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散文の後/東風  作者: 新辺守久/小珠久武
第一章 15歳 春休み<帰らずの森グランゼ>-工事中-
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第042話 クロスロード

更新は気分的に、マイペースに、です。

我が妄想。……続きです。

 爺さんの明後日送り返すって話を聞いた時は、はしゃいだ姉さんだったけれど戻ってくる時、今までお世話になった別館のお姉さん方、シルヴィアさんを始め、ツヅラさんやカエデさん、アオイさんと別れるのが寂しくなったのか幾分か静かになっていた。


 何時もの長期休みに行っていたリハビリの名を冠した爺さんのサバイバルなブートキャンプと違って、今回は別な意味で色濃く刺激的な春休みになったと思う。なんと言っても異世界だから。小説や漫画の物語。現実世界でも絶対に出来ない経験だ。そう考えると、館に続く神社の参道っぽいこの道にも、ちょっとした郷愁を感じてしまう。


 姉さんには明後日帰る話は直ぐに言わなくても、今晩辺り開催されるであろう女子会で機会を設けて報告すればいいんじゃないかって話をした。それでも戻る事実は変わりなく気分は重そうだった。ちなみに村の人達には明日話せばいいんじゃね?って付け加えておいた。話せるのはダイフクさん家族ぐらいしか居ないけれど。


 館に辿り着いた俺達は、姉さんの「お腹が空いた」発言に、そう言えば昨日から何も食べていない事に気が付き、その言葉を切っ掛けに急に腹が減った感じがし始めたので、何か食べ物はないかと奥にある館入り口に向かわず、手前にある村の食事処兼露天風呂が在る建屋フロントロビーの方へ向かった。


 案の定、中ではツヅラさん、アオイさん、カエデさんが慌しく晩御飯の準備をしていた。昨日の夜も寝ないでバックアップの作業をしていた筈だし、カエデさんに至っては前線に出ていたのに、そんな気配を感じさせない鋭さで仕事をしていた。異世界の人達ってみんなタフなんだなぁ。と感心するのと同時にご苦労様だとも思った。


 フロントロビーに入ってきた俺達に最初に気が付いたのはテーブルの上を片付けてクロスをふわりと張り替えていたカエデさんだった。


「やぁ、お帰り、愛しの君よ。昨晩はとても楽しかったね。身体の方は如何かな、回復出来たかな?お姉さんに見せてみ、ほれ、早く、早く」

「カエデさんっ!手を休めないで、領都からのお客さんを御持て成しをするんだから仕事して!!」

「アキラさんにタスク君、お帰りなさい。忙しくて手が離せなくてごめんさないねぇ」


 厨房の奥で晩御飯を作る職人の顔をしたツヅラさんからカエデさんが注意をされていた。アオイさんものんびりした口調の割りに要領よく、台車を使って張り替えられたクロスの上を綺麗に飾り付けをしてテキパキと仕事をこなしている。如何やら俺達は大変忙しい時間帯にタイミング悪く入って来てしまったらしい。


「輔、なんかみんな忙しそうだね、ボク達も手伝おうか?」

「や、領都のお客さんって、この国のお姫様だから素人の俺達は変に手を出さない方がいいかもしれん」

「?!お姫様っ!!えっ、えっ、なんでそんなのが居んのよ?!」


 姉さんは吃驚びっくりした顔で多少の混乱を起こしていた。一国の王女様を「そんなの」呼ばわりです。広場で爺さんと顔を合わせるなり模擬戦バトルしてたから知らないんだろうなぁ。


 俺達みたいに現代日本人的中流階級な一般ピーポーに上流階級、それも異世界の、なんて縁が遠過ぎて殆ど無いと言ってもいい荷が勝ち過ぎる話しだし、簡単にボロが出そうだから手伝いをしない方がいいかも。さっさと館へ移動して引き篭もるべきかな。


 むしろ、偶然お姫様に顔合わせると馴れ馴れしさ大爆発で、下手打つととばっちりで俺も一緒に後ろにで控えていた騎士達に手打ちにされる。折角、色々とながらえた命だし、俺だって出来るならば天寿は全うしたい。連れて来た爺さんに全部任せるがきちだろう。


「お館様のお客さんでね、大切で大事なクライアント様さ。魔物の氾濫の話を聞いて駆け付けてくれたんだ」

「そ、そうなんですか、カエデさん」

「あぁ見えて、お館様は顔が広くてね、色々とお客さんを抱えているのさ。その中でも……」


 サボるタイミングはここぞとばかりに、カエデさんは姉さんになにやら云々(うんぬん)と説明を始めている。俺は調理場に向かおうとしていたアオイさんに何か食べ物は無いか聞いたら、奥で晩御飯の下拵したごしらえをしていたツヅラさんに声を掛けてくれた。なんか忙しくしているのにスミマセン。


 ツヅラさん曰く、館の調理場に朝の炊き出しの残りがあるからそれを食べてても構わないとの事。ただ、少ししたら晩御飯の時間になるので我慢出来たら我慢をして、出来ないのなら軽めに済ませて晩御飯に備えて欲しいな、と言っていた。


 如何やら本日のお客さん、王女様一行向けの豪勢な晩御飯を腕にりを掛けて用意しているのだそうだ。折角なのでそれをきちっと摂って貰いたいらしい。ちなみに、しばらくこちらの建屋は王女様一行様の貸切の形になるらしく、その事は村の人達も通達してあり、王女様一行がお帰りになるまで、お客さんは来ないのだそうだ。


 そうなると何時もの日課である寝る前の温泉が入れなくなるんじゃないか、と、そう思って訊ねてみると、片方を王女様一行、……主に王女様専用にして、残り片方を男女別時間交代制で使用する事になると言っていた。結構バタ付いた一日だった筈なのにしっかり準備されている事に驚いた。流石、訓練されたメイドさんである。


 なお、男子は21時前まで、女子は21時以降になるそうだ。夕食の時間を考えてもゆっくり入れないじゃないか!夕食後だと時間制限もあり混雑するのが目に見えている。「晩御飯前に速攻で攻め落とさねば!ついでに一番風呂も狙ってみよう!!」等と謎の使命感に駆られる。ここの露天風呂は早いもの勝ちルールである。まぁ、本音は別にあるけれど。


 フロントロビーで会話をしていたカエデさんと姉さんを切りのいい所で引き剥がし、館へ続く渡り廊下を伝って調理場へ向かった。そこにあった朝方の広場での炊き出しで振舞われたのであろうバーベキュー風な肉の串焼きを何本か見繕みつくろい、食堂のテーブルに付いて、姉さんと二人で冷えた串焼きをもきゅもきゅと食べた。「暖かいうちが美味しいんだろうね」ってのが、二人の共通した感想だった。


 横でシャウラが「我に血をっ!」と騒いでいたけれど、何時になったらその約束が行使されるか判らない必殺の「また今度、そのうちにな」を使って黙らせ様と思ったけれど、何度も使うと狼少年になりそうだなと思い直した。そう云えば、魔杖キャスター<スコルピオン>の権限レベルを上げるのに有効らしいから、向こうに帰る前、明日辺りちょっと試してみようと話を振ってみた。


 シャウラは信じられない様な目で俺を見てきた。どうせ、はぐらかされるのだろうと思っていた様で、俺は既に狼少年に近い状態だった。姉さんは横で「人と付き合うなら、特に女子には誠実にしないと駄目だね。嫌われるよ」と追撃してきた。何気に俺は心へ多少のダメージを負うのだった。


 間食っぽいバーベキュー風な串焼きも食べ終わり、姉さんに露天風呂の使用時間の話をして、俺は晩御飯前だけれど混む前にさっさと風呂に浸かろうとその場を後にする。姉さん達は休憩室で晩御飯まで暇を潰すそうだ。部屋に戻って着替えを用意し、いざ露天風呂へ!


「さて、紳士ジェントルマン紳士ジェントルマンの皆さんお待たせしました。ラッキースケベの時間です」


 そんなナレーションを頭の中に浮かべて露天風呂の脱衣所に突入する。


 正直な所、そういった出来事が起きない様に女子の入浴時間から大幅に前倒しして、晩御飯前の誰も居ないこの時間帯を狙って、お風呂を済ませ様って言うのが本音だったりする。狙いは幸を奏した様で、脱衣所の着替えを入れる為のかごは全て空っぽで、俺が一番だった事をうかがわせる。


 ふっふっふっ、我が意を射たり。着ている物を5秒で脱いでタオルを一本肩に引っ掛け、いざ浴場へ!


 掛け湯と共に上から順番に身体を満遍まんべんなく洗って最後は手桶ておけを使って、頭から湯をかぶり汚れを流す。では、いよいよ湯船に浸かるぜ、レッツラゴー。足を浸けると程よい熱さのお湯。ゆっくり腰、胸部と徐々に侵入させ最後は首まで浸かる。絞ったタオルを頭に乗せ、湯船の奥に在る自分のお気に入りの場所まで進み、岩に背中を預け両肘を挙げ一息付く。ふー。至福の時間。まさに極楽である。


 何時もは入浴時間が遅いので星空が綺麗に見える露天風呂だけれど、今の空はゆっくりと暮れ始めた陽に染まり、赤い色調が段々と支配していく。空を流れる白かった雲は徐々に黄色やオレンジ色に侵食されセピア調に変化していく。普段、感じる事がなかった夕暮れの空に新鮮さを感じる。


 10分ぐらい移りく空の変化を堪能し、少しのぼせ気味になった身体を冷やそうと背凭せもたれに使っていた岩から横滑よこすべりして、隣の水中に隠れている別の岩に腰を掛け半身浴に移行する。腰を掛けている岩に両の手を付き肘を伸ばして身体を前傾にして水面を見やる。揺らめくお湯に髪の毛からこぼしたたった水滴がポチャリと落ちる。目をつむり精神を落ち着かせ余韻にひたる。


「ぎゃあああ!」

「な、何故なにゆえ女子おなごがこの時間帯に入っているのか?」


 無粋にも唐突に野太い男の悲鳴が上がり、なにやら失礼な事をのたまう男の声が続いた。


 俺は声のした方、余韻に浸った気分を台無しにした元凶の叫び声がした露天風呂の出入り口へ怪訝な目を向ける。そこには筋肉質な身体をした裸の男が二人、扉を開けたまま、つっ立っているのが見えた。ついでに見たくないモノまで見えた。……なかなかいいモノをお持ちで。


 しかし、これが現実リアルか。地上波放送のアニメでよくある不都合な部分を隠す謎の怪光線や真っ白な湯気、飲み物の置物と云った遮蔽物に仕事をして欲しかった。


 顔の方に注目を向けると、朝方広場で顔を合わせたお姫様の後ろに控えていた騎士っぽい兄さん方だった。男の裸を見て悲鳴を上げるとか酷いヤツ等だな。大口を開けて人を指差したまま固まるのは止めて頂きたい。非情に不愉快だ。もう少し浸かって居たい、名残惜なごりおしい気もするけれど出るか……。


「ベン!クーガー!何事ですか?!」

「そ、それが……」

「あ、あれ?べ、ベン。あれ、あの少女、てか彼、男ですよ」

「うええ、マジで?マジで?!」

「……少女って。ベン、クーガー!貴方達は何をやっているのですか?!」

「ひ、姫様っ、落ち着いて下さい。湯着のまま殿方の湯船に近づこうとしないで下さい!」

「これが落ち着いてられますか!王国の騎士がいたいけな少女に手を出そうとしているのですよ!!」


 流石、露天風呂。薄い壁越しに騎士の兄さん方と向こうの王女様と女官さんでやり取りしている。王女様一行と言うから堅苦しいのかと思っていたのだけれど、結構フランクな感じがする賑やかなご一行様っぽい。そして会話から推察して原因は俺臭いけれど、衝立を挟んで遣り合っている今のうちに、知らない振りしてさっさと出よう。


「ひ、姫様、誤解です。相手は男の子、少年です!」

「お、おいっ、クーガー、その言い方だとまずい、まずい気がするぞ!俺は関係ないからな、寄るな!!」

「何を言って……元と言えばお前が……」

「ベン、クーガー、ふ、二人共、し、衆道、だったのですか?!」

「姫様、やりましたよ、物語じゃない本物の薔薇。少年愛ですよ、なんて尊い!!」

「わ、私は知りません。けれども貴族のたしなみの一つだと聞いた事があります。茨の道だと思いますが、お、応援だけはするので頑張って下さい、ベン、クーガー!!」

「私達も陰ながら応援するよ、お二人さーん」

「うえっ、お、俺も?!誤爆された!!」

「うあぁぁー、違うー!!」


 俺はそんな賑やかな現場から股間と尻を隠しながら気配を消してこっそりと脱衣所に戻った。着替えを入れた籠からバスタオルを取り出し身体を拭く。身嗜みだしなみを整える鏡の前に立つ。鏡に映る自分の顔を見ると水気を吸ってキタロウヘアーになってるのだけれどバスタオルで髪の毛の水分を取りながら、バスタオルが肩に掛かった辺りで一旦手を止め、鏡を覗き込む。筋肉質になるのはやだけれど、せめて男らしい身体付きになって欲しいと切実に思った。


読んで頂き有り難うございます。

構成を考えず直感で自己満足しながら楽しんで書いているので他の人が面白く読めるかは判りません。

120%の適当加減さ。中途半端な知識を妄想でブレンドして、勢いと雰囲気だけで誤魔化そうとしています。

読み手に対する時間泥棒な作文です。読み辛い部分が多々有ると思いますが、そこは平にご容赦を。

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