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プロローグ
都心のホテル、夜景を見ながら香り高いブランデーのロックを口に含む。
しっかり締めていたネクタイをゆるめ、近くにあった一人掛けソファーに身を沈める。
先程までにぎやかだった娘たちも疲れたのか2人仲良くベッドで眠っている。
飲み終えたグラスをテーブルに置き再び立ち上がって夜景を眺める。
「あなた…」
子どもたちの様子を見てきた妻が声をかけてきた。妻に緩めていたネクタイを外され、上着を脱がされ、そのままクローゼットに片付けてくれた。
その間に、妻の好きなシャンパンをバーカウンターから二つ用意し戻ってきたタイミングで渡した。
「改めてお祝いしましょ」妻が嬉しそうに微笑みかけながら言った。
小さくシャンパングラスを合わせると
ティンと鳴り響き妻は嬉しそうに一口飲み込んだ。
今回の成果は、妻の協力なくしてはなし得なかった。本当に自分には必要な存在だ。
何かを切り捨ててまで必要とする存在だ。
最後までお読みいただきありがとうございました。