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俺が『見』てるセカイ、君の生きるミライ  作者: 六錠鷹志
第二章 昇らない陽 と 静かな海
33/33

27R お先真っ暗

「………ハマットが『無くなった』のは本当だったのか」

「あぁ、でっけぇクレーターがあったな。タケルが落っこちて大変だった」

「俺も死ぬかと思いましたね」

「あんっ……たっ…たっ…ち、ちょ……ぃっと」


 俺とバレルは今、ラウラの両親とこの前落ちた『穴』について話していた。

 この前、魔力の回復したバレルの転移魔法で色々またぶっ飛んで行きながら、何とかたどり着いたのが、ここ海風が激しいラウラの実家である。俺をここまで連れてくるエサに、ラウラが「魚食わしてあげる」って、使っていた理由が改めて分かった。

 海の近くに実家があると聞いていたが、こんな風だとは思わなかった。マジで、てか『玄関開けたら、海』状態。ヤバイ、パネェ。


「落ちたって、ドジっ子なんだ。タケル君は」

「あっ、まぁそうっすね」

「ねっ…って……ばっ」


 ラウラの両親は青い髪をしており、ラウラの髪も遺伝なんだなという感じ。そういえば、ラウラは何処だって。

 そりゃーー


「ラウラ、なんで水槽の中に入ってるんだ?」


 ーーやらかしたんだから、当然の報いを受けているんだな。


「ぁあぁぁぁ」


 被害者(・・・)の俺は、死人を出したくないので助けることを提案した。



 水槽と言っていいのかわからないが、透明なケースからラウラを取り出す。


「うっ、うぇっ。っはっは、はぁっ、ぁぁぁ。………しょっぱい」

「海水だからな」

「海水だからね」

「海水だもんな」


 何でこうなったのか。

 すべてラウラが悪い。またもや、ラウラが悪い。翻って俺も悪かった点もあるかもしれないがそれは知らない。


 ラウラの出身地は漁業が盛んな街で、子供たちは大抵親と同じく漁業や造船、輸送業などにつく人が大多数だそうだ。

 しかし、ラウラは、、、ラウラは将来、『ツボ収集家』になりたいそうだ。

 「はっ?」という俺の反応(リアクション)はラウラの両親に通じるものがあったらしい。

 だって、そうだろう。

 まだ、美容師になりたいとか、農家になりたいとか、魔導士になりたいとかならわかる。魔導士ってあるのかは知らんが。

 せめて趣味で集めるとか、骨とう品店ならワンチャンスあったがまだしも………。

 んで、俺が連れてこられたのにはある出来事が関係している。

 以前、夜中小腹がすいて出かけた時、まだ自分の部屋の位置があいまいだった俺は着替え中の女子の部屋………ではなく、ツボが大量にある部屋に入った。…俺はラノベの主人公ではなかったらしい。

 まぁ、んでなんとなくツボを高々と持ち上げてコインが入っていないか、調べたろうとしたら見られた。部屋に戻ってきたラウラに。

 1.ラウラにはツボを頭の上に掲げているように見えたらしく、

 2.ラウラにとってその動作はツボをあがめる行為らしく、

 3.俺のことを世界初の『同類』なんだと思ったらしく、

 4.『同類』なら自分の夢を応援してくれるはずと、

 5.俺を連れてきたのだった。

 ウゥ~ン、オンナゴコロ、ワカリマセ~ン。セメテ、シュッパツマエニ、オシエテホシカッタヨ。




「さぁ、食ってくれ食ってくれ。娘が迷惑かけた分だ。遠慮しないでいいぞ」

「バレル君もお疲れ。ほら、塩焼きだよ」


 『娘が迷惑をおかけしました』モードを維持していたラウラのパパママの疲れたような声音と表情から、大変そうだな~、とラウラに「おま、どうしてくれるんぞ」と視線を送る。


「なによ! このウソツキ! 仲間だと思っていたのに」

「それはお前の妄想だったろう」

「はぁ! あんたのツボを頭上に持ち上げる(あがめる)行為は何だったの! 記憶障害なの! 自分のやったこと思い出せないの?」

「だめだ、こいつ」


 俺とラウラのやり取りを見て、「うむうむ」とつるっとした髭のないきれいなアゴを撫でていたラウラパパはその手をパンと叩く。

 何やらひらめいたっていうのを体で表現している。


 「タケル君は、ブリーズには初めて来たんだろう」

 「はい、そうですね」

 「じゃぁ、海見たことないだろ、海」

 「あっ、いや、ありますよ」

 「いや、ここから見えるのじゃなくて、あたり一面海っていうのをだよ。海岸からじゃなくて、海の上から海を見るんだ。家も塔も木も人もなんにもないだっだ(ぴろ)い海を」

 「えっう」

 「見栄張る必要はないぞ。陰刻だが、バレルがいるから大丈夫だろう。何なら潜ってもいいぞ。バレルがいるんだし! そうと分かったら、行くぞ! ほら、立った立った」


  「えっ、俺もっすか………」というバレルの拒否は潮風に流され、俺たち3人はーーラウラはおまけーーラウラパパに連れられ真っ暗な常宵の凪の静かな海を出港した。


 (お先真っ暗って、このことかな。)


 ーー俺はそう思った。



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