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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第六章 SFシーズン2年目
143/155

143 姉妹

スーパーフォーミュラ公式テストin鈴鹿が始まりました。今シーズンは、うちのピットの隣にteam pantherがいます。テスト前から茶々入れがあってちょっと鬱陶しいです。

 鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラ公式テストが行われています。


 セッション1が終わり、今はピットビューイングなのでファンの方々がピットへ来て写真を撮ったりしています。今年もチームアンバサダーの柚月美姫(ゆづきみき)さん、吉永梨帆(よしながりほ)さん、綾原遥華(あやはらはるか)さんの3人にも来てもらってますけど……


大嶋(おおしま)さん、勝手にうちのピットに入って来ないで!」


 杏香(きょうか)がそう言うのも無理はありません。結菜(ゆいな)がセッション前に、大嶋に声を掛けられタイムを落としてます。チームの方にもクレームを入れてもらっているのに……


「いや、ファンの女の子に挨拶に来ただけだよ」


「だからって、うちのピットまで来なくて良いでしょう」


 うちのチームは杏香がドライバーになってから女性ファンが増えました。そこにかこつけて大嶋が来てるのかな……


 とんだハイエナ野郎です。


「君、やめなよ! ここは君のピットじゃ無いだろう」


 顔はおもいっきり外国人なのに流暢な日本語で注意してくれたのは、反対隣のチーム、MINAMINO Racingのクリスメンゼルです。


「メンゼル! ルーキーのくせに、しゃしゃり出て来るなよ」


 大嶋も負けずにメンゼルに文句を言ってるけど……


「大嶋、こっちに来い! オーナーが呼んでるぞ」


 松島(まつしま)も大嶋を呼び戻しています。なんだかうちのピットの前は、他所のチームのドライバーさんが多いな……


「あの、メンゼルさんありがとうございます」


 私が杏香に代わってそう言った時でした。


「メンゼル、あなた他所のピットの前で何やってるの?」


「あっ、オーナー」


 この人、何処かで見た事が……


「あなた、F1に行きたくてここに来たんだよね! 彼女を探しに来たんじゃないよね!」


「オーナー、そんなんじゃないから」


 そして、メンゼルもピットへ戻されました。


「すみません、うちのドライバーが失礼しました」


「あっ、いえ、彼は pantherの大嶋君に注意してくれたんです」


 私はメンゼルが悪く無い事を説明しましたけど……


「まったく、日本のモータースポーツもヨーロッパに比べたらまだまだね」


 そう言ってMINAMINO Racingのオーナーも行ってしまい、その後うちのピットは平和になりました。


 って言うか、私は悪くないよね…… そもそも、team pantherの大嶋がみんな悪いんだから!


「あの、北島(きたじま)さんですよね」


 その時、私の知らない女の人に声を掛けられました。誰だったかな……


「あの、何処かでお会いしましたか……」


「いえ、そうじゃなくて結菜に会いたくて……」


「結菜?」


「チームディレクターさんですよね」


 その時、ピットの中から結菜が出て来ました。


美郷(みさと)さん、どうかしたの?」


「結菜!」


「えっ、お、お姉ちゃん!」


「結菜、元気そうね」


 そう言って二人は抱き合ってます。実は結菜には姉がいたようです。彼女の名前は木村光瑠(きむらひかる)、留学先の大学から戻って来ていたとか……


「ねえ結菜、今日はもう走らないの?」


「ううん、午後からセッション2があるから」


「うん、楽しみにしてるね! あなたが杏香さん?」


「はい」


 珍しく杏香が大人しいです。まさか、人見知りとかじゃ無いよね……


「結菜から話は訊いてるよ! 妹の事よろしくね」


「あっ、はい、こちらこそ……」


 そう言って二人はピットビルの方へ行きました。


「結菜のお姉ちゃん?」


 杏香がそう訊きますけど……


「そう言ってたね。どうかしたの?」


「ううん、あまり似てないから……」


 そうかな、仲の良い姉妹に見えたけど……


「まあ、父親似とか母親似とかあるからじゃない」


「ふーん、そうか……」


 杏香もたまに変な事を言うんだよね。




 その後昼食を挟んで、14時からセッション2が始まります。


 結菜のお姉さんもパドックで見守る事になったけど……


「お姉ちゃんID持ってるんだよね」


「えっ、ID? ピットビューイングのチケットがあれば良いって訊いたけど……」


 確かに、ピットビューイングの時間だけはそれで入れるけど、それ以外は……


「美郷さん、私がIDをもらってくるよ」


 菜穂子(なほこ)さんが警備室へ行ってくれたけど、本人登録が必要だった…… そういう事でVisitor用のIDをもらう為、菜穂子と光瑠は二人で警備室へ行きました。


「お待たせしました。すみません」


 そう言って菜穂子さんと光瑠さんが戻って来た時には、杏香と結菜はコースへ出た後でした。


「凄い、あのスピードで走ってるの?」


「光瑠さん、まだ軽く流しているだけだよ」


 鈴木オーナーもパドックに来ました。


「あっ、ご無沙汰しています」


 そうか、結菜のお姉さんならオーナーは叔父さんになるんだよね……


「タイム、1分37秒895です」


 小林さんが言います。


「今のって結菜のタイムですか?」


「ううん、今のは杏香のタイム」


 まあ、スタートしたばかりの1周目だからこんなもんか。


「タイム、1分37秒897です」


 今度は結菜です。


「今のは結菜ですか?」


「ええ、そうよ」


「凄い、5.8kmを1分37秒で走るんですね」


 まあ、普通に考えれば凄い事なんだろうけど、まだちょっと遅いんだよね……


「小山内さん1分36秒867です」


 うん、杏香は36秒台が出たね! フリーでこれだけ出せれば上場かな。


「結菜、1分37秒159です」


 うん、結菜ももう少しなんだけど……


「結菜、さっきより速くなりましたね!」


 まあ、お姉さんが喜んでくれてるから良いかな。

ピットビューイング中に結菜のお姉さんが来ました。結菜も久々だったのかうれしそうで、セッション2でもそこそこのタイムを出しているようでした。

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