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第十四幕 帰郷と

次話を読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


 王都ベルン、王城でルイートは久しぶりに祖父の弟に当たる大叔父アルドを面会していた。

 王ルイートは、アルドに近付き

「お久しぶりですアルドお爺様…」

と、アルドの手を取る。


 アルドは微笑み

「元気そうでなによりだ。ルイートよ」


 ルイートは微笑みながら

「アルドお爺様がいなければ、私は王ではなかったのですから。何時でも気軽に遊びに来て欲しいです」


 アルドがフッと笑み

「昔の王家の血筋がしゃしゃり出ては、今の王であるお前に、迷惑が掛かる。それだけはしたくない。許せ…」


 ルイートが

「アルドお爺様、今日は一緒に私と私の家族と共に食事をして積もる話をしましょうぞ」


 アルドが渋い顔で

「残念だがルイードよ。そう穏やかに過ごす時間はなさそうだ…」


 ルイートが不満な顔で

「どうして?」


 アルドが真剣な顔で

「今、ここで話した事が漏れない。口の固い連中だけで、話がしたい」

 

 ルイードは、アルドの真剣な雰囲気に肯き

「分かりました。アヴァロス・ロディーマ」

と、王座の周りにいる相談できて口が固い二名を呼ぶ。

 アヴァロスは、女性騎士でルイードの長男の許婚だ。ロディーマは、ルイードの長男で王子ある。


 二人をルイードが呼び

「私と一緒にアルドお爺様をもてなすぞ」

『はい』とアヴァロスとロディーマは頷いた。


 四人は城の中で一番高い塔の客間に行く。そこは壁が分厚く、許された者しか入れない王族専用の空間で、壁の中には盗聴を防ぐ認識阻害魔法が埋められて、ここで会話しても外に漏れない。


 テーブルにルイードとロディーマにアルドが座り、アヴァロスが紅茶を用意していると、アルドが

「今回の討伐に際してゴッドジオ級を倒したマキナについてだ」


 ロディーマが

「あのようは山も越える巨大なマキナ。見た事がありません」


 ルイードが

「トオルという人物の話を聞いたが…。あれはまさか禁忌の者達が…」


 アヴァロスが紅茶セットのお盆を持って来て

「だとしたら…脅威です。他の周辺国に呼び掛けて、禁忌の者達の一掃を…」


 アルドが

「本当の事を言おう。トオルは、禁忌の者達によって改造なぞされていない」


『はぁ?』とアルド以外が疑問の顔だ。


 アルドは真実を告げる。

「トオルは…異界渡りだ」


 ルイートと息子のロディーマがハッとして

「本当なのですか?」

と、ルイートが尋ねる。

 アヴァロスが

「あの…ルイート様…。イカイワタリとは…?」

 ロディーマが

「アン」とアヴァロスの愛称を告げ「国を治める王族達の中でも秘匿とされている言い伝えに、異世界という…我々がいる世界とは全く違う世界があり、そこから来訪者が現れる事を異世界から来た者、異界渡りと呼んでいるんだよ」


 アヴァロスが、四人分の紅茶を用意し終えて、席に着き

「我々がいる世界とは別の世界から…」


 ルイードが

「成る程…だからこそ、あのような前代未聞の巨大なマキナを…」


 アヴァロスが

「ルイード様、それが異界渡りと、今回の巨大なマキナにどのような関係が?」


 ロディーマが

「アン、異界渡りをした来訪者は、皆…この世界に来る時に、デウスエクスマキナと接触するらしい」


 アルドが

「そうだ…。この世界、マキナと大地を作ったデウスマギウスをもたらした、デウスエクスマキナの接触によって様々なマキナを授かるらしい」


 アヴァロスが顎に手を置き

「本当にそんな事があるのですか? 聞いた事がありません」


 ルイードが

「異界渡りは極稀な事だ。異界渡りをした者は、この世界に馴染む為に身分を隠す場合が多い。気付かずに何処かの貴族の下に入ってしまう事がある。そうなると…分からなくなるからなぁ…」


 ロディーマが

「だとしたら…いっそ、トオル様を我らウィルフト王家に召し上げてはどうですか? 今回の活躍を考慮すれば、そのぐらいは当然かと…」


 ルイードが

「あれ程のマキナ…野放しというのも…民の恐怖を助長するか…」


 アルドが

「後な。トオルが今回に使ったマキナ、ネオデウスではないらしい」


 ロディーマとルイードにアヴァロスは瞬きさせ

「マキナでもネオデウスでもないとは…どういう事で?」

と、アヴァロスが聞く。


 アルドが渋い顔で

「トオルから話を聞いたが…デウスマギウス・ヴェルトールと…名を聞いたらしい」


 ルイードとロディーマにアヴァロスは驚きの顔を見せた。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 トオルは一人、ギアナ町へ行くスチールフォース・カタクラフトに乗って帰っていた。無論、まだ王都ベルンでは、明日でお祭り騒ぎが終わりなので、残っている者達が大多数だが…トオルは、一刻も早く帰りたかった。

 いや、帰らないと気が休まらない。

 アルバートに頼んで、部屋を変えて貰っても、やっぱり侵入者があって休まらない。

 余計に疲れが加速するので、路銀を下ろしてアルバートに一言かけた。


 アルバートは

「はぁ? 帰るって…なんだよ。フェリアとノリアの両親がお前にお礼をしたいって言っていたんだぞ」


 トオルは

「休みたいのに休まらない。帰って休みたい」


 アルバートは頭を掻き

「なら、少しだけ戦勝祭を楽しんでからでいいだろうが」


 トオルは首を横に振り

「とにかく、早く帰りたい。どう帰ればいい?」


 アルバートは渋い顔で

「朝早く、ギアナへ向かうスチールフォース・カタクラフトの運行がある。それに乗って行けば帰れる」


 トオルは肯き

「そうか、分かった。ありがとう」


 こうして、トオルはギアナへ向かうスチールフォース・カタクラフトへ乗り込む寸前に

「おい、待てよ!」

と、アルバートが止め、その後ろにはアルバートの姉妹許婚のフェリアとノリアがいて

「本当に、今回の事…ありがとうございます」

と、フィリアがお辞儀して

「貴方がいなかったら…ここはゴッドジオ級に蹂躙されていました。ありがとうございます」

と、ノリアもお辞儀する。

 トオルは

「気にするな。君達の隣にいる彼の熱意に負けて来たまでだ。三人とも幸せになれよ。それと、アルバート。こんなにもいい娘達を泣かせたり不幸にしたら、ゴッドジオ級を倒したヴェルトールで、追いかけ回してやるからな」


 アルバートが腕を上げ

「ぬかせ! 絶対にそんな事にはならないからよ!」


 そうして、王都ベルンを離れた。



 トオルは、スチールフォース・カタクラフトの窓から外を見る。

 この後、アルバートは王都ベルンに残って、フェリアとノリアの姉妹と結ばれる。ギアナにいる両親を呼ぶ為に、一度は帰ってくるらしいが婿入りする。フェリアとノリアの家には男児がいないらしい。アルバートが婿入りして家のマキナの継承を途絶えさえないようにする為に。


 トオルは、ゴッドジオ級を倒した後にアルドと会った事を思い返す。

「アルドさん。デウスマギウスって、どんなマキナの分類に入るんですか?」


 アルドは驚きの眼を見せ

「今…何と言った?」


 トオルはアルドの態度を察して

「…その…自分がゴッドジオ級を倒した時に使った存在が告げた名が、デウスマギウス・ヴェルトールと…」


 アルドは近づき耳打ちする。

「良いか。デウスマギウスは言うな。お主は今までにないマキナで倒した。マキナのヴェルトールで倒したと…。そうして置け」


 トオルは肯き

「分かりました」



 帰りのスチールフォース・カタクラフトの席でトオルは頭を荒く掻き

「全く、面倒な事に巻き込まれているんじゃあないよなぁ…」

 良い予感はしかなった。


 デウスマギウス、この世界では、人の住む大地となった機神の事を示している。


 トオルは袖から見えるマキナ・スティグマ達を見て

「なんで、こんな面倒な事になっているんだ?」

と、一人呟いた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

ありがとうございます。

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