エピローグ
「ねぇ。ディアロ?」
「なに?」
「もう復讐相談事務所なんてやめない?」
レイの言葉にディアロは微妙な表情を浮かべる。
その表情にやはりダメなのかと思う。
「そうだな……。少しずつ減らしていく形で良いか?十年後にはほとんど仕事を受けない。それから更に時間を掛けて終わらせようか?」
「………いいの?」
もう終わらせようと言ったレイがディアロの言葉に驚く。
まさか少しずつ縮小していく形だが同意するとは思わなかった。
「念のためにお前や他の者にも喋らない様に呪っているとはいえな……。それにレアーの教育にあまりにも悪すぎる」
それはそう、とレイも頷く。
復讐相談事務所の仕事を手伝わせているとはいえ、たたかにあまりにも教育が悪い。
もしかして幼い子供を手つ出せていることにアムルも良心がうずいてしまったのかと考える。
「何?もしかして今更、良心がうずいたの?たくさん他人が死んだのだのに?」
そもそもディアロに良心があるのか謎だった。
多くの者を死ぬ事件を引き起こしておいて、まだ復讐の手伝いをしている。
それがレアーの為とは止めるなんて信じられなかった。
「将来的には子供も産まれるだろうし、同じ仕事をしたら直ぐに犯罪者として捕まるだろうしなぁ……。子供には普通に生きて欲しい」
有り得る話に今度は納得する。
復讐相談事務所なんてやって警察に捕まらないのはディアロの実力だ。
子供まで、その実力が引き継げるとは思えない。
ディアロだからこそだと考えれる。
「そういうこと………!!!」
そしてレイは自分とディアロの子供のためだと理解し、それを想像して顔を赤くする。
自分とディアロの子供とはそういうことだ。
たしかに将来的には結婚したいが、やはり口に出されると恥ずかしい。
「何の話でしょうか?」
レイが顔を真っ赤にして逸らしているとメイド服を着たイラーが近づいてくる。
可愛らしい服装でトコトコと歩いてくる姿は見てて癒される。
ディアロは無意識に抱っこする。
「将来の話。君も関係あるだろうけど、まだまだ決まっていないから話せることは無いかな?」
将来と聞いてイラーは恐怖で身体を震わせた。
もしかしたら将来は捨てられてしまうんじゃないかと考えてしまう。
話せないということは自分を捨てる算段がまだ出来ていないからと想像してしまっていた。
それだけは嫌だとディアロにしがみついてしまう。
「………?もしかして捨てられると思っている?」
ディアロの言葉に震えるイラー。
それにディアロは苦笑するしかなかった。
「安心して大丈夫。将来は君も連れて一緒に連れて行くから。君を捨てる気なんて毛頭ないよ?」
安心させるように背中を軽く叩きながら口に出していくディアロ。
ここまで慕われていて悪い気はしない。
将来的には自分の子供の面倒も見て欲しいと考えていた。
「ほんとう……?」
「本当。未来では俺の子供の面倒も見て欲しいし信頼しているからね?お姉ちゃん?」
お姉ちゃんと呼ばれ嬉しそうに首を横に振るイラー。
レイはそれを顔を赤くしながらも微笑ましそうに見ていた。
「ねぇ。復讐相談事務所を辞めたら何をするつもりなの?」
「喫茶店でも営業しようと思っています。その為には大学に行って経営の勉強をしないといけないけど……」
喫茶店かとレイも頷く。
意外と良い案かもしれない。
自分も料理の他に一緒に経営の勉強をするのも楽しそうだ。
だとすると一先ず将来は進学することになるのだろう。
「何か喫茶店を開いたら貴方の崇拝者が常連さんになりそうね?」
「お前のファンも毎日、来るだろうな?」
喫茶店を開いたら互いのファンと崇拝者が来るだろうと想像する二人。
毎日が退屈しないだろうなと想像する。
「そうだ。面白そうだし護身術を教える道場も建てるか」
「…………」
ディアロに護身術を教わった者たちは国でもトップクラスの実力者になるだろうなと想像できる。
結構、教わりに来る者たちも多いかもしれない。
「そうね……。だけど一人じゃ厳しいし何人か雇った方が良いわね。貴方の崇拝者から特に強くて面倒見が良い奴を選んだ方が良いわね」
「そうか……。ならその選別の手伝い頼んで良いか?」
レイの提案にディアロは頷き、更に頼みごとをする。
苦笑しながらレイもそれに頷く。
自分たちの経営して居る道場なのだ。
レイとしては自分の目で働く相手を確かめたかったから問題ない。
「それにしても私達好き勝手に生きて罪を償わなくて良いのかしら?」
そう言うレイの顔は後悔や苦渋に満ちていない。
単純にディアロがどんな答えを出すのか気になる程度の疑問だ。
「気付かない方が悪いだろ?そもそも、その復讐も元はと言えばされた相手が悪い。そこまでの恨みを買わなければ、こんな事務所なんて見つけられない。もし見つけても変な名前だとスルーされる」
「たしかに………」
普通に考えて復讐相談事務所なんて名前を見つけても入らない。
入るのなら、それだけ追い詰められてるということだ。
それだけのことをして復讐されないと思っているのが、ディアロにとってはおかしかった。




