第46話 今を生きる人形達
「まだ抵抗するか! 人形共!」
アパートの上空で怒涛の勢いでグイム総司令官仕様とゾーム火星連合総統仕様に攻撃を仕掛ける大佐武朗。
しかし、原作さながらに高スペックな両機に当たりもしなかった。
「なかなか早いが、自動追尾兵装も電子機器ジャミング用の装備も無い相手ならば」
「ふむ。我らの敵ではないという事か。地球の総司令よ」
「あぁ、まさか貴様とこうして手を組むことになるとは思わなかったがな」
などと、会話をする二人。設定でのわだかまりが無いように感じる。
映像は生き残ったグイムが撮り続けてくれているのだろう。
「よし、火星連合総統よ。アレを使うぞ!」
「ふむ。地球の総司令に指示されるのはなんとも癪ではあるが、今は共に大切な者を守る時。従おう」
「「オーバーエナジー! 【レジェンドブースト】!」」
総司令は青白く、総統は赤く輝く。
「なんだとっ!」
2機の速度は一気に上がる。
ただでさえも速い彼らはリミッターを解除し一気に倍の速度を得たのだ。
その出力アップは各兵装にも影響を及ぼし、ビームガンから発射するビーム等は威力が上がっている。
「ぐっ!? このぉおおお!!!」
大佐武朗は2機を捉えきれず、彼らに集中しているようだ。
今のうちに!
「萌恵さん! 萌恵さん。大丈夫か!」
「う……うぅ。聖人……さん?」
「あぁ、俺だ。大丈夫か?」
「うん……ちょっと気を失っていたみたい……」
うん。萌恵さんはケガが無いようだ。だが、油断はできない。見た目は大丈夫でも衝撃で死につながる負傷をしているかもしれないのだ。
「亜矢子様! 亜矢子様ぁ」
「大丈夫……だから」
亜矢子とその仲間たちも大丈夫なようだ。
「くっそぉ。あんな化け物が出てくるなんて聞いてないぞ」
「矢川様!」
「怪我はありませんか?」
矢川は頭を押さえながら起き上がり、ゾーム達が心配そうに声を掛けている。
「先輩! 大丈夫ですか」
「うぅ……なんとか」
関と塚村も大丈夫なようだ。
だが関! お前真っ先に同僚心配するよりも民間人の安全を確かめろよ。
「すぐにここから逃げよう」
と、俺が提案すると、
「そう……ね。もうここは拠点にはならないから」
亜矢子はボロボロとなったアパートの部屋を見渡しながら悔しそうに言った。
「下に我々の車があります。あれは8人乗りですから、この場に居る人達なら全員乗れます」
と、亜矢子の部下が言う。
彼らの車と言えば、あのオンボロワンボックスカーである。途中で壊れそうで頼りないが、無いよりはマシだろう。
---------------------------------------
―アパート上空―
「うをぉおおおおおお!!」
「「うをぉおおおおおお!!」」
聖人達が居る上空では、黒地子 大佐武朗とグイム総司令官仕様、ゾーム火星連合総統仕様が激しく戦っていた。
ビームやミサイルが飛び交い、高速戦闘の余波で生き残った他のガゾギア達が近づけないほどだ。
「人形風情が調子に乗るなぁああああ!! 人形ならば人形らしく、ワシら人間におとなしく従えぇえええ」
「貴様のような化け物如きが人間を名乗るな!」
「地球人。いや、人と呼ぶにはおこがましいほど低下した知能を持つ生命体よ。いい加減諦めよ!」
三者がそれぞれそんなセリフを吐きながら戦いで発生した炎の光を夜空に照らしていた。
「総統閣下を援護しろ!」
「高射砲部隊、総司令達があの化け物から距離を取った時に攻撃をしろ!」
それでも他のガゾギア達が攻撃の仕草を見せれば、
「キエエエエエエエエエエエエ!!」
大佐武朗は全方位に衝撃派を飛ばし、次々とガゾギア達を破壊して回る。
「我々の戦いについてこれない者は、下がっていろ!」
「トック隊長、余の下にあの装備を持ってこい!」
このままではダメだと思った2機がそれぞれ指示をする。
戦いの余波で民家が壊れようと、店が爆破されようが気に留めていることはできない。
「地球の総司令! タイミングを合わせてもらいたい!」
「なに? 考えがあるのか!」
「そうだ。余に命を預けて欲しい!」
「――――! わかった」
この時、グイム総司令官仕様は即答した。
本来、アニメなどの設定では地球軍の総司令たる彼は火星連合の総統の言葉など信じるに値しないと思い、そのような承諾はすぐにはしなかっただろう。
だが、自分達の記憶が設定であり、火星連合に対する憎しみが偽物だと理解していた彼は違った。
今、ここで共に共通の敵を前にして戦う総統を仲間と認め、彼の考えに賭けることにしたのだ。
「ではタイミングを指示するので、奴の気を引き付けてくれ!」
「いいだろう」
2機は大きく弧を描くようにそれぞれ飛び、ミサイルやビームを大佐武朗へと叩きつける。
「虫め! 虫虫虫ぃいいいいい」
左右からの同時攻撃により、まとめて倒す事が出来ず、イラつきが止まらない大佐武朗。
そして、下からの他のガゾギア達の攻撃もあり一つの敵に集中できない大佐武朗は、あらゆる方向にめちゃくちゃに攻撃を始めた。
「くっ! 議長閣下達は!?」
と、総司令は聖人達の方向を見る。
彼らはアパートを捨て可部和見家が保有する車で逃げるつもりのようだ。
そして車には防御の術が施されているらしく、大佐武朗の攻撃が当たっても破壊はされなかった。
「今だっ! 頼むぞ」
すると総統から指示が出される。
「わかった!」
攻撃がめちゃくちゃに飛ぶ中、総司令は動きを緩め、エネルギーを充電させ、腹部前方にエネルギーの球体を形成する。
「行くぞっ! プラズマエネルギー破砕球!」
発射されたプラズマエネルギーの塊は、そのまま大佐武朗へと当たり、
「ぐわぁあ!?」
強い光と共に大爆発した。
だが、まだ大佐武朗は健在だ。
本来対艦攻撃に用いられる攻撃であるが、全く効果が見られない。
しかし、そんなことは想定済みだ。本命は他にある。
「よくも羽虫如きがぁあああああああああ!!」
大佐武朗の敵意は総司令に向けられるが、
「今だっ! 全機あの化け物から離れろ!」
と、今度は総統から声がかかった。
その言葉を信じ、総司令はその場から離れる。
「逃がすかぁっ!」
大佐武朗は高威力の攻撃をしてきた総司令を逃がさまいと動いたが、
「ブラックホールブラストォオオオ!!」
突如大佐武朗の真横にブラックホールが形成され、大佐武朗はの左半身は呑み込まれる。
「ぐぎゃぁあああああああ!!!?!?」
避けきれなかった大佐武朗は、大きな悲鳴を上げ、苦しみもがく。
「うむ。やはりブラックホール弾は有効か。よくやったぞトック隊長」
「お褒めの言葉ありがたき幸せ。総統閣下」
そう。この攻撃をしたのは総統であった。
ガゾギアの物語にて反物質ミサイルに並ぶ高威力の攻撃力を持つ武器の一つとしてこのブラックホール弾を発射できる大砲を総統は手にしていたのだ。
「うはははは。あれほど自信たっぷりに究極の生命体だという割に、こうもあっさりと藻掻き苦しんでいるではないか」
「あの攻撃を食らって苦しまない生物など居ないでしょう……」
総統の言葉に若干あきれる親衛隊隊長のトックであったが、
「くぴゃぴゃ。くぴぁあああ、くぴぴぴぴぴぴ!」
大佐武朗の様子がおかしくなり始めた。
「なんだ……」
それを別の場所から見ていた総司令は身構える。
「閣下。お気を緩めぬよう……。あれは何か――――」
トック隊長が笑う総統に気を緩めないように伝えようとした直後、
「くぁwせdrftgyふじこlp;」
脳が半分になって判断能力が鈍った大佐武朗が爆発した。
いや、爆発という表現をしたが、実際に爆発したわけではない。体中が光、ウニや栗のようなとげのようにビームをありとあらゆる方向へと発射したのだ。
「総統閣下! あぶ――――」
「ぐわっ!?」
トック隊長は飛行ユニットを一部破壊され、総統は腹に大佐武朗の攻撃が直撃する。
「火星総統!?」
総司令はそんな総統たちの姿を見て、急いで大佐武朗の攻撃を躱しながら彼の下へと飛んだ。
「きゃはは。きゃははははははははは!」
その間、次の攻撃をするでもない大佐武朗は、ただ空中で笑っているだけだ。
「おい! 火星総統」
「総統閣下! 大丈夫ですか!!」
総司令とトック隊長は、総統を空中で受け止め、攻撃が届かない民家を遮蔽物にして傷ついた総統に声を掛ける。
「……ぐっ」
総統は見るからに重傷であった。
既に下半身は無く、胸から上しか残っていない。
お菊やカリーヌなどの人形もそうであるが、ガゾプラ達は損傷をしても次の日にはきれいに治っているという不思議な現象が起こっていた。
あのアパートが建つ土地に居たからこそ起きた現象なのだろうが、銃弾やミサイルまでもが回復しているというなんともご都合主義なものだった。
しかし、損傷が治ると言っても限度はある。
今の総統のように大きな傷を負っていた場合、治る見込みなどなかった。唯一生き残らせる方法としては、他のガゾギアのパーツを使用することなのだろうが、それは他のガゾギアを犠牲にするという事でもある。
「もうよい……よいのだトック隊長。それに地球軍総司令。余の事はいい。早くあ奴を止めるのだ……」
と、左手でトックを押す総統。
「しかしっ!」
「今は何が一番優先しなければならんかわかっておるのか! わが主、そしてわが主を殺そうとしているあの空に浮かぶ化け者を屠ることが先であろう」
そう総統は怒る。
「早く行けっ! ワシはここでこの目で奴が倒されるところを見る。ならば、お前達は何をせねばいけないのか。わかるだろう?」
「……はい!」
トックはそう返事をすると、自身の翼の機能を確かめる。
大佐武朗の攻撃で機能は70%まで低下していたが、飛べないわけではない。せいぜいゾーム空中戦仕様と同等の速さにまで落ちた程度だ。
「行ってまいります」
「あぁ、そうしろ。火星連合軍の----いや、矢川家防衛隊トップは……今からはおぬしだ」
既に幹部であった元帥は死去している。
ここで総統が倒れたのであれば、矢川家の火星連合軍の幹部はトック隊長しかいないのである。
ならば、と覚悟をトックは翼を広げ、
「総統閣下、行ってまいります!」
そう敬礼をしたのち、今も大佐武朗の攻撃によってビームが飛ぶ空へと戻っていった。
「火星連合総統……」
トックを見送ったのは総統だけではない。地球同盟軍総司令の彼もだった。
「ククッ、奇妙な感覚だな。地球軍の総司令よ」
と、総統は総司令へ語り出す。
「何がだ?」
総司令の返事の声色には棘はない。長年の友人に語り掛けるかのように優しく聞き返した。
「長年いがみ合ってきたこの……記憶。偽物であったというのは既に周知の事実。
火星で見た風景。初めて宇宙に行った時の感動。両親の愛。あぁ、この記憶は決して本物ではないが偽物にしては出来過ぎていると思わないか?」
「そうだな……」
総司令は深く頷き返した。
「まるで誰かの記憶をそっくりそのまま受け継いだかのようだ。だが、これは偽物の記憶。
アニメの余の中に乗り込む登場人物の記憶、声、考え方であり、決して余自身のものではない」
「そうかもしれないな。私もこの世界に生まれてから毎日その事を考えている」
アニメではグイム総司令官仕様は決して自立行動などせず、言葉すらも話さなかった。
意思が無い戦闘兵器。
だというのに、今の彼らはまるで自我があるアンドロイドのように振舞っていることに彼らは違和感を覚えていた。
「余達がこうして動き話している意味。決してなかったとは思いたくはない。
そして、この世界に生まれてから見た景色、聞いた音は全て本物である。
素晴らしい世界だった。
この世界のどこかでもやはり戦争はある。残念なことだがな……。だが、それでもこの国には……身近に戦争が無いというのはなんとも幸福なのである。
記憶の中なの余はいつも誰かを殺すことばかり考えていた。
だがこの世界に生れ落ち、殺すことを前提としない生活を久々に感じることができた。
だからこそ、余を生み出してくれた人間に対しては何かしらの形で恩返ししたいのだ」
「……そうだな。私も同じ気持ちだよ総統」
徐々に眼の光が消えつつある総統。
彼の死が近いことを総司令は感じた。
「頼む、余に恨みを持つであろうから願いなど本当ならば聞きたくないかもしれない。
だが、お前の主人を助けるついででいい。わが主の……彼の心の闇を取り払うまでは難しくとも、彼にもこの世界を生き続けさせてほしい……」
「……わかった。必ず」
「頼んだ……ぞ――――」
そう言うと総統はそのまま生命活動を止めた。
これはこの戦いの中で、何十、何百もの命が終えた中の一体の物語であった。
「必ずだ、総統。それにお前には恨みなどない」
誰に聞こえているわけでもない。
総司令はそう言うと、翼を広げビームが飛び交う大空へと向かって行ったのであった。
「中央指令室が消滅!? 馬鹿なっ。あそこには総司令官殿や議長閣下がいらっしゃったのだぞ!」
「第5砲撃部隊壊滅!」
「第11、第14小隊応答なし!」
「第1大隊、半数まで減少しました……」
数百いたグイムは既に半分以下となる。
士気は低い。なぜならば彼らが守るべき総司令や議長の生存が絶望的だからだ。
「んぽぉ……」
無限に続くビームの雨は、やがて唐突に止む。
しかし、地獄はこれからが本番であった。
「よし、攻撃が止んだ! 今がチャンスだ」
「まて、何か様子がおかしい!」
守備から反転し攻撃に映ろうとしていたガゾギア達が大佐武朗の異様な行動が目に付いた。
「なんだ……? 失われた左頭部から口が生えた?」
「それだけじゃない! 奴の左半身が――――」
ブラックホール弾の影響で失われた左半身が再生を始めたのだ。
しかし、それは再生というには悍ましく、不完全であった。
既に人体の形は形成されず、うねうねと黒い触手が伸び、左の頭部からは大きな人間の口が現れ、
「うわーい!」
と、甲高い声を出したのだ。
この光景に嫌悪感を抱かないグイムは居なかった。
「こ、殺せ!! なんとしてもあの化け物を殺せぇええええ!!!」
我に返ったこの場で階級が一番高いグイムが指示を出し、一斉に攻撃を行った。
だが、一歩遅かった。
「『空の果て 死せる武士 口の色』」
謎の句を大佐武朗の左頭部の巨大な口が述べた後、触手から次々と小型の肉体を分離させ空中へと放ってきた。
その肉片は球体からガゾギア達ほどの大きさの人型へと変形し、
「なんだ!? 小人!?」
「羽の生えた小型大佐武朗だと!」
顔は大佐武朗。首から下は悪魔のような姿の蝙蝠のような翼をもつ個体が大量に現れたのだ。
手には光り輝く剣や弓を持ち、ガゾギア達に襲い掛かる。
「馬鹿な! あれの式神なのか!?」
「あれ程禍々しい式神があってたまるかっ」
「あれではまるで……呪われた生物だな」
ミニ大佐武朗の数はどんどん増えていく。
生き残ったガゾギア達では応戦しきれないのは火を見るよりも明らかだ。
地上のガゾギア達の火砲も少ない。絶望がみるみるうちにガゾギア達に広がった。
そんな時である。
「――――ジジッ。聞こえるか! こちら臨時中央指令室。こちら臨時中央指令室。中央指令室は移動型と変わったため、移動しながらの指示を出す!
議長閣下を含め、アパートの住民は全員無事だ! 繰り返す。アパートの住民は全員無事だ!」
「なんだって!?」
「中央指令室壊滅の話は本当だったのか!?」
「いや、それよりも議長閣下達は生きていらしゃった!」
戦場に駆け巡る衝撃。その衝撃は決して暗いものではなく歓喜によるものであった。
「矢川様が生きていらっしゃった!」
「おぉぉ、我らが主!」
ゾーム達も喜び、声を上げる。
「中央指令室より指示を出す。私は『グイム地球同盟軍総司令部防衛隊隊長機』。副指令である。勝機は失われた。しかし、黒地子をこのまま好きにさせるつもりは無い。
ここ一帯を地脈の暴走による爆破をさせ黒地子を共に葬る。暴発の術は可部和見家の者が行う。そのため……諸君らには精一杯奮闘し、黒地子 大佐武朗をその場に留めよ! ……みんな、すまない」
可部和見家が保有するワンボックスカーの中からそう指示が出される。
その指示にガゾギア達は互いの顔を見合い、頷き合う。
「ははっ。そういう事ならやってやろうじゃねぇか!」
「いいねぇ。最後に一泡吹かせてやろう!」
「やられっぱなしじゃ性に合わないからな」
誰もが明るい口調でそう言った。
さっきまでの悲愴さは無い。誰もが明るくふるまい、作戦に従った。
「いけいけぇええ!!」
「全弾使いきれぇえええ! どうせこの先使い道なんか無いんだ!」
戦場のいたるところから空へと砲弾が飛ぶ。
戦場のいたるところでグイムがゾームを助け、ゾームがグイムを助ける。
撃てば当たる。それほどまでにミニ大佐武朗は増えていた。
「5千――いや、6千! どんどん増えていく!」
「関係ねぇな! 増えたら倒せばいいんだから!」
弾がなくなれば剣や斧で。刀剣類が無くなれば己の拳で。拳が砕ければ自爆を。
ガゾギア達は全力を尽くした。
それでもミニ大佐武朗の波は止まらない。
しかし、そのミニ大佐武朗の大波は、いつまでも続くものではなかった。
ビシュゥゥウウウウゥゥン!
ビシュゥゥウウウウゥゥン!
ビシュゥゥウウウウゥゥン!
いくつもの大出力のビームがミニ大佐武朗の波に襲い掛かる。
一回の攻撃で百。複数の攻撃で千ものミニ大佐武朗は消滅した。
「なんだ!?」
「何処からの攻撃だ」
「あ、あれは!」
グイム達は元々中央指令室があったアパートの上空を見た。
そこには10数個の大きな光の環。
「ワープホール?」
一体のグイムがそう反応した。
そう、彼らには見覚えがあった。
偽りの記憶の中にはっきりと、自軍がワープする際にできるワープホールだという事が分かるほどに。
「こちら、梅岸家防衛隊! 増援に駆け付けたぞ!」
「城野家防衛隊。増援に駆け付けました」
「鎌田家防衛隊。増援に来たぞ!」
聖人が黒地子家襲撃の備えの為に各地に向かわせていた部隊の一部がワープ装置付きのグイムの能力を使って転送されてきた。
そして、その中には聖人がかつて作って遊んでいたガゾプラだけではなく、子供の頃ゲームセンターで得た人形やガゾプラとは違う動物系兵器のプラモデルまでもが咆哮をあげ飛び出してきたのだ。
その数、実に千を優に超えている。
更には、
「さぁて、お菊おばあ――――ごほん。お菊お姉さまのピンチらしいですから、私達も協力しなくてはいけませんね」
「我、参上!」
「きゃはは、お菊お姉ちゃん、どこにいるのかなぁ」
各家に形見分けによって散ったトメの日本人形達の姿もあったのだった。
---------------------------------------
離れていてもワープしてくる日本人形……。
次話は2日後の予定です。
2話続けて更新する予定です。