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第三話

 あれから数日、世界は平和なものだ。


 裏の畑ではポチが啼き、鬼哭啾啾たるその様に、聞く者の心を震わせたり。

 復讐心を燃やす兎が、狸軍を釣り野伏で誘き出し火計で族滅したり。

 モヘイお爺さんの所で、狐との壮絶な三日三晩の死闘の末、狐が討たれたけど実は勘違いだったり。

 そんな事もあったが、些細な事だ。


 そんな平和な午睡を楽しんでいる所へ、ホムンクルスが帰って来た。


「ただいまー」

「ただいまー、じゃない!」


 思わず、引っ掴んでストレージへぶち込んでしまった。


「あらウェーレ、誰か来てなかった?」

「ううん? 何か間違えただけみたいで、すぐ帰ったよ」

「あらそう」


 お母さんはそう言って、戻って行った。


 危なかった。

 娘と同じ顔の奴が、ただいまと入って来たら、両親は混乱してしまうだろう。

 混乱したら……あれ、別に私に甘いから、どうとでも説明出来るな。


 いやしかし、それでも説明を考える時間は必要だろう。

 とりあえず森に行くか。


「お母さん、ちょっと森に遊びに行って来るねー」

「気を付けるのよ」

「はーい」




 そんなわけで、森に来て、誰も居ない事を確認。

 ストレージからホムンクルスを出す。


「暗いよ広いよ怖いよー。

 あと暇だよー」

「暗いのは何となく想像付くけど、広いんだ」

「そりゃ容量無制限だから」


 言われてみれば、その通りである。


「それで暇だったから、うんこ使わせて貰ったよ」

「は?」

「宝物に変換しちゃった」


 そう言って見せて来たのは、私に似せた人形だろうか。


「これ何?」

「これも宝物の1つだね、身代わり人形と言うべきかな。

 呪いや魔術を代わりに受けてくれる」

「錬金術?」

「いや、これは錬金術には関連しない、純粋な神の宝物だよ。

 ドラゴンの魔法に手を焼いたから、作らせて貰ったんだ」

「へー、ってもう挑んだの!?」


 話を聞いてみると、軽く手合わせ的な感じで、お互い本気にはならなかったようだが。

 それでも日が落ちるまで握り殴り合って、傷だらけで似た者同士と笑い合っていたとか。

 とんだ軽い手合わせもあったものだ。


「魔法ダメージを無視出来れば、回復や回避の分DPSが増えるからね」

「でも受けれる限界はあるんでしょ?」

「だから結構な数を用意したんだよ、ほら」


 と、十数体の人形、人形、人形。


「装備スロット限界まで用意したから」

「そんなにあるんだ」

「予備スロット含めてだけどね、壊れたら自動補充される」

「なるほど」


 そう言えば、RPG部分はそんなシステムだった気がする。

 予備スロットは、他に戦闘中に装備変更も可能だった筈だ。


 便利だと思うだろうが、これ用の戦闘ギミックがあるせいで、テンポが悪くなってしまっていた。

 いちいち戦闘前に、スロットの変更が必要なのだ。

 出来る事を増やしたからと面白くなるわけではない、バランスの難しさが分かる良い例だろう。


 結局、アップデートでホムンクルスが言ったような自動補充の概念や、予測システムによる自動切換えなんかが入る事となった。

 予測システム自体が枠を取るから、痛し痒しと言った所ではあるのだが。


「あ、それとそろそろ町に素材を卸したいんだけどさ、顔が一緒だと困るよね」

「あー、そうだね、どうしよう」


 間違いなく、私と勘違いされる。

 そうでなくても、同じ顔である事で噂になってしまうだろう。


「じゃあもう一回ストレージに入るからさ、キャラリメイクして髪の色とか顔を少しいじってよ。

 体形は質量限界があるから、そういじれないけど」

「出来るの!?」

「そう、ストレージならね。

 と言うか、現実とは隔離されているから、融通が利きやすいって感じだね。

 幽世は現世ならず、とかく不思議な事が起こるものさ」

「ご都合的だけど……助かるから良いか」


 その後、ホムンクルスにストレージに入って貰い、ちょこちょことカスタマイズを施す。

 髪の色は、何か選べる中だとピンクが一番似合っていたので、それにする。

 顔は、もう少し凛々しい感じで、どうせなら美人に。

 肌の色も、日に焼けてない感じにして、と……。


 1時間ほど掛けて、完成。

 ストレージから出したホムンクルスは、雰囲気から私と違っていた。

 鏡を見せて、確かめさせる。


「これでどう?」

「顔は似てるけど、雰囲気もカラーも違うね。

 うん、これでまず関係を疑われる事は、ないと思うよ」

「良し、それじゃあバージョン2の完成だね。

 いやあ、状態保存出来ないでしょ、大幅にいじれなかったから、良かったよ」


 ある時点の状態を保存しておいて、リセットなんてのが出来ない。

 一発勝負なので、体形までいじるのはやめておいた。


 しかし、それでも顔を少し変えただけでも、かなり雰囲気が違う気がする。

 所謂、凛々しい系の美人寄りになった感じだろうか。

 私はどちらかと言うと、可愛いと言われるタイプなので、棲み分けが出来た。


「それと、名前なんだけどね。

 町で色々と動くには、必要だと思うんだ」

「そう言えば付けてなかったね」

「それでハイヌウェレに因んで、君がウェーレだし、ハイヌをいじってハイネとでも自称しようかと思うけど良いかな」

「あー、うん、良いんじゃないかな?」

「うん、ありがとう、君とお揃いだね」


 おおう、その顔で微笑まれると、何かきゅんと来る。

 普通にホムンクルスから、ムンクちゃんとか付けようとしてたけど、しなくて良かったよ。


「さて、会いに来た目的も果たしたし、また山に籠るかな」

「ああ、それで今日来たんだ」


 いきなり帰って来たから、何事かと思ったが、納得した。


「それじゃ、ドラゴンと決着を付けて来るよ」

「うん、頑張ってね」

「勝利を貴女に、ってね」


 そう言って、ホムンクルスことハイネは、颯爽と山へと帰って行った。




 その後、友情の芽生えたドラゴンと友人になったり(ハイネが)、攻略対象と親しくなる(ハイネが)イベントがあったりするが、それはまた別の話。


だが〇〇こだ


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