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第7話 再会


―城野視点―



「う……ん?」


 気付いた時には布団ではなく床で寝ていた。

 体中が痛く、動かすだけでも辛い。

 覚えている事は――――、


「そうだ!」


 人形達はどうなった!?

 気を失う前の記憶は何故か俺が昨日作ったプラモデルが動き出したところだった。

 何故あれがいきなり動き出したのだろうか。呪いの人形と同じ原理で動いているのか? いや、呪いの人形は明らかに人間に敵対している様子だった。呪いの人形=人を襲うという構図になるのかは分からないが、あのプラモは俺の味方だった。


「マジかよ……」


 起き上がって目に入った光景はバラバラになったアルティメットグイム総司令官仕様機。

 そして、同じくバラバラにはなっていないが、ボロボロの状態の呪いの人形2体が転がっていた。

 視覚情報だけでも激しい戦闘があったと分かる。


「うぅ……議長閣下……」


「うおっ。生きているのか!?」


 俺があまりの衝撃で動けずにいると、バラバラになったアルティメットグイム総司令官仕様から声が発せられた。

 慌てて駆け寄り両手で彼をすくい上げる。


「えぇ、大丈夫であります……閣下。この程度、かすり傷ですよ……」


「もういい、これ以上喋るな。傷に響く……いや、人体じゃないから本当に大丈夫なのか? といってもどう見ても重症だろう!?」


 人間だったら血液がなくなったり痛みでショック死しているだろうその体で、弱々しい反応をする彼は、どうやら本当に俺を慕っているかのように答えてくれた。


「そうだ! なんとかパーツをくっ付ければ!」


 手足をもがれているが、関節は折られているわけではないようなので、拾ってくっ付ける。


「ぐっあっ!」


「あぁ、悪い!」


 グイムが苦しそうな声を上げ、それに焦った俺は直ぐに謝る。

 ちょっと勢いを付け過ぎたか?

 痛覚があることにも驚きだ。


「い、いえ。大丈夫です」


「すまんかった。……よし、これで大丈夫か?」


「は、はい」


 直している最中に疑問に思ったことを聞いてみることにした。


「ところで、なんで俺の事を議長って呼ぶんだ?

 俺、地球同盟の議長じゃないんだが」


 アニメや漫画で描かれた議長と俺とでは似ても似つかない姿のはずだ。

 現実世界でも政治家に立候補をして選挙をしたわけでもないのに、なぜグイムは俺の事を議長と呼ぶのだろう。


「私を生み出した……いえ、導いていただける存在だと直感したからです」


「直感???」


「はい。意識が芽生えた時、そう感じました。閣下は私を生み出した存在で間違いありませんか?」


 彼が言っている生み出した存在と言うのは『戦機兵記ガゾギアLegend』の原作者という意味ではないだろう。


「アルティメットグイム総司令官仕様というプラモデルを組み立てた人間という意味では間違いないけど……」


「ははっ。ならば私の所有者である貴方は、間違いなく私が仕えるべき存在です」


「そうか……。君の望み通りの存在になれるかは分からんぞ?」


 アニメではグイムの生産を指揮し、グイムを使った戦争を指示したのは地球同盟の議長だったなぁ。


「それでも生みの親である事には変わりありません。守るべき存在だと認識しております」


「それはありがたいが……。うん、直ったかな?」


 ようやくバラバラになった全てのパーツをくっ付け終え、今度は呪いの人形たちの方を見る。

 生物ではないので息をしていないため状態が分からない。


「……何を見ておる」


「あっ、いや……生きているかなと思って」


「ふんっ、馬鹿な事を。ワシらは元より生きてなどおらぬわ」


 俺の視線に反応したお菊が首だけをこちらに向けて話しかけてきた。

 声は力が無く、再び天井へと首を動かした。

 さて、どうすればいいだろうか。

 どうやらお菊はカリーヌとグイムの三つどもえの戦闘で力尽きたようだ。昼間は充填期間のようなので、しばらく動くことは無いと思われる。

 それにしても俺を殺そうとして敵対していた相手ではあるが、この状態を見ていると罪悪感がほんの少しだけ湧いてくる。

 何か声を掛けてあげた方がいいのだろうか?



「これで勝ったと思うなよ?」



 前言撤回。罪悪感など微塵も湧かせる必要は無かったようだ。

 お菊はまだ俺を殺すことを諦めていないようなので、今のうちに処分しておいた方がいいのだろうか?

 だが、よく考えてみよう。処分が必要なのならば、祖父母の家で封印されていた理由が分からない。

 処分ができるのであればバラバラにするとか燃やすとかすればいいのだ。

 しかし、箱の中に縛り付けて封印されていたという事ならば、もしかして呪いの人形には分解や焼却をしても無駄なのかもしれない。



 これは早急に対策を講じなければいけないな……。




「なんでプラモが動いているのかいろいろ聞きたいが、すまん。復活早々申し訳ないが、こいつらの見張りを頼みたい」


「了解です議長閣下」


 グイム総司令官仕様には申し訳ないが、昼間もこいつらの動向を見ていてもらわなくてはいけない。












「はぁ、最近夜はまともに寝てないんだよな……」


 仕事に影響が無いようにしなくてはいけないな。と思いつつ、俺は会社に行くため家を出る。

 俺はあとどれほどこの生活を続けるのだろうか。

 あ、もしかしてこれってアイツ等に命を狙われ続けている間は実家にも帰ることができないのか!?


「はぁ……」


 早朝から今日何度目か分からない溜息を吐きつつ、俺はアパートの階段を下り道に出る。

 くそっ。こうなったのもやっぱり転勤なんかしたせいだ。

 考えれば考える程俺の転勤は謎すぎる。

 一人電話サポートメンバーが減ったからと言っても、現在の職場には俺と同じ担当はもう2人いるのだ。

 新人が育つまで、待つことが出来なかったのか?

 いくらベテランが必要だってしても、すぐに必要ってわけでもないだろう。


「くそっ。余計な事を考えて頭を働かせるわけにもいかんか……。なるべく考えないようにして仕事の為に体力を残しておかないと」


 怒りでもかなり体力を使ってしまいそうだ。

 ここは心を落ち着かせて……。



「あっ」


「ん? ……あ!」


 いつの間にかかなり歩いていたらしいが、俺は交番の前を通りかかっていた。

 そして見たことがある警官と俺は目が合った。


「「……」」


 そして、少しの間お互い固まってしまう。


「お、おまえぇええええ!!!」


「う、うわぁああああ!!」


 最初に反応をしたのは俺であった。

 警官は背を向けて逃げようとしたが、肩を掴み逃がさないようがっちりと固める。


「お前! お前ぇえええ!! よくもあの時逃げてくれたなぁああ!!」


「ひ、人違いだ! 本官はあのアパートとは全く関係がないっ!」


「アパートの事だなんて一言も言っていないだろ! やっぱりお前あの時の警官だな!!」


 そう、この警官は俺があの人形達が暴れるアパートで一晩過ごして逃げ出した後、一緒にアパートへ行って怪奇現象を体験した不良警官であった。


「よくも一人で逃げやがって! あれから大変だったんだぞ! お前は何のために警察になったんだ。善良な市民を守るためじゃないのか!?」


「ぜ、善良な市民が警官に詰め寄って大声で叫ぶか!? た、逮捕するぞ!」


「あ"ぁあ"!? 逮捕だぁ? 上等だ! 逮捕して俺を牢屋の前で見張って夜な夜なやってくる化け物共から守ってくれよ!」


「はぁぁ!? アンタ一体どういう状況に陥ってるの!?」


 警官はギョッとした表情をして俺を見る。


「言った通りだよ! 夜になると俺を殺そうとする人形が2体。そして、そいつらは別に夜だけ行動をするわけじゃない、昼間も動くんだ! 昼間は夜の戦いで消耗して襲い掛かってくる事は無いけどな! だけどそれがいつまで続くかわからん。今日明日は帰宅後首を切られるかもしれない。もしかしたら眠ったら二度と目を覚ますことは無いかもしれない! そんな状況の中、いつまでも俺は平常な精神状態でいられるわけがない!」


 俺の必死な訴えに少しだけ心が動いたのか、


「だ、だったら専門家に頼めばいいでしょう。

 以前にも言った通り、本官は警官です。相手が人間や動物等生きている者であれば対処できますが、幽霊や妖怪といった化け物相手はお寺や神社で相談すべきでは?」


 そのアドバイスは残念ながら既にやった事だった。


「もうやったよ! 神社やお寺、教会。この近辺のそういった施設に助けを求めて行ったが、ことごとく相談する前に断られたよ!

 なんだよアイツ等。確かにヤバそうな雰囲気を察知できる分そういう能力は本当にあるんだろうが、まったく頼りにならんぞ!」


「な、なら本官も頼りには……」


「もう実際に体験しているアンタだけが頼りなんだよ!」


「……」


 俺がそこまで言うと、警官は何か考えているようで、難しい顔をしていた。




「おい、せき。どうした。何かもめ事か?」



 と、そこに別の男が現れた。


「あっ。塚村つかむら先輩。お疲れ様です!」


 どうやら新たに現れたこの男は、警察官だったようだ。私服だったから警官だと分からなかった。


「何かあったのか?」


 塚村という警官は、俺に両肩を掴まれている関と呼ばれた警官を心配しつつ、俺を不審者を見るかのような目で見てきた。

 あっ、ヤバい。俺もしかして本当に捕まる?

 そりゃそうだよなぁ。朝っぱらから大声出して警官に詰め寄っているんだもの。

 もしかして公務執行妨害? いや、警官を頼りにしてきているのに公務執行妨害って酷すぎるような気がする。でも内容があまりにも現実離れしたものだからなぁ……。



「……いえ、ちょっとこの人の家で問題があったようでして、これからこの人の家に向かおうかと思っていたのです」


「!?」


 あれ? てっきりこのまま捕まってしまうかと思ったが、俺を庇ってくれた?

 それよりも俺と一緒に家に行こうとしてくれている? いやいや、あれだけ拒否していたんだ。もしかしたら少し離れたところで俺と話をしようとしているだけなのかもしれない。


「む、そうだったのか。しかし宿直明けのお前が行くのか?」


「はい。知っている人ですので少し話を聞くだけですから」


「うぅむ分かった。もし何か問題があるようならすぐに連絡をしてくれ」


「わらりました。じゃぁ、行きましょうか」


 先輩と話を終えた警官は、俺に一緒に行こうと促す。

 特に拒否することも無いので、俺はそのまま彼に着いて行った。






「お、おい。どういう風の吹き回しだ? あんたあれだけ嫌がっていたじゃないか……」


 交番から少し離れ俺は警官に話しかけた。


「いや、本官は市民の要請に応えているだけであって……何も不思議はない。でしょ?」


「それはそうだが……」


 答えにはなっていない。

 何故こうも気変わりしたのか理由を知りたいんだけどなぁ。


「……本官は警官というプライドから、あのアパートで起きたことをあの先輩以外に相談なんてしようとしなかったんです」


「え?」


 唐突に自分の過去の事を語りだしたが、いきなり気が変わった理由を話してくれるのだろうか。


「先輩ってあの塚村って人には相談したってことか?」


「その通りです。まぁ、信じてもらえませんでしたが。それに残念ながら精神科への治療を進められそうになりましたよ。それから他の人にも相談できませんでした。塚村先輩と同じように自分の頭が疑われるんじゃないかって思ってしまって……」


 愚痴だろうか? 気持ちはわかる。しかし残念ながら今のところ彼の急な心変わりをした理由には行き着かない。

 そんな疑問が顔に出ていたのだろう、俺の顔を見た警官は言い辛そうにしながら、


「信じてもらえないという辛さを身に染みて感じました。

 ですから貴方の気持ちも理解できるんです。先ほどまで目を背けてきましたが、さっき先輩と顔を合わせたことでその気持ちを思い出すことになりましたよ。

 貴方の言うあのアパートで起きたという話は、この目で見ない限り全てを信じることはできませんが、誰にも信じられないという悔しさは他の人に味わって欲しくないのです。

 そもそも最初からデタラメだと突っぱねることをするべきじゃなかったのかもしれません」


 自分が住んでいるアパートの部屋で心霊現象が起きたなんて話せば、精神科を進められるか霊能者を呼ばれるかのどっちかだろう。

 この関という警官は先輩に相談した結果前者の結果となったようである。

 そしていきなり気が変わった理由はそういう事だったのか。


「信じてもらえない……か。そりゃぁ、そうだろうな。

 俺もそう思ってあのアパートを用意した会社の人間には何も言っていないし。

 だけど今の俺はもうなりふり構ってられないんだ。何せ夜は常に命を狙われている状態だからな」


「そこまで酷いんですか? 本官は確かに命の危険を感じなかったから神社やお寺などに相談にも行かなかった。

 もし本官がどこかしら専門機関……と言っていいのかは分かりませんが、そういった場所で対応してもらっていれば、貴方のように多くの人が生活を脅かされるような事は無かったんですよね……。

 これは本官が恐怖のあまり被害者の拡大という考えを蔑ろにした結果です。申し訳ない」


 と、彼は悔しそうに言ったのだ。


「ちょっと待ってくれ。多くの人って、あのアパートそんなに被害者が出ているのか?」


 そう俺が気になって聞いてみると、


「本官が出て行った前後でも1ヶ月も経たずあのアパートから出て行った人も多いと言う話です。

 それに、貴方と会ったあの日の後気になって調べてみたら、あのアパートで一人行方不明になっている人がいるという話を聞きました」


「あぁ、そういえばいきなり家を出て行った人が前の住民だって大家さんから聞いたな。その人本当に行方不明なのか?」


 いや、それもそうか。いきなり出て行って何とかなっていれば、家財道具だって処分していただろう。

 そうしてもらった方があのフランス人形が無くなっていただろうから、俺としてはうれしかったがな。


「これは捜査情報にもなるからあまり多くは言えませんが、行方不明となったのは女性で、その女性は親族との折り合いが悪かったらしくて……。

 親族も血眼になって探していたんだそうです。両親にも行方不明の事を伝えても無関心だったそうだから、ずいぶんと酷い環境で育った人だったのだろうと思われます」


 おやぁ? なんだか怪しい話になってきたなぁ。


「あぁ、もしかして警察の捜査では親族から逃げる為の夜逃げの可能性が高いと?」


「そういう事です。だが、本官はそうは思っていない。親族は行方不明になった女性があのアパートに住んでいた事すら掴めていなかった。

 つまりあのアパートから逃げ出した原因は別にあると思っているんですよ」


「うぅむ……」


 自ら姿を消したのではなく、別の事件に巻き込まれたか、それともあの化け物屋敷が原因か……。

 あれ?


「あっ」


「なにか?」


 俺が唐突に声を上げると、警官は振り向く。


「いや、実は俺の部屋に前の住民の……たぶんその行方不明の女性が持っていたフランス人形があるんですよ。

 そいつにその女性の事を聞いてみれば何か分かるんじゃないかと……」


「怖い事言わないでほしいんですが……」


 警官が青い顔をしながら俺を睨んでくるが、今から俺の家にその心霊現象を確かめに行くのにそんな気構えで大丈夫なのだろうか。





 そんなこんなで俺達は俺が住む恐怖のアパートまでやってきた。

 2階の俺の部屋の前で止まり、



「覚悟はいいか」


「え、えぇ……」


 互いに腰が引けながらも、俺は鍵を開け、バッと扉を開ける。

 部屋の中は朝出て行った時のままだ。


「入ってくれ」


「は、はい……」


 警官は俺に促され、そのまま入る。土足で。

 注意をしようと思ったが、不測の事態に備えているのだろうと、俺は注意するのを止めた。

 そうだよな。普通事件があった場合って靴脱がないよな? たぶん。


「人形が転がっている……」


「そうだ。こいつらだ」


 警官がまず呪いの人形たちを見つけた。

 人形たちは朝俺が出て行った時のまま転がっている。


「本当にこの人形が人の言葉を話すんです?」


「あぁ、話すどころか空を飛んで包丁や鋏で切りかかってくるぞ」


 俺がそう説明すると警官はゴクリとつばを飲み込み人形たちを見る。


「……動く気配も喋る気配も無いですが?」


「……そうだな」


 これはあれか? 俺以外の人間が居ると話をしないパターンか?

 まるで壊れた機械をお店に持ち込んだときに発生する『異常は見られません』のパターンか?


「流石に本官は夜まで居るわけにはいきませんよ?」


「うぅむ……」


 ここで動かなければ俺が嘘をついているヤバい奴になりかねん。

 いくらこの警官もオカルト体験をこのアパートでしているとはいえ、今後何かあっても対処してくれなくなるだろう。

 なら、仕方ないか……。

 ここで人形たちを叩いたりする勇気は俺にはないので、


「あぁ~。グイム総司令官仕様。話せるか?」


 最終手段としてもう1体の動く人形? に話しかける。


「え? プラモ??」


 と、警官は何故プラモデルに話しかけているんだと不思議がっていると、



「はっ、議長閣下! 何かご用件でしょうか?」


 と、反応を示す。

 ピシッと敬礼までして。



「う、うわはぁあああ!!?」


 警官はドタッと腰を抜かして床へと座る。


「あぁ、よかったお前は反応をしてくれたんだな……」


 俺はホッとしながらグイム総司令官仕様に言うと、


「はっ。私はプラモデルなため、議長閣下以外の人間が訪問している際、動くと問題があるかと思いジッとしていました」


「そりゃありがたい気遣いだ。だが、今回は特別でな……」


 俺達がそんな会話をしていると、


「う、嘘だ嘘だ。プラモデルじゃなくて、最新のロボットで、誰かがマイクで話している!? いや、見た感じ質感はプラスチック。もしかして内部が機械?」


 と、うわ言のように警官はグイム総司令官仕様を見ながらブツブツと呟いていた。



「うおぃ! 先ほどから聞いていれば、貴様には人形としても矜持は無いのか!」


「そうよっ! そんなにホイホイと人間に声を掛けたら大事になるでしょ!」


 すると突然人形2体が起き上がってグイムに文句を言ってきた。

 そのタイミングで喋るんかい!



「ギュオウェェエエエエエエエエエエエエエエエエ!?」



「うわっ!?」


 今度はとんでもない悲鳴が聞こえてきた。

 悲鳴を上げたのは十中八九一緒に来ていた警官だろうと、俺の隣に居に尻餅をついていた警官を見ようとしたが、


「あれ!? いない!?」


 いつの間にか警官はその場から姿を消していた。

 そして玄関の扉が開いている。


「おいちょっと!」


 慌てて追いかけると、警官は既に1階まで降りて行った後であり、


「流石にもう無理だぁああああああ!!!」


 と、言って走り去っていった。

 足早っ。

 嘘だろ!? アイツ逃げやがった!

 あそこまでの覚悟を決めておきながら、ここに来てそれは無いだろぉ。


 これで警官に頼るという希望は失ったか……。

 ガックシと俺は肩を落とし、項垂れる。

 そこに、


「あの。議長閣下、会社は大丈夫なのですか?」


「あっ」


 俺はグイム総司令官仕様に後ろから声を掛けられ、会社に行く事を思い出したのであった。





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