で行ってみるといいよ。
他に、見た目や重さが変わらないのに中に物が沢山入る鞄が売られているよ。それは探索者専用で、探索者になった時に貰う祝福で使える様になるらしいよ。
それと、ギルドのある中央区に銀行もあるから、お金を預ける時はそこに行きなさい」
どうやら、俺の持っているバッグと同じ効果のある鞄が売られているようだな。預かり屋も貸し倉庫みたいなのかな? 色々行く所が増えたな。
「助かりました、後で行ってみます」
「どういたしまして。それじゃ部屋に案内するよ。
エレーヌ! お客さんを3階の一番奥の部屋にお連れして頂戴」
「あ、はい! 分かりました。
えっと、荷物をお持ちします」
女将さんに声を掛けられ、未だに少々驚きが抜けていない女の子が話し掛けてくる。
女将さんの恰幅の良さを抜かした様な女の子だ。髪の色や瞳、顔立ちが似ているので多分娘さんだろう。
「大丈夫だよ、これぐらいの荷物を持ってもらう様になったら俺の師匠に怒られちゃうよ」
そう笑って声を掛けると女の子も笑顔になった。
「はい、わかりました。それじゃあ、ついて来て下さい。ご案内します」
俺の2歩前を歩くようにして階段を上り始めた。
「あの、私の名前はエレーヌって言います。
アンナお母さんの娘で、一緒にお手伝いをしていますから、何か分からない事があったら何でも言って下さい」
「ありがとう。何分人の少ない地域から来た所為で常識が抜けてる所があるからね。助けて貰えるなら助かるよ。
俺の名前はセージ、好きに呼んでくれエレーヌちゃん」
「はい、セージさん。でも、凄いですね」
「何がだい?」
「だってセージさん、探索者になったばかりなのにお金を沢山持ってるし、装備も凄く綺麗で強そうですから。
もしかして、騎士様だったりするんですか?」
やはり気になるらしい。
このぐらいの子は好奇心旺盛だからな。知りたくて堪らないのだろう。それに、ちょっと目立ちすぎたかな?
「そんなもんじゃ無いよ、この武具は師匠に旅立つ時のお祝いで貰ったんだ。
お金だって、貴族が山賊に追われていた時に偶々居合わせて、命を助けたお礼に貰った物なんだ。ホントに運が良かった」
「へー、そんなお話みたいな事ってあるんですね」
エレーヌちゃんには悪いが、本当の事を話しても理解しきれないだろう。適当に嘘を付いて誤魔化した。
「ここがセージさんのお部屋です」
俺が連れてこられた部屋の周囲は、2階と3階手前の部屋より少し扉の間隔が広がっている。この3階奥の数部屋はVIP用かな?
少し大きめのベットに、町並みが見える四角い透明な窓ガラス、水道は付いていないが鏡がある洗面台、大きめのロッカーの様な鍵付きの棚とシックな机。
部屋の内部は明るく、調度品や机も落ち着いた物ばかりで暮らしやすそうだ。
「良い部屋だね」
「ありがとうございます。内の宿一押しの部屋なんですよ」
マントを入り口の横にあるポールスタンドに掛け、投げナイフのベルトをベット脇の机に、ダッフルバッグをその横に置いた。
「えーと、お部屋の説明をしますね。
洗顔用の水は毎朝6時頃に階段脇に持って上がります。部屋にある桶で汲んで下さい。
飲み水用の水差しは毎日ドアの外の木箱に入れておきます。水差しの交換は午後にしますので出かける時は水差しを外に出しておいて下さい。
部屋の中で火を使う事は基本的に厳禁です。明かりが必要な時はこのマジックアイテムを使用して下さい」
エレーヌちゃんが手にしたのは、ランタン状の道具だ。上のガラス状の部分に術式が刻まれ、下の台座には内部に魔力の塊がある。台座にボタンらしき物が1つあるだけのシンプルな作りだ。
「中には迷宮の魔物から取れる魔石っていう物が入っていて、それで光らせる事が出来るらしいです。このボタンを押せば点いたり消えたりします。出かける時や寝る時は必ず切っておいて下さいね。
掃除は毎日午後にしますから、出かける時は鍵をカウンターに預けて下さい。部屋に入って欲しく無い時は、カウンターでその事を伝えて欲しいですけど、1週間に一度は部屋を掃除しますからそのつもりでいて下さい。
朝食は7時から9時までです。ですが、10時までは食事を置いておきます。その食事は作り置きの物でより簡易な物になっていますから、食事には遅れない様にして下さい。
お風呂は夜の6時から10時までで、洗濯物はその時に出して下さい。次の日が晴れていれば、午後には部屋の前の木箱に水差しと一緒に置いておきます。朝食が終わる頃にも一度部屋の前に行きますから、寝巻きとかあったら一緒に出しといて下さい。
これで以上です。鍵をどうぞ」
鍵を貰う時にチップとして小銀貨1枚を渡した。
「わっ、これって……」
「長い説明ご苦労様。それはチップだから受け取ってちょうだい」
「はい! ありがとうございます!」
エレーヌちゃんは嬉しそうに答えると元気に階段を下りていった。
銀行や預かり屋に行く為に、今は必要無い武具を脱ぐ事にした。
この時、ノールの簡易手入れを施しておいた。
鎧と肩当とグローブと腰鎧の4つと剣達を棚にしまい、ダッフルバッグから黒のジャケットを取り出し着込む。篭手は薄いしジャケットは少し大きいのでキツクはない。
街中の人々を見るに、このジャケットを着ていても違和感はなさそうだ。
一応用心の為に、あのナイフを腰に差して、ダッフルバッグを肩に担ぎ出かける。
カウンターで鍵を渡し、まず行く場所はギルドだ。
迷宮探索ギルドでギルドカードの更新をしてもらう。
受付にはレナさんが居たので話は早かった。2分で更新を終え直ぐさま銀行へ向かう。
銀行はギルドの正面にあり、手続きもギルドカードのおかげで直ぐに終わった。
登録に100ソル、1回の出し入れで10ソル、両替が全体の1%の手数料になる。
大金貨一枚を預け、大金貨1枚を金貨、銀貨、銅貨の大中小それぞれに両替し、登録料も合わせ大銀貨1枚と小銀貨1枚、小銅貨10枚の5110ソルを支払った。
預かり屋は、様々な箱の大きさで料金が決まり、一番大きな2×2×1メートルの箱四つ分の料金で部屋を一つ分借りる事ができる。
今の所沢山の荷物は無いので、その一番大きな箱を一つ3ヶ月契約で借りる。
料金は1ヶ月100ソルで、4ヵ月滞納すると中身は店主の物になる。安い割りに経営が続いているのは、そうした滞納分の中身で元が取れるからだろう。
探索者は死亡する事が多いはずだからな。
貴重品と必要ない荷物を適当に放り込んで終了。
雑貨を少々買い込んで、鞄を見に行く。
鞄の大きさは関係なくて、迷宮に一度でも潜った人間の持っている鞄に、その特殊な効果が1つだけ発揮されるらしい。だから鞄を3つ持っていてもその内1つしか容量は増えない。
そして、レベルが上がったり職業が変わったりすると内容量も増加するとの事だ。
鞄が破損したら新しい鞄を持って迷宮に行く事で、また効果を付与される。
そう言えば、俺はまだステータスを見ていなかったな。宿に帰ったら確認するか。
鎧も入りそうな口が広がる雑嚢を買う事にした。
その雑嚢の中に血を一滴垂らし契約が完了する。これで特殊な鞄の出来上がりである。
鞄自体は安かったので200ソルで買えた。
宿に帰ると食事時だったのでオススメ料理を堪能し、風呂に入ってから部屋に戻った。
風呂で驚いたのが、男女共用だった事だ。
つまり"混浴"という事だ。
風呂は気持ち良かったのだが、女性の裸体など拝見した事など無く、緊張して困った。しかもエレーヌちゃんまで入ってきて、俺にくっついて色々質問してきたので困惑倍増だ。
早く慣れなければ…………。
装備などを脱ぎ、ラフな格好になってから雑貨を適当に並べる。
さて、お待ちかねのステータス確認だ。
「出てきてよ、ステータス……? ステータス表示!」
一度目で出てこなかったので焦ったが、表示まで言わないとダメらしい。
俺の状態はどうなってるのかな? 脳裏に浮かぶゲームのステータスウィンドウの様な表示を確認する。
「……はぁ。これは普通の人のとは違うだろうな……」
ステータスは俺に分かる様に設定されているのか、文字は日本語で書かれていた。
だが、おかしいのはそこじゃない。
普通こういった物は序盤ではステータスは低いし、スキルも低いか少ないものだ。
特に迷宮探索なのだから、魔物を倒して経験値を得たり、スキルを上昇させたりして徐々に強くなっていく。
レベルなどがそれに当たる。街中でレベルの話が出ていたりしたので確実にレベル上昇はあるだろう。
俺のレベルも1と表示されている。
しかし、それ以外がおかしいのだ。
まず力、これが72だ。何だこれ。普通レベル1だったら、ゲームとかだと1~30の間で設定されるだろう。なのにこの差は何だ?
一般人の力強さが5で、50キロの物を持てるとしたら、俺は700キロの物を持ち上げられるという事だぞ!
……あれ? おかしいな。700キロは無理でも400キロぐらいなら持てそうだぞ? そうなると、一般人の力のパラメータは10前後だと俺の数値でもありえるな……。いやいや、落ち着け落ち着け。他の項目に行こう。
持久力を見ろ。108、108だぞ! 2桁突破しちゃってるよ!? 何だこれ! バカにしてるだろ!
100を超えてるなんて、どれだけ体力があると思ってんだよ。
そりゃー全力疾走で20キロ走る事も難なくこなせるよ。オリンピック選手より速く10時間泳ぎ続ける事もでき……るし。……一睡もせず、休憩も入れず、食事もしないで、怪我をしようと絶える事無く襲ってくる敵50人(匹も混ざる)と、2日間戦い続ける『恐怖の死への誘い』も体感したな…………。
ふむ、思い当たる節がゴロゴロとしていたな。
どうやら、この数値はレベルとは別に換算されているらしいな。数値的には納得できる値だ。
多分他の人も、迷宮で魔物と戦わなくても訓練や修行でパラメータを上昇させる事は可能だろう。
だが、迷宮では神の祝福や、あの兎を倒した時に感じた魂の吸収が、肉体を効率良くそして大規模に作り変えるので容易に強くなれるだろう。
これが、ゲートキーパーやトォーラが言っていた『より力を付ける』事なんだな。
それにしても、余り実感がわいていなかったけど、こうして数値を見ると俺の体のばかばかしさが良く分かる。スキルなんかも有るから更に肉体の強化が進んでいる。
パラメータの方はこの際無視でいいだろう。数値の桁が高すぎるし基準が分からないから比べようも無い。
そうなると、次はスキルの方が気になるな。スキルの種類も多岐にわたるし。
能動的スキルと受動的スキルがある。
アクティブスキルは、オンとオフを自分で切り替えて制御する事で。パッシブスキルは常にオンの状態の事だ。
『地図作成』は、脳裏に今まで歩んだ道のりと、立ち寄った店の名前などが表示される。
『弱点看破』は、敵の弱点やダメージをより多く与える箇所を探る。
『命中率上昇』は、攻撃全般が狙った所に当たりやすくする。
『自動回復』は、怪我をした時の自然治癒力が上昇する。
この様なスキルがまだまだある。スキル名だけをある程度だけ公開しよう。
『罠感知』『罠解除』『罠回避』『気配察知』『殺気感知』『気流察知』『敵感知』『熱感知』『道具作成』『武器作成』『防具作成』『魔法具作成』『道具鑑定』『直感』『千里眼』『閃光耐性』『毒無効』『矢避け』『心眼』『体力回復』『衝撃浸透』『武器破壊』『気合込め』『嘘感知』『真実感知』『幸運呼び込み』『幸運手繰り寄せ』『転倒防止』『一騎当千』『難攻不落』『緊褌一番』『万夫不当』『明鏡止水』『多芸多才』
上げればキリが無いが、これでも5割だ。
スキルにもレベルがあって、殆どが低い。これは、スキルに合った能力を習得しているが、迷宮に潜って得た物ではないから、スキルのレベルを上げたくば迷宮内で頑張れと言っているのだろう。
スキル効果上昇率も高くなく、1~2%程の上昇率しかない。これが、そのスキルに合った職業になった時、パーセントの数値は上がるのだろう。
スキルの説明を見て分かったが、意味が似通ったスキルがあったりするが、これはどの職業に就いたかで得られるスキルが変わるので、その職業に合ったスキルを獲得できるみたいだ。
俺は今どの職業にも就いていないから、修行で得た、それぞれの特技がそのスキルに適用されて表示されている様だ。他の探索者も違う職業のスキルを得る為に訓練すればスキルを獲得できると思う。
ただし、職業補正と祝福が得られないから、俺と同じ様に地獄を体験しないとダメだろうな。
まぁ、キツイのを何年もと繰り返さなくても、レベルの低いスキルなら得られるかもな。一度スキルが表示されたら、後は表示されてる行動を繰り返すとスキルの経験値が獲得される様になっているみたいだ。
スキルの経験値獲得と、効果の上昇は俺の様に低いけどね。
俺は今、他の探索者に比べ金銭面でも能力面でも、圧倒的な優位に立っているらしい。
運の数値が高いのが分かったので、それもこの状況に影響しているのかな? 運の高さは魔物の素材獲得にも多大な影響をあたえ、数が増えたり上等な素材が手に入ったり、同じ素材だがより高品質の素材に変わったりと良い事尽くめだ。
ステータスを見る事で自分の状況を更に詳しく知る事ができた。明日の講習会でも、予習の有る無しでは知識の獲得状況に影響するからな。
でも、更に知り合いを増やしてこの世界の知識を増やし気兼ねなく話せる様になりたいな。
新しい場所での交友関係は、生活を豊かにし、精神の安らぎも得るだろう。
会話の度に変な事を話さないかと気にするとストレスが溜まるからな。
ステータスの確認はこれで終了。
次は、面倒くさい作業に入る。文字の勉強だ。
外も日が落ちて、一般人ならそろそろ寝る時間なのだが、これをやらない訳にはいかない。
明かりが点いているランタンを机の上に置いた。その他に、紙やシャーペンと、本屋で買った本を並べる。
俺の夜はまだ始まったばかりだ。
只今夜中の2時。あれから勉強に5時間掛けたが、そこそこ身に付いた。
キリが良い所まで進んだので、ここらで睡眠に入る。
睡眠も修行の中に入っていたので、ショートスリーパーを学んでいた。通常のショートスリーパーと違って、更に時間を短縮して1時間少々で疲れが取れるように訓練をしたのだ。
今日は2時間ほど寝て、起きたら素振り等の基礎鍛錬をするつもりだ。
トォーラの言っていた様に基礎は怠らない。
自分の為にも。
ステータス内のパラメータやスキルはそこまで気にしなくても良いです。
これからも細かく出てくる事は無く、「そういえばそんなのもあったな」程度に考えて下さい。