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俺が『見』てるセカイ、君の生きるミライ  作者: 六錠鷹志
第二章 昇らない陽 と 静かな海
30/33

24R 見に行くわよ

 寝不足で頭が痛い。

 昨日からずっと寝ずに歩いているからだ。

 偽刻は一日中寒いので、寝具等を持ち合わせていない俺たちは小休憩ならまだしも、仮眠をとろうものなら明日には氷漬けだ。


「「「………」」」


 三人とも不機嫌だ。はっきり言って、イライラがマックスだ。

 イライラをぶつけることもできず、疲れている3人は自然と無言になる。聞こえるのは、落ち葉を踏みしめる音だけ。

 前を歩く2人の顔は見られないが、たぶん俗にいう『死んだ魚の目』をしていると思う。俺たちは別にお通夜に向かっているわけではないはず………だよな?。

 俺はそんなしょーもないことを思いながら、手に握ったとがった石で木に目印(あと)をつけていく。2人のどちらかに言われたわけではなく、ふと思ったんでやっている。

(まぁ、迷いの森ってわけじゃねぇもんな………)

 俺の心配は杞憂で、同じところをぐるぐるしているってことは、一度も俺がつけた目印(あと)を見ていないから大丈夫だろう。


「おっおい、あれ」


 バレルは急に声を出した。

 しばらく声も出さず、水も飲まずだったので声はかすれていて、すぐせき込んでいる。

 「あ、あぁぁ、!」とラウラが指を指しながら、同じように驚きを声にする。

 俺は2人のいるところまで、駆け足で追いつくと指さす先を見た。

 オレンジ色の光がゆれ人影のようなものを認めると同時に俺たち3人はーー




(おお!) ←歓声


 --たどり着いた先は国と国をつなぐ国境、税関だった。

 大きな門があり、篝火がいくつも焚かれている。役人らしき人物は片手で数えられる程度だ。

 「こんにちは」とラウラとバレルが挨拶を彼らとする。2人と役人たちは知り合いなのか、結構気さくな感じで手続きを済ませる間世間話をしている。

 ラウラは相変わらず「ツボ、壺がね」とどーでもいい事を言っている。役人さんも慣れているのか「ほうほう」と流している。

 話に入っていけない俺はーーコミュ能力的問題ーーバレルの話に耳を傾ける。

 話の内容は、この先でデカい爆発があったらしいってものだ。予兆なしにいきなり起こったらしい。魔術について俺は、理論の端っこをかじった程度で使えないやーつだが、かじった知識でも知っている。

 魔法を使うとき、術者は周囲の環境に干渉し情報(データ)を書き換える。書き換えられる情報(データ)は魔法の規模に依存する。書き換えは魔法の発動と同時に起こるものではなく、いくつかの処理(プロセス)がされ、完了すると魔術が実行される。詠唱はこの処理(プロセス)に当たる。

 よって、大規模な魔法、複雑な魔法ほど処理(プロセス)が多くなり、意識しなくても観測できてしまう、干渉が起きる。

 今回、起こった爆発は誰にも観測されることなく、突発的に実行されたのだ。爆発で田舎町が一つ消失したらしい。

 結構ただ事ではないらしいが、真相は役人にもさっぱりだそうだ。

 (行きたくないな)と思っていたら、なんとこれからその近くを通るらしい。役人にはご丁寧に「回り道をしたほうがいい」と地図を用いながら忠告していただいた。

 手続きが終わり、この帰省数度目になる国境を越えた。




 「見に行くわよ」


(わかっていた、わかってましたよ)

 ラウラの一言で回り道もせず、そこへ直進しようという算段となった。

 役人たちに地図をもらい、予定していた(ルート)を進む。役人のやさしさを、コイツには理解できないらしい。脳にも胸にも栄養が行っていないから、全部クソに圧縮して出てるんだな、身体から。


 (また迷ったら、どうしよ)と思った俺は、整備された道を見て安心した。これまでのように、道なき道を歩いていたのがおかしな話だったのだ。

 ラウラは怖いもの見たさというやつだろうか、好奇心満々のこれまでの重さがどこに行ったのかわからない足で飛ぶように歩いていく。俺たちもその後を追う。

 ラウラのどこにそんな体力が残っていたのかわからないがーー少なくとも胸には何もないだろう、脂肪も夢もロマンもナッシング(我ながら意味不)ーー俺も足が軽くなったような気がする。好奇心には逆らえないのか、「行くな」と言われたら行ってみたくなる少年の反抗心のようなまま、俺たち3人は真っ暗な森を急いだ。


ミーシャはしばらくお休みになりそうです.


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