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散文の後/東風  作者: 新辺守久/小珠久武
第一章 15歳 春休み<帰らずの森グランゼ>-工事中-
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第016話 杖と剣1

続きです。

 異世界でのささやかながら初めての晩餐ばんさんの後。食後の後片付けは従業員の3人娘に任せ、俺達は今後の方針を決める為、屋敷の主の執務室に案内された。


 今後の方針。向こうに帰る算段が付くのか、その間、こちらで過ごす事になるので生活の基盤とか諸々の話の筈だった。


 執務机の前にある応接用のテーブルをはさみみ俺と姉さん、対面にはシルヴィアさんの並びでソファー座る。


「現在、お館様は所用で領都の方に出かけているので、戻られる約2週間後まで私がその代行をしています」

「じゃあ、シルヴィアさんが色々な書類手続きをしてくれるんですね」

「お館様、ですか。所用と言うのは聞いても?」

「申し訳ありません。詳しくは話せませんが長年のお付き合いがある方の護衛。としか」

「そうですか」


 今の話し方だと俺の推測した二人の内、領都に出かけていると言った時点でふじの湯に居た婆さんは消える。残るは爺さんという事になる。


 そして王国が存在する世界で急遽、お付き合い、護衛と来るとお貴族様辺りが出て来そうなフレーズの様な気がする。日本では縁のない言葉だ。


「書類手続きの内容ですが、当村での住人として、身分を保障する証明書を発行します。仮発行なので村の外に出ると効力はを発揮しませんが、ここに居る分には問題はありません」

「あの、シルヴィアさん。折角異世界に来たんだからここの村以外にも出てみたいんだけれど……ダメ、なのかな?」

「なに言ってるんだよ、姉さんっ!よく状況も判っていないのに、外に出て何かあったら如何するんだよ!」

「余り推奨はしたくありません。特に向こうから来た迷い人には、この村から出ての生活は厳しいですよ。この世界は特に」


 姉さんがおずおずと手を挙げ質問したのだがその内容に俺は思わず声を荒げ危険だからとたしなめてしまう。


 横では困った顔で「止めておいた方がいいわね」って感じでフォローしてくれたシルヴィアさん。


「でも輔。異世界だよ、異世界。目くるめく冒険が待っているんだよっ!」

「向こうのアニメやラノベとか見過ぎだ。現実はそんなものじゃないっ!……現に俺達がこっちに来た瞬間、あの石像の所為で死に掛けたじゃないかっ!!」

「そ、そこはほら、輔がババーンッてぶっ飛ばしたから、何とかなったじゃないっ!」

「それこそ、たまたま運がよく、婆さんの、魔法のお陰で助かっただけだ……」


 そう、あれは俺が交通事故にい、婆さんがその謎治療の一環で護身用に脳内に仕込まれていた魔法ライブラリと添付された催眠取り説のお陰だ。


 結局、自分の力では何も出来なかった。その無力感に思わず声を荒げ苦虫を噛んだ様に顔をしかめ、背ける。


「……確認の為に聞きますが、その石像と云うのはどの様な物だったのです?」

「体が筋肉質な逆三角形のマッチョなくせに、細面のせこけた不健康そうな人の顔をしていた」

「頭部に二本の突き出た角と背中に翼が生えていて、尻尾もあった。物理法則を無視した素早い動きで襲ってきた」

『……ガーゴイル?……いや、まさか』


 ……ん? 異世界の言葉で今、ガーゴイルって言った?


「あぁ、すみません。こちらの言葉を使ってしまいました。……それは、なんとなく伝承にある悪魔とか思い浮かべちゃいますね」

「そそっ、その悪魔って形していたっ!」


 言い換えた。何か怪しい感じがする。取り敢えず、異世界の言葉は知らない事になっているのでスルーして会話を続ける。


「……あんな悪魔の石像、竹箒たけぼうきじゃなくちゃんとした武器が有ったら軽くいやっつけられたのに」

「無理だって。結構大きかったし、硬いしで傷一つ付けられそうになかったじゃないか」

「……あれは手持ちに箒しかなかったから、しょうがないじゃない」

「俺は、姉さんに何かあったら嫌だからねっ!」

「それはボクも同じだよっ!」

「……お二人とも、仲が宜しいですね。ふふふ」


 世界でたった二人だけの双子の姉弟。同じ時に一緒に生まれ、共に同じ時間を歩み、何時までも欠ける事無く、無事平穏に長く過ごしたい。


 小学校に上がる前、一度リタイアしかけたけれど、今となっては昔の話。これは俺のささやかな願い。横で赤くなってそっぽを向いている姉さんもきっと同じなんだと思う。


「さて、お聞きした感じだとゴーレム系ですね。ただクレイゴーレムやロックゴーレムと言われる物は、使役する者が人為的に生み出した物しか存在しない筈です」

「何者かが石像を使って俺達を襲って来た、と?」

「可能性は否定しません。が、偶然に頼り過ぎです。何時来るとも判らない誰かを待つにしても非効率的です。それは限りなく、ゼロでしょう」

『……或いはガーゴイルが本来の監視対象と勘違いしたのか』

「……と、失礼。兎に角、裏の遺跡は危険はなかった筈です。この村の周りでも森と云う事もあり、主に獣系、魔獣系の話しか聞きません」


 またか。もしかしたらシルヴィアさんは相手が何者か、見当が付いているのかもしれない。

読んで頂き有難うございます。

投稿に慣れていないので試行錯誤しています。

自己満足しながら楽しんで書いているので他の人が面白く読めるかは判りません。

なので多々読み辛い部分も有ると思いますが、そこは平にご容赦を。

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