第044話 ジュ・トゥ・ヴー
更新は気分的に、マイペースに、です。
我が妄想。……続きです。
よし、反省終了。前面に王女様。囲う様に騎士の兄ちゃん達。そして背後は壁。もはや何処にも逃げ隠れ出来ない。では現状を打破すべく正面から受けて立とう。いざ正々堂々と我が名乗りを上げようではないかっ!
「ティアマト王女様。改めて自己紹介させて頂きます。輔と申します。以後、お見知りおきを。……って、ほらっ、シャウラも姉さんも!」
「我はタスクの従僕をしているシャウラじゃ。主の言に従い、此度、見目麗しき王女様へ拝謁叶い望外の喜びを申し上げるのじゃ」
「え、えっと、ボクの方は初めまして、かな?輔の姉で亮です。王女様に於かれましてはご機嫌麗しく、僭越ながらご挨拶申し上げます」
「タスク、シャウラさんにアキラさん、ですか。私はティアマト・アーク・ライ・ローウェン。お三方と年齢も近そうですし、堅苦しいのは苦手です。ティアとお呼び下さい」
「ティアマト様!?」
「姫っ!」
気合を入れた割りに普通の挨拶する俺。だってねぇ、2度目でもまた失敗。とか、嫌じゃん?折角だからとシャウラと姉さんにも振ってみたけれど、シャウラの従僕発言を聞いた瞬間、王女様は観察する様に少し目を細めて口元の両端を少し吊り上げた。シャウラの正体に気付いているのか?
姉さんは自己紹介をきちんとこなしペコリと頭を下げていた。それに対しては柔和な笑みで頷く王女様。しかし、出会って間もなく愛称呼びが可とか。それに騎士の兄ちゃん達も窘めの声を掛けているし、普通の事ではなんだろう。なんとなく搦め手な罠っぽいから俺は王女様と呼ぶ事にしよう。
それにしても、シャウラと姉さんがしっかり応対出来たのには吃驚した。初対面で俺がしどろもどろになって失敗した時より段違いでまともな挨拶だった。……その所為か、その所為なのか?シ二人共さん付けなのに、俺だけ呼び捨てになってるのは?!……そうだよね、やっぱ最初の印象って大事なんだろうな。
「ところで、ティア姫様……言い辛いなぁ、ティアはボク達になにか用なの?」
「うふふっ、こういうのって新鮮だわぁ」
……おふぅ、前言撤回。姉さんはやっぱ姉さんだった。許可を貰ったとは言え、速攻で王族を呼び捨てとかないわぁ。騎士の兄ちゃん達も姉さんの言葉を聞いて窘めるべきか、主の言葉を尊重するべきか、凄く微妙な顔をしている。少なくとも俺が同じ言葉遣いをしたら、確実にこの建屋の裏に呼ばれて腹パンされる案件だ。もしくは温泉に沈められるか。……恐ぇぇ。
「そうね、私はタスクに話が有って来たの。ベンとクーガーはアキラさんにお願いが有って来たんですよね?」
「あっ、はい、そうでした!実は今朝のジン様との模擬戦を観て、貴女を我がローウェン王国の騎士団へ推挙させて頂きたいと伺いました」
「ベンに同じく。我々も幾度となくジン様に手合わせをして貰いましたが、貴女程の力量ならば騎士団だけじゃなく王家親衛隊も務まるのではないかと」
「この国の民は全てば王家に忠誠を誓っている筈です。この申し出は貴女にとっても名誉となるのではありませんか?」
「如何でしょう、栄光ある我が騎士団へ入団しませんか?」
本物の騎士からお誘いが来るって姉さん凄いじゃん。て言うか、この二人はやっぱ騎士団所属だったのか。心の中の愛称は騎士っぽい兄ちゃん達から、騎士の兄ちゃん達に昇格だな。ただ、王女様のお付きとしてエリートなプライドなのか名誉、栄光を強調する若干鼻に付く言い方だ。さっきの麻呂の時といい、風呂での砕けた感じといい、そんな風な気がしなかったけれど。さて、姉さんの返答は如何に?
「如何でしょうもなにも、ボクはくっころ騎士になる気はないよ。勘違いかもしれないけれど、そもそもボクはこの国の人間じゃないし、王家に忠誠を誓う言われはまったく無い。なので断る」
「姉さんもまだまだ、だね。そこは、だが、断る!!って強く言わなきゃ。それに、くっころ騎士は薄い本案件で18禁っ!駄目絶対っ!!だろ」
「げっ、ボクの普段の言動で輔に揚げ足取られた?!生意気な!!」
俺と姉さんのそんな軽いやり取りしている前で目が点になった状態でフリーズする騎士の兄ちゃん達。それと対比する様にいい笑顔をしたニコやかな顔の王女様。
「フラれちゃったわね、二人共」
「アキラ殿、王家王族に対し不遜な態度、それにその無礼な言い方。この国の者じゃないと言ったな?」
「むむっ、ならば連合諸国、或いは帝国の者か?!いずれにしろ密偵間者としてお縄にするっ、神妙に縛に就けっ!」
「二人共落ち着きなさいっ!タスクもアキラさんもジン様の身内です。そんな筈はありませんよ」
「す、すみません」
「つ、つい……」
つい、カッとなってやってしまった。そんな言い訳が思んでしまった。まぁ、そうだよな。彼等からすればそれが当たり前の価値観だから名誉とか栄誉になるんだろうけれど、俺達は比較的身分間の違いが少ない大多数派を占める中流家庭育ちだからねぇ。
「あ、でも、そうーゆーのに使えそうな人材を一人知ってる」
「こ、この村には他に即戦力になりそうな方がいるんですか?」
その言葉にベンが食らいつく。クーガーも姉さんの次の言葉に注目している。俺も気になり姉さんを見る。王女様は俺に視線を向けてくる。なんでや?!
「オクノモリ商会、ダイフクさんの三女でサクラって言うんだけど、即戦力は微妙だけれど、真っ直ぐな剣筋をしていて鍛えれば何とかなるかなー、って感じの娘」
おおぅ、姉さんの明後日方向に蹴り出したキラーパスが炸裂した。しかも受け手はこの場にいないサクラさん。ダイフクさんに師匠になる人を紹介して貰うとか叫んでいたから、丁度いいのかもしれない。……気がする。
「オクノモリ商会ですか……王都や領都でその名前を聞いた事がありますね」
「あぁ、ほら、<ポーションから法船まで、お金さえ頂ければ全て用意します>、<我々に案内出来ない商品は無い。必ず探し出すので、少々お時間を下さい>を謳っている商会」
「ああっ、品揃え豊富で店舗も広いから何時の間にか時間が経ってるあの店か!」
「二人共心当たりがあるのですか?」
「えぇ、休日とか街に繰り出した時、偶に暇潰しで……」
「店員さんも親切で可愛い娘が多くて……」
へぇ。ダイフクさんの店ってそんな標語が有ったのかぁ。まるでどっかの元財閥企業グループやホームセンター雑貨屋グループみたいな標語だな。と思ってしまった。
傍から聞いていると王女様は余り視察とか出ないのかな?でも、噂や知識としては知っている感じっぽいけど。話を振られた騎士の兄ちゃんはその話で盛り上がり始める。暇潰しや可愛い娘目当てで騎士団ぐるみで通い詰めているとか、本来の目的と別のお店になっている可能性が僅かに有りそう。
「輔、こいつ等に嬉々として裸見られたんでしょ、そんでボクにもアプローチしてくるわ、男も女も見境無いって終わってない?」
「俺の裸なんて二束三文にもならないし喜んでなかったと思うぞ。ていうか、男女見境無いとか、ちょっと違う気がする。姉さん少し落ち着つこうか」
「アキラさん、この二人に悪気は無いのです。近頃、近隣諸国でキナ臭い話が多くて少しでも王国に、騎士団にいい人材を求めての行動なのです」
「いえいえ、さっきの勧誘に関しては輔が言った通りいらない事言わないで、ひと言で断ればよかったと反省はしている。ただそれとは別に、破廉恥極まりない両刀遣いなのかと……」
「そうなのですか、ベンとクーガー?確かに騎士団は男性も多く、そう云った話も無い訳ではありません。私も人の嗜みや好みに彼是口を挟むつもりは無いですが、せめて王国騎士として時と場所を選んで弁えて下さい」
「い、いえ、決してそんなつもりでは!と、いいますか、俺はノーマルです!なっ、クーガー!!」
「はっ、ベンに同じく、私も、それはもう、ずーっと鑑賞していたいぐらいに若い娘の事が大好きですありますっ!!」
「おいっ、クーガーその言い方は拙い!俺も一緒にされる」
露天風呂の時と流れが同じ感じになっている件。しかも今回、煙の燻ってる場所に油を撒いたら火事になって大火傷した感じか。姉さんの「騎士の兄ちゃん達両刀遣い発言」で酷い事になってしまった。特にクーガーに対するみんなの目が酷い。王女様から出ている気迫が恐い。……南無。
片付けの手伝いをしている王女様お付の女官さん二人は「ちっ」みたいな顔してこっち見ているし、向こうも向こうで闇が深そうだな。
王家直属かそれに近いエリートな騎士だと思うんだけれど、姉さんに掛かるとこいつ等になるんだね。俺も心の中では騎士の兄ちゃん達になっているけれど、なんか残念な気分だ。
「と、ところでタスク。さっきの言葉で気になっていたのがあるんですが……」
話題を変える為なのか王女様が俺に話を振ってきた。このタイミングで居た堪れない場の空気洗浄は有り難い。さて、王女様は何が気になっているのだろう?
「くっころ騎士ってなんですか、今の話にも関係あるのでしょうか?」
……うわぁ、散々、騎士の兄ちゃん達による人材確保の件とか、近隣諸国が騒がしいとか、オクノモリ商会の話題とか、両刀遣いとか色々と話のネタが振り撒かれていたのに、それに繋げますか、この王女様は。それをピックアップしてくるとか、別な意味でお目が高過ぎるだろう。……仕方が無いので、滅茶苦茶な説明をした。
最終的に自尊心の高い女騎士の行動様式と説明したら何故か納得していた。別の方向で勘違いしてくれたんだろう。助かった。姉さんはニヤ付いていた。ちなみにシャウラは場の空気を読んでなのか俺の横で静かにしている。
騎士に兄ちゃん達は何やら神妙な顔をしていた。さっきの自分達の発言もあったんだろうけれど、彼等にも迂遠な俺の適当な説明になにか心当たりが在ったのかもしれない。
騎士団勧誘の話から横道に逸れすぎて雑談に近い状態になってしまったけれど、王女様の俺に対する用件が終わっていない。まさか最終的にくっころ騎士の説明する為ではあるまい。そろそろ疲れてきたよ、さっさと終わらせよう。
「ところで王女様、お、私に話があると申しておりましたが、用件はなんでしょう?」
「アキラさんの騎士団へ勧誘話から随分と遠回りしてしまいましたね。私の用件は、ですね。タスクと魔法談義をしたかったんですよ」
「魔法、談義ですか?えっ、俺と?!」
思わず言葉が素に戻ってしまった。……取り繕ったメッキが直ぐに剥がれる。俺はこればっかりだな。そして、さっきまでの軽い感じだった騎士の兄ちゃん達の空気感、存在感が圧つく変わる。
王女様を俺みたいな男と二人きりにするのは危険だと判断してスイッチを入れ替えたのだろう。向こうの女官二人も同じ雰囲気になった。なんだ、王女様の周りの人間はみんなきっちり仕事をしているじゃないか。
「当然、アキラさんとシャウラさんも一緒に、ですよ。この場のお三方は彼の大魔導師シルクレーテの縁者でしょう?特にタスクは、アキラさんもですが、そのお孫さんと聞いています」
「はい、概ね、おっしゃる通りであります。ただ、お、私はそれ程、魔法を嗜んでおりませんよ」
「そんな筈は有りません。日中、魔物の氾濫した現場を見て回りましたが、第二外壁の東門と南門。特にタスクが居た南門での魔法使用量は筆舌に尽くし難い有様でした。なんです?あの串刺しになった無数の魔物達。焼き払われた魔物群の数。その上、更に森の奥にまで爪痕が及んでいるとか、おかしいでしょう、絶対!」
「輔」
興奮気味に話す王女様の言葉を遮る様に俺の名を呼ぶ姉さん。そのぶった切り、ナイスだ!
「な、なに、姉さん?」
「中二魔法は輔専用で埒外だからボクはパス。シャウラと二人でティアの相手をしてあげて、ボクはツヅラさん達の手伝いに入るよ」
そう言って、騎士の兄ちゃん達を?き分け姉さんは逃げていった。中二魔法って言うな。……あぁ、俺もこの場から逃げたいよ。
読んで頂き有り難うございます。
構成を考えず直感で自己満足しながら楽しんで書いているので面白く読めるかは判りません。
120%の適当加減さ。中途半端な知識を妄想でブレンドして、勢いと雰囲気だけで誤魔化そうとしています。
読み手に対する時間泥棒な作文です。読み辛い部分が多々有ると思いますが、そこは平にご容赦を。




