139 スーパーフォーミュラVSフォーミュラ2
鈴鹿での今年初のテスト走行です。午後から通常のテスト走行をしていますけど、杏香も結菜も良い感じでタイムが出ています。これって、午前の訓練の成果?
今ピットに、杏香のF2マシーンが運び込まれました。
あっ、そうか…… 鈴鹿にあるんだった…… という事は、今日も乗せる事が出来る? のかな……
「岩崎さん、それ杏香に乗せるんですか?」
「うーん、間に合えば良いんだけど、今から整備するからね。たぶん今日は無理かな」
そうか、でも、杏香は乗りたいよね、だけど今から整備なら今日は無理だよね……
「美郷さん、小山内さん1分35秒876です」
うん、杏香もタイムを上げて来ました。これって訓練をしたから……
いや、そうじゃないよね、35秒台は前にも出していたような…… それに、SFで鈴鹿じゃこれくらいのタイムが上限なのかも……
中森や松島もそれ以上のタイムを出したところを見たこと無いから……
「美郷さん、姫が1分36秒973です」
菜穂子さんも嬉しそうに言います。
「えっ、結菜!」
「はい」
「うーん、午前中に訓練をしただけですぐに結果が出るとは思えないけど……」
「えっ、でも、ちゃんとタイムは出てますから」
まあ、そうだよね…… そんなに簡単に出るとは思えないけど、結果が出てるんだよね…… その時!
「美郷さん、もう20LAPですよ」
小林さんにそう言われました。もう、そんなに走ったんだ……
「うん、そうだね…… ボックスして!」
私の指示で、杏香達はピットへ戻って来ました。
「美郷さん、タイヤ交換良い?」
「えっ、午前終わった時にやってないの?」
私はメカニックにそう訊きますけど……
「いや、美郷さんが指示しないと、勝手には……」
みんな言い難かったのか、源さんが私に言いました。
あっ、そうか、私がディレクターだもんね……
「すみません、杏香と結菜のマシーンのタイヤ交換をお願いします」
「美郷さん、みんな忘れる事もあるから…… ただ、締めるところはきちっとね」
「はい……」
岩崎さんに言われてしまいました。
はあ、反省しないと……
「あっ、私のF2 2024!」
杏香もF2マシーンに気付きましたね。
「小山内さん、今整備をしてるから、今日は乗れないと思うけど……」
「あっ、明日は乗れますか?」
「うん、明日は大丈夫だよ!」
そう岩崎さんが言ってます。山口君も笑顔を見せてF2の整備をしています。
「おい、おまえらボーッとしてタイヤ交換したのか?」
結菜のマシーンの周りでは源さんが白石君やデニーロに指示をしています。
「源さん、今やろうとしてたんだよ」
「口は動かさんで良いから身体を動かせ!」
ハハ、ちょっと厳しくないかな……
この後、杏香はファステストを出しました。結菜も36秒台に定着出来たみたいです。ただ、訓練の成果が出たのかは解りません。
まだ時間はあるから訓練を続けないとね、とその時!
「よし、整備終わり!」
えっ、終わったの?
「美郷さん、F2の整備が終わったので小山内さんに」
うーん、みんな気を遣いすぎだって、杏香は嬉しいだろうけど……
「杏香、F2の整備が終わったんだって! どうする? まだ時間あるけど」
私が無線でそう言ったら……
『乗る! すぐにピットに戻るから』
やっぱり、すぐにでも乗りたいよね…… 杏香はすぐにピットへ戻って来ました。
「小山内さん、エンジンはもう掛かっているから」
「はい」
そう返事をして杏香は、F2マシーンに乗り込みピットアウトして行きました。
何だか杏香は水を得た魚のようにコースを回っています。杏香がデグナーカーブを回ってヘアピンコーナーへ向かっている時……
「美郷さん、タイムを測りますか?」
小林さんにそう言われたので、計測してもらうことにしました。杏香には何も言ってないけどデータを取るのは問題ないでしょう。
杏香は西ストレートを通過してシケインから最終コーナーを回ってメインストレートへ戻って来ました。
今からタイムを計測します。その時、結菜はダンロップコーナーを通過したところでした。
「このまま行けば結菜をオーバーテイクしますよね」
小林さんがそう言います。
「そうね、ヘアピンコーナー付近かな」
私もそう言いましたけど……
「今の姫はちょっとは速くなりましたから西ストレートくらいまで粘れると思いますよ」
菜穂子さんは自分の事のように自慢気です。
しかし、その割には、なかなか杏香が結菜に追いつきません。杏香はゆっくり目に走っているのかな……?
そう思ったとき、結菜がメインストレートを通過して行きました。
「1分36秒748です」
えっ、どういう事? その後、杏香がメインストレートを通過しました。
「1分40秒357です」
あれ、どういう事? 杏香は本気じゃないの?
「美郷さん、これって……」
小林さんも菜穂子さんも女性陣三人でそう言ってる時、源さんが来ました。
「杏香のタイムは?」
源さんにそう訊かれましたけど…… 言って良いのかな……
「1分40秒357ですけど……」
私がそう答えると源さんは……
「うん、まずまずかな!」
意外とご満悦のようですけど……
「あの、SFよりも遅いんですけど……」
私がそう言うと……
「そりゃ、そうだろうね」
源さんは笑顔でそう答えましたけど、どういう事?
F2マシーンの整備が何とか間に合って、杏香は嬉しそうに走りますけど、タイムが思わしくありません。結菜よりも遅いです…… 源さんはまずまずだと言うけど…… 訳わかんなーい!




