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道標  作者: 鈴木澪人
現在編
4/40

就任披露パーティー 3

菊川タカセの部下は清水

本社CEOはユージン・マケイン

本社COOはジョージ・ダン

「菊川新社長…」


 清水の呼びかけで軽い思考から呼び戻されふと会場を見渡すと皆の視線が集まっていた事に気付く。近くのウェイターにグラスを預けスピーチ場所まで颯爽と進んだ。途中ホテルのスタッフにピンマイクを着けてもらいあらかじめ床に印が付けられているところまで行くと、司会がまるで鼓舞するように自分を紹介した。


「ダクト 日本支社 菊川 タカセ新社長の指針表明です!」


 ざわついていた会場が一気に静かになる。

妻が頷きながら微笑み、清水が尊敬の眼差しを送り、長尾が…長尾が一瞬泣きそうな表情をした後、自分を見つめていた。まるで、謝罪するような、後悔してるような、引き留めたいような…。


 その表情をみて自分の中の感情が砂時計の最後の砂が落ちた後の覚悟みたいな諦めがスーと降りてきた。


 受け入れたのは自分だ最後まで演じねば…。


 深呼吸をした後、指針内容を表現すべくスピーチ作家と練りに練った内容を話していく。

後ろのモニターには、説明に伴う資料と英語表記が映し出され、これからの輝かしいであろう道標を指し示した。


 スピーチ終了後、一瞬の静けさの後の大きな拍手と歓声が会場を響かせた。近くで聞いていた本社のCOOは感激のハグをした後


 「CEOも満足される内容でした」


と伝えるともう一度ハグをされた。

ハグ越しに探した長尾の姿は既になかった。



 パーティー終了後、ホテルのスタッフ代表に軽くお礼を言い、明日以降のスケジュールの確認をした後会場を出た。スピーチに気をあてられた清水は興奮気味に自分に話し掛けてきた。


「菊川新社長!すごかったです。僕、社長の元で働けて本当に良かったです。これからもお供させてください!」


「ありがとう、清水さんがいるおかげで私も仕事がしやすいよ。これからも頼むね。」


肩を軽く叩くと嬉しそうにこちらを見る清水。

何かに価値を見出したい一昔前の自分と清水をどこかで重ねてみてしまう。


「社長はこれからどうされるんですか?」


少し期待したような雰囲気の清水には申し訳ないが…。


「すまない、今日はこれから家族サービスだよ」


 本社役員と自分はパーティー会場のあるホテルの宿泊が予定されている。今日の招待客は基本的に家族単位での呼び出しの為、会社が気を利かせて部屋を予約していたみたいだ。

CEOの楽しんでの一端だったらしい。

彼の知り合いの外資系ホテルだったみたいで色々融通がきいたみたいだ。


「残念ですが、つぎの機会待ってます。」


 清水は軽く会釈をし、まだまだ人混みの多いホテルのロビーへと消えた。

清水は肉が好きだから美味しい店でも探しとこう…。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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