【第22話】爆ぜる城
爆煙の中から、カイルたちの姿が現れた。
「敵かと思ったらユイかよ……」
カイルが服の埃を払いながら呟く。
「もうちょっと威力抑えようね、ユイちゃん。カイルに会えてうれしいのはわかるけどさ」
リズが苦笑混じりに言うと、ユイは顔を伏せた。
「……すいません……」
小さな声だった。その指先が、かすかに震えていた。
そんなやり取りなどお構いなしに、前線では戦闘が続いている。
煙が晴れきる前に、誰もが武器を構えていた。
「いいぞあんちゃん! タダシなんざやっちまえ!」
タケル王が背後から気楽に声援を飛ばす。
レイとタダシの刃が、鋭く交わっていた。
「ちょっと本気出すか」
レイの声が、静かに響く。
次の瞬間、地がうねり、刃に水と火が絡み、風がタダシの足元をさらった。
さらに手のひらから放たれた光が、一直線にタダシを貫かんとする。
その姿は、もはや人の域を超えていた。
「やれやれ、これじゃあ全部レイ一人でいいじゃないか……」
ノーランが思わず漏らす。
「これが……レイのすごさなのよ……」
リズが、少しだけ悔しそうに言った。
その拳が、無意識にきつく握られている。
「まあそういうなって」
カイルが苦笑しながらなだめた。
レイの猛攻を受け、タダシはわずかに傷を負ったまま無言で後退する。
そのまま煙の中へと、静かに溶けるように消えた。
「逃げたか……」
タケル王が眉をひそめる。
「よし、行くぞ!」
一行は城の奥、天守閣へと駆け上がった。
そこには――ヒイラギの姿があった。
「遅かったなおぬしら」
ヒイラギは不気味に笑い、小瓶を取り出す。
「これを撒けば、城下は一夜でわしのものよ」
「相変わらずきたねえなヒイラギ。器がちいせえ奴はやることも大したことねえな!」
タケル王が吐き捨てる。怒りよりも、軽蔑が滲んでいた。
「なんとでも言うがいい。わしに手を出したらどうなるか……!」
そのとき。
「モウメンドクサイ」
機械のような声が、場を切り裂いた。
ユイの呼吸が、不自然に止まる。
瞳が、ゆっくりと紅く染まっていく。
「おいユイ、これやばいやつじゃ……」
カイルが顔を引きつらせる。
そこにあったのは、怒りでも恐怖でもない。
感情のない、紅だった。




