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秘密組織『ルース』   作者: 日々レイオ
第3章 昇格試験編
25/25

秘密25 昇格試験①

「東京到着! やっぱり落ち着きますねー」


「そうだな、とりあえず社長に着いたこと報告しに行くぞ」


東京に着いた4人は荷物を持ったまま東京部隊基地に直行した。


「ここの大食堂も落ち着きますねー」


「そうだな」


翔太(しょうた)蓮介(れんすけ)が話す後ろを着いていくと遠くから恭也(きょうや)を呼ぶ声が聞こえた。


「恭也さ~ん」


渥美(あつみ)くん!」


文治(ふみはる)花梨(かりん)! 久しぶり!」


走ってきた花梨が恭也の腕に抱きついた。


「大丈夫だったか?!」


「うん、大丈夫だよ。ありがとう文治」


「花梨、恭也さんがいなくて寂しかった~」


恭也の腕へとさらに強く抱きつく。何やら後ろで鈴蘭を翔太と蓮介が止めていた。


(すず)先輩! 落ち着いて!」


「何よあいつ!」


「殴りかかろうとしないでください!」


「恭也さ~ん、明日昇格試験受けますよね~?」


「受けるつもりだけど……」


「じゃあ受かったら花梨と文治さんと一緒にチーム組みましょ~。(いく)さんと拓斗(たくと)さんはもう別の人たちと約束してるみたいなので余り者たちで組みましょ~」


「俺でいいのか?」


「は~い、もちろん。余り者もあるけど……花梨は恭也さんと組みたいな~」


上目遣いで頼む花梨を鈴蘭が睨みつけている。


「いいよ、受かったら組もう」


「ありがとうございま~す」


「約束だぞ!」


「あぁ、じゃあまた明日」


文治と花梨に別れを告げた恭也は蓮介たちと共に会長室へと向かった。鈴蘭は去り際に嫉妬深く花梨を睨みつけていた。


「ふふっ………鈴蘭怖いなぁ……」












「おー! おかえりなのじゃ! 首をながーくして待っておったぞ!」


「おかえり、早速で悪いが名古屋で起きたことを聞かせてほしい」


笠原(かさはら)の要望に蓮介はこと細かく応えた。突然名古屋市内の人間が獣人になり、それが悪物であったこと。その獣人化の犯人が参葉(さんは)という謎の人物で恭也を狙っていたこと。その参葉を(あんず)が倒したことも。


「…………その参葉は何者なんじゃ? 杏に負けたということは大した奴じゃない………つまり……単独犯ではないということか………」


「正体がわからないんじゃ動けない……大元でも動いてくれればいいんだが……」


悩み黙り込んでしまった佳代(かよ)と笠原に釣られ恭也と翔太も何やら悩み始めてしまった。それに痺れを切らした蓮介が手を叩きみなの視線を集めた。


「はいはい、今日はここまでにして解散しましょう。恭也明日昇格試験だろ? 早く帰ってゆっくり休め」


「そうよ、あんな簡単な試験さっさと受かってA(エース)になりなさい!」


「鈴ちゃん先輩早く(きょう)先輩と合同任務したいですよねー!」


「べ、べ、別に! そういう訳じゃ!」


「隠さなくてもいいんですよー、オレは知ってますから!」


「違うっ! 待て! ばか翔太!」


「鈴ちゃん先輩こわーい」


会長室を飛び出し追いかけっこを始めた2人に会長室にいた全員が笑っていた。恭也の笑みは今までの不安な笑顔ではなく心から笑っている。そんな笑みだった。









昇格試験当日、告知されていた大会議室へと向かうと多くのJACK(ジャック)隊員が試験開始を今か今かと待っていた。その中に大きな声でこちらに手を振る人物が一人。


「渥美くん! こっちの席空いてるぞ!」


(声でか………めっちゃ視線集まってるし………)


申し訳なさそうに席にたどり着くと文治と横に花梨が座っていた。


「恭也さ~ん、おはよ~」


「おはよう、花梨今日は珍しく眠くなさそうだな」


「今日は~試験だから早く寝て準備したんだ~。えらいでしょ~」


花梨は頭を撫でてほしかのように頭を差し出してきた。恭也は花梨の頭を優しく撫でた。


(妹がいたら……こんな感じだったのかな……)


「試験を受ける人全員いる? 」


大会議室に入ってきた試験官とみられる少女は同じ討伐隊のジャケットを着ていた。腕章にはQUEEN(クイーン)と書かれており、ワンランク上のことがわかる。両隣にいる補佐官も同じくQUEEN(クイーン)の討伐隊員だ。


「ではこれより昇格試験を始めます。試験解説の前に自己紹介から、ワタシは本試験を担当する試験官、討伐隊QUEEN(クイーン)チームCのリーダー霧山美怜(きりやまみれい)です。よろしくねー。私の左にいるのが同じく成海龍星(なるみりゅうせい)


「……………ん……」


龍星はよろしくの一言も発さずぺこりと一礼した。


「この人目付き悪くてあんまり喋らないかもしれないけどごめんねー。それから私の右にいるのが」


雨留守円香(うるすまどか)です。好きなタイプはお金がある人で、さらにイケメンだと助かります♡ 彼氏募集中なので気軽に声かけてください♡」


龍星までの自己紹介はよかった円香の自己紹介で試験者全員が大丈夫かこれと不安そうな顔をし始めた。


「あはは…………円香は置いといて」


「美怜さんひどい!」


「ワタシたちは去年も試験官をしているからルールもすべてわかっているから安心して。もう3年は試験官してるからベテランだよ」


「それにしても今回も多いよねー。まぁ片手で数えられるぐらいしか昇格できないんだけどさ」


「ちょっと! 円香!」


(両手……つまり5人以内しか合格できない……人数が決まってるのか………?)


「一応説明しときますけど、合格人数は決まってません。ただ…………………QUEEN(クイーン)に見合う者はほとんどいない…………ということです。入隊できたとしてもこの壁を乗り越えられるのは年に数人いるかいないかということです」


美怜の説明から発せられたのは試験者たちを騒然とさせるものだった。QUEEN(クイーン)ぐらいなら簡単に昇格できると思っている者が多くいるが、それは間違いだ。死と隣り合わせの討伐隊は昇格するのがルース内でもっと難しい。つまり討伐隊の頂点に立つA(エース)はそれほど強く、信頼されているということだ。


(………やっぱり………蓮介すごい…………俺も!)


「では試験内容を説明します」


美怜の真剣な顔に試験者のほとんどがごくりと唾を飲んだ。美怜はにこっと笑った。


「ワタシたちを倒してください」


その言葉を聞いた瞬間欠伸をしている花梨以外が心の中でこう思った。


(((((どういうこと? 無理じゃね?)))))


「倒すというのは詳しく言うとワタシたちからこのバンダナを奪ってほしいということです。ワタシたちはバンダナを二個ずつつけます。そのバンダナを一つでも奪えたら合格。期間は1ヶ月。全力で奪い取ってください! 私たちは模造刀とペイント弾を使用します。ペイント弾に当たった人はその場で失格ですから」


(((((無理かも!)))))


「あの~」

意気消沈するものがほとんどの中花梨が挙手し美怜たちに質問した。


「奪うのにルールはないんですか~」


「特にないよ。ただし武器の使用は基地内のみ」


「了解で~す」


「他に質問は?……………ないみたいね。では! 今から一時間後に開始します! 頑張ってね!」











1時間後の試験に備え、多くの者が退出する中文治は早速諦めの声をあげた。


「無理だな!」


「諦めるの早すぎませ~ん?」


QUEEN(クイーン)のチームCと言えばKING(キング)に最も近いと言われている! そんな3人を相手にできるとはとても思えないな!」


「でも~花梨はバンダナ奪うよ~。3人でチーム組みたいしね~。文治さんは諦めるの~?」


「……むむ…………諦めんぞ! 最後まで抗ってみせる!」


「あはは……」


「恭也さんも頑張ろうね~?」


「できる限り頑張るよ……」


「じゃあまずは相手のことを知らないとな! ということで! 自分が調べてきたデータを2人に叩き込んでみせよう!」


「わ~、文治さんすご~い」


「まずは! リーダー霧山美玲だな! 霧山美玲は刀をメインにして戦うことが多い、実家が道場で剣道を習っている。他の素人とは違い刀の動きにキレがある。次は雨留守円香、こっちも刀使いだが、新体操を習っており体が柔らかい。きっとバンダナを取ろうとするとするりと躱されるだろう。最後に鳴海龍星。銃使い。先月の銃命中訓練のランキングはQUEEN(クイーン)でありながらもトップ5。確実にペイント弾を当ててくるだろう」


「へぇ~……じゃあ花梨は~龍星さんのバンダナ取ってこようかな~」


「自分は見つけた人誰かから取るぞ!」


「俺も……そうしよかな……」


文治から詳細を聞けた恭也は蓮介に預かってもらっているタムを引き取りに行くため2人と別れ、蓮介(れんすけ)の休息室へと来ていた。


「お待たせ、(れん)、助かったよ」


「お気になさらず。タムずっと寝てたから大変じゃなかったぞ、それより試験はチームどこだったんだ?」


QUEEN(クイーン)のチームC」


チームCというのを聞いた蓮介は恭也を見ながらニヤニヤしていた。


「なんだよ……その顔……」


「いやー、いいチームが試験監になったものだなーって。チームCなら恭也は雨留守円香のバンダナをとった方がいい」


「? なんでだよ」


「雨留守の戦い方は現A (エース)8位の戦い方に近い。A(エース)の戦い方知ってた方が後々得だろ?」


蓮介はただおすすめしているだけではない。雨留守と戦えと言っているのは未来のことも兼ねて言っているのだ。


「つまり……A(エース)8位と近い未来戦うことになると?」


すやすやと眠っていたタムの鼻ちょうちんが割れた。


「せいかーい!」


「世界一嬉しくない正解だ……」


「それに8位だけじゃない、6位も……そして1位も……だから少しずつでも強くなりなよ。俺の隣に立ちたいなら」


「あぁもちろんやる。自分のためにも。未来のためにも」







最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

ここからは恭也、文治、花梨がメインとなります。この章が終わればまた蓮介たちも出てきますのでご安心ください。

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