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万能勇者、敗北。そして二度目の人生は最弱から   作者: 虚無しお
第1部5章:最後まで、共に行こう
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【第38話】興醒めです


 焦げ付いた匂いが立ち込める中、倒れている影がもうひとつ。

 黒く焼け焦げ、誰のものか判別できない──が、

それがユウトであることを、セレーナだけは知っていた。


(……どうして、こうなるのよ……)


 彼女は心の中でつぶやく。

 魔術の代償として完全に焼き尽くされたその身体に、

もう命の灯火は、残っていなかった。


「ちょっと……なんで、そっちに行くのよ……ふざけんな……!」

 

 セレーナは肩を震わせ、唇を噛みしめながら後ずさる。

 その目に涙はなかった。ただ、怒りとも戸惑いともつかない感情を吐き捨てるように、背を向けて走り去った。

 誰も追わなかった。



「興ざめです……」


 ユイは静かに、カイムの胸へ手を添える。

 次の瞬間、彼女の身体は、光の粒となって霧散した。


「ちょっと……何がどうなってんのよ……」

 リズの声が震える。


「私は、この迷宮の管理者──カイム」


 黒髪の少女が一歩前へ出る。


「何はともあれ、魔王を倒した者には、願いをひとつだけ叶える権利があります」


「ユイとカイルを──生き返らせてくれ」

 レイが即答する。


「……それは不可能です」


「なぜだ!?」


「この者は“この世界の者”ではなく、特殊な呪いにより完全に消滅しました」


「魂だけなら……ぼんずの“口寄せ”で呼び戻せるのではないかの?」ムン老師が口を開く。


「仮に呼べたとしても──戻す“体”が存在しません」


「魂を呼んでも、戻る“器”がない……か」

ノーランが、静かに呟いた。


「ユイちゃんの方は?」


「もとは私の一部。しかし自我も記憶も深く溶け、回収はほぼ不可能です」


「……それでも、なんとか──」ミユキが食い下がる。


「仮に試すとしても、こちらの時間で五億年ほどかかりますが?」


「時、か……そうだ!」

レイが、不敵に笑う。


「願いは決まったようですね」

カイムが目を細める。


「──俺たちの精神を、“魔王を倒す前”に戻せ」


夜20時ごろにももう一話投稿予定です。

よかったらぜひ!

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