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俺が『見』てるセカイ、君の生きるミライ  作者: 六錠鷹志
第一章 異世界転移 と 出会い
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04 ほほえまー

 どうすればいいんだ。ミーシャはこの森に詳しくなさそうだし、この手紙は読めないしな。

 取り敢えず、バルトのところに行くのが目標だな。

 しっかし、本当どうしたものか。

 右足の痛みは引いたけど、違和感? みたいなのがすげー残ってるし。

 もー。

 だれかたすけて~。


「グゥゥゥゥ」


 あっ。君がいましたね。トカゲ(・・・)さん。

 ダメでもともと。ここはちょっと待っててあげずに、助けてもらいまひょう。


「なあ、ミーシャ。このトカゲ(・・・)に乗ることって出来るか」


 するとミーシャはコテンと首を傾けると、的外れな言葉を返してきた。


「トカゲ、じゃない。…***ー、だよ」


 何を当たり前のことを、みたいな顔されてもな。

 それに、絶対日本語じゃない発音(やつ)が混ざってるが気にしないことにする。


(子どもって妙なところにこだわるんだな)


「えっと、タイトー? こいつに乗ることって出来るのか。……もしかして、迫りくるカラフルな敵を打ち落とすこともできるのか!?」


 今度こそミーシャは俺のほしい答えをーー


「***、***-、なの」


ーーってことはなかった。


(だから、日本語で話してくれないと、困る)


「****、***」


(マジで。痛切に思います)


 それにしても、手足をばたばたさせて、何か言ってるミーシャにーー


「**! **、?」


(ほほえまー)


 ーー俺は思わず表情を緩めていた。




 俺とミーシャは今、森を駆けるトカゲ(・・・)の上に乗っかっている。


「痛い痛い、ちょ、タイルー痛いって」


 訂正。トカゲ(・・・)ではなく、この生き物はタイルーと言うーーミーシャにわかるまで何度も訂正されたーーらしい。

 また、ミーシャは乗っかってる人は見たことがないらしいが、何かいけそうな感じがしたのでミーシャの脇の下に手を入れ持ち上げ、タイルーの上に置いたらやっぱりいけた。

 この種族はミーシャが最初に大丈夫と言ったように、人と仲がいいのかも知れない。

 それにしても俺も乗せてくれたまでは良かったがーー


「だから、()ってえ」


 --コイツ、ミーシャを抱えるように後ろに乗っのている俺の背中をここぞとばかりに、尻尾でボゴズゴーーボコスコではなくボゴズゴって感じーーしてくる。


「グッグゥゥグ」


(………コイツ。笑ってるんじゃないよな)


「たけりゅ、おこる、よくない」


 俺の様子からそう感じたのだろう。ミーシャは顔だけ振り向けそう言う。


「ごめんごめん、気を付ける」


 タイルーは森を駆け続ける。

 ーー駆けると言ってもパカラッ、と馬のように揺れることはなく、地面を這うようにスイスイと動くので、そんなには揺れないが。


 タイルーは何処に向かうのか分からないが森でじっとしているよりはマシだ。

 ちなみに、俺ら2人を乗せるとこちらの意図を察したのかタイルーは自ら行動を開始した。


 タイルーの背中のゴツゴツでケツが痛くなってきたころ。


ーー閃光ーー

 物凄い衝撃音と共に大地が震えた。

 目の前の木々から様々な鳥の鳴き声がして、いくつもの影が飛んで飛んで行く。


「**!」

「なっ何が起こった?」


 タイルーから落ちなかったのはラッキーだった。

 もしかしたら、そこに人がいるかもしれない。


「よし、ミーシャ。タイルーあっこに行くぞー」

「うん!」

「グォォォォォン」


 タイルーも俺の言葉はわかっていないと思うが、その現場の方に向かっていく。




 現場に到着すると、クレーター状に地面が抉られていた。

 木々は消え去り、緑は一切なく代わりに一人の男がいる。

 ボサボサの金髪を短く切り、こげ茶のローブを着ている男だ。

 男は地面に両ひざを突き、両手を突き出して四つん這いの体制でいた。


「**、***。****、*******! ***!」


 金髪は何かを叫んでいた。

 俺的(てきとう)にアテレコすると「なんでなんだ。こんなはずじゃ! こんなはずじゃなかったんだ!」って感じ。

 でもーー


「*-***、**。*******! ********!」


 --やっぱわかんねぇ。


(でも、あの人ならわかるかもな。………いやだなーいやだなー)


「グォォォォルルル」


 そういえばタイルーに乗っかったままだった。

 タイルーに乗ったまま、クレーターに降りたいけどこれは無理そうだな。

 クレーターはかなり急な坂になっているため、タイルーの巨体では上り下りは危険だな。


「ミーシャ降りるぞ」


 ミーシャにひとこといって、俺はまず、タイルーから降りる。

 右足に痛みが走るが我慢だ我慢。

 俺はフカフカな土に足を突っ込み、足をいかりのように使う。


(ミーシャが怪我したら一大事だもんな)


 俺は再度足元の状態を確認してから、ミーシャをタイルーから降ろす。

 タイルーは背中が軽くなるとーー


「****」

「あっ、ちょい。ちょいまち」


 「グオォォォン」という鳴き声を上げながら森の中へと帰って行った。

 その鳴き声に反応したのか、ちょうど金髪の方を向いたらーー


「*****!」


ーー目と目が合う、瞬間にーー


「うわああああああああ」


ーー光の矢が飛んできたと気づいっ。


 てか、目が合う前に()が飛んできてたし。


(あー、絶対『見』てなかったら死んでたわ)


 俺はミーシャを抱きしめる姿(かたち)()に背を向けながら左に飛んでいた。


「あぶねえだろが。こなくそー!」


 金髪に向かって俺はこんちくしょーする(さけぶ)と金髪はーー


「********! ******!」


ーーそれはそれは見事な土下座をしていた。



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