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ここは魔界  作者: 除野 歌猫
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第十一話 「VSゴージュ」

 ここは魔界。魔王は暇を持て余していた。

 森で魔獣ゴージュを狩ろうと散策していた一同。しかしゴージュと予定より早く遭遇してしまい・・・。

 ここは魔界。

 魔物達巣食う混沌の世界、魔界である。



 魔獣とは、現在魔界に生きる全ての生物のなかで、共通の言語を持たない者達のことを指す。

 たとえ魔力を自由自在に使えても、会話が出来なければコミュニケーションはとれない。つまりは獣なのである。

 ゴージュもその一種で、脅威的な突進を武器とした魔獣なのだ。




「でぇぇぇぇいっ!」


 勇者は突進してくるゴージュを剣で弾き退く。

 だがゴージュは、数体で相手を休ませないよう突進してくる。


「ぐっ、なんだこいつら、仲間と連携を取っているのか」

「だから言ったろ、下手に魔界を歩き回ると殺されるって」


 魔王は喋りながらも突進してくるゴージュを確実に退ける。

 現在魔王達は互いに背を向けあった円陣を組んでいる。魔王から時計回りに、武闘家、副臣、勇者、魔法使い、弓使いの順である。


「それはこいつらを見て十分わかった!どうすればいいんだ!」


 勇者が真後ろにいる魔王に向けて言った。


「おい魔法使い」

「無視かっ!?」


 その言葉に反応するように魔王は魔法使いを呼び、勇者は無視をされた。


「・・・なに?」

「お前電撃は出せるか?」

「・・・できなくはない」

「威力は?」

「・・・この前の魔王より少し劣る」

「十分だ」


 魔王はニヤリと口の端を吊り上げる。この会話の間にも皆、突進してくるゴージュを退けている。


「副臣」

「はい」

「"あれ"三人でやるぞ!」

「三人で・・・わかりました」

「さっきからなんだ魔王!なにをするんだ!」


 先程無視をされた勇者は業を煮やして言う。


「今言う落ち着け」

「そうも、いかねぇ」


 そこで口を開いたのは勇者ではなく、武闘家であった。

 武闘家の息は上がっていた。

 武闘家は武器を持たない。自らの手足を武器にするということは自由自在に動くことはできる。しかし存外リーチが短いのだ。

 敵はまるで槍のように真っ直ぐ鋭く迫ってくる。横殴りして弾くという作業は同じでも、剣と拳では体力の減りが比ではないのだ。

 既に武闘家の拳からは赤い液体が滴っていた。


「武闘家!?」


 勇者がそんな武闘家を横目で見て驚く。しかし駆け寄ろうにもゴージュの攻撃は止まない。


「大丈夫だ」


 武闘家の隣にいる魔王が言い放つ。


「なにを―」


なにを根拠に。勇者はそう言おうとしたが、


「俺にやられた時の方が重傷だった」

「「「「・・・・・」」」」


 確かにと思う反面、それをお前が言うかとも思った一同だが、勇者一団は言葉が出なかった。なぜならそれを言ったら魔王がまた怒る気がするからである。


「とにかく、この状況をどうにかする。お前等よく話を聞け」


 誰のせいだか静かになった面々に向かい、魔王は言う。


「ゴージュはな――」


 ガギンッ!←魔王がゴージュを弾く音。


「え?なに?」


 勇者は魔王の声が聞き取れなかった。


「ゴージュは!――」


 ガギンッガギンッ!←魔王が続けて突進してくるゴージュを弾く音。


「聞こえないぞ!」

「ゴー――いい加減にしろっ!!」


 魔王は怒りに任せて突進してくるゴージュに電撃を浴びせた。


「ギャブゥ!」


 その電撃を喰らったゴーシュは身体から煙を出しながら逃げて行った。


「はぁ、ゴーシュは電撃に弱い。見てわかったろ」


 思い切り叫びながら電撃を放った魔王はため息をついた。


「わかった。けどそれでどうするんだ」


 一度電撃を浴びた仲間を見て牽制するゴージュ達。

 その間に勇者がまた魔王に質問をぶつける。


「まず反撃の力を抜いていく。するとゴージュは一斉に襲って来る。そこで俺と副臣、魔法使いで電撃を三方になるべく広く放つ。後はゴージュが怯んでるうちに二人一組になって各個撃破だ」

「各個撃破って・・・それで・・勝てんのか?」


 すでに息が切れている武闘家が言う。ゴージュは強い。だから心配なのだ。


「大丈夫だ。行動は二人。死ぬ時はそいつと一緒だ」

「・・・・・」


 勇者一団は何が大丈夫なのかわからなかったが、それに従うしたなかったので黙っていた。

 しかしこの魔王、時に冷酷である。それが魔王として必要な要素なのか、魔王の素の性格なのか。


「合図したら勇者と武闘家、弓使いはしゃがめ。でないとお前らも黒焦げになる。いいな」

「わかった」


 勇者が返事をするのと共に頷く弓使いと武闘家。


「よし。じゃあやられない程度に力を弱めてゴージュを油断させろ」


 魔王の言葉で武器を構え直す一同。一度は距離を取っていたゴージュがまた集まり始める。

 数刻の後、またゴージュ達の突進が始まる。


「押し切られないギリギリまで力を抜けよ」


 反撃の力を抜くということは、ゴージュに対してのダメージが少なくなるということ、ゴージュはそれを感じ取り一度攻撃を止める。そうして次に一気に突進を仕掛けるのだ。


「よし、いい感じだ」


 魔王は皆の攻撃を音で感じ取り様子を伺う。


「まだだ」


 ゴージュが徐々に相手が弱ったと勘違いし、攻撃を弱め始める。


「・・・来るぞ」


 その魔王の言葉を合図にしたのか、ピタリと止まるゴージュの攻撃。そしてゴージュは周りをゆっくり囲むように動いている。ここで逃げようものならそれこそゴージュ達の餌食になるのだ。


「・・・・・」


 一同の緊張感がピークになる。


「ヒギュゥゥゥゥゥゥゥ!!!」


 次の刹那、ゴージュの一匹が咆哮する。そして一斉に突進してくる。


「今だっ!!」


 作戦開始。

 勇者、武闘家、弓使いが合図でしゃがみ、魔王、副臣、魔法使いが強烈な電撃を放つ。


「ギャブゥ!」

「ブグゥ!」


 扇状に放たれた電撃が三方。六人の円の周り一周分をカバーするには十分である。

 突進して来たゴージュの大半が電撃を浴び大きなダメージを負った。


「よし行くぞ!」


 これから二人組でゴージュの撃退をしようと魔王が副臣の方へと振り向く。


「で、誰と組むのだ?」


 そんな魔王の考えをぶち壊したのは勇者の一言だった。




 待て、次回!





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