未来へ/リール視点
アクトス達との戦いが終わって1か月が経った。
怪我も完治し、魔王討伐に向けて準備を進めているところだった。
「果物が不作らしくて物凄く値段が高いのよ!」
「別の食料でいいんじゃない?」
「ダメよ!! 特にリンゴの栄養価はね……」
うんぬんかんぬんとセリンの話が続く。旅に出るワクワク感が伝わってくる。
俺は魔王討伐の旅にセリンを誘った。彼女を誘わない理由はない。もちろん彼女は喜んで同意してくれた。
ただ―――旅の同行には2つ条件があった。
「おーい、セリンいるかい?」
「あ、ライト! 神父様はどうだった?」
「いきなりだなあって少し戸惑ってたけど、2週間後なら大丈夫だってさ」
「やったあ!!」
満面の笑みでセリンがライトの腕に飛びつく。まったく子供の前でイチャイチャしやがって。
旅に同行する条件―――1つ目はライトも同行すること。
これはは願ってもいない条件だった。アクトス達の仲間にライトはいなかったはずなので、てっきりこの街に残るものだと思っていた。
そして2つ目。ライトとセリンの結婚式を済ませた後に旅立つこと。
なんだと……。お前ら結婚するほど仲良かったのか……。
「け、結婚してください……」と顔を真っ赤にして戸惑いながらライトにプロポーズをするセリンの姿は、とても愛らしいものだった。てか、なんで俺の目の前でプロポーズをする!!
そんなこんなで旅の支度と結婚式の準備を同時に行っている訳だ。
「ランスも張りきっているみたいだね。いっぱい人を集めてくれるってさ」
「あの人スケベで好きじゃない!!」
「はははっ、いい奴なのになあ」
二人の他愛のない会話が続く。ずっとこのバカップルと旅をすると考えると、魔王にたどり着く前にくじけそうだ……。
ふと、セリンがアクトスの仲間になった時にも結婚式をあげたのかなと思った。アクトスは、この二人の結婚を認めたのだろうか。認めたとしても心中穏やかではないだろうし、後々、問題になったはずだ。アクトスはセリンが好きだったから。ライトはアクトスが広めた物語に登場することはなかった。そうだ、もしかすると―――。
まあ、もはや確かめる術はない。そもそも、そんな『時間』はなくなってしまったのだ。
ただ一つ確かなことがある。
プレミアのこと。
セリンとライトを見ていると―――彼女が二人の子供で間違いないと断言できた。
魔力の流れもそうだし、目つき、顔つき、癖。あげれば切りがない。
この事実を伝えられたら、きっと彼女は喜ぶだろう。「当然ですよ!」なんて満面の笑みで返してくれるかもしれない。
魔王の討伐まで約2年の月日がかかる。プレミアが生まれるのは更に4年後だ。
「長い時間だなあ」
思わず言葉に出てしまう。
「あれ、リールめちゃくちゃに嬉しそうな顔している。なになに~何考えてたの~?」
「なんでもないよ。さっさと旅の支度続けるよ! リンゴは買わないからな!!!」
「えーーー!!! だからリンゴはうんぬんかんぬん」
そもそも魔王に負けたら意味がない。時間はもう戻せないのだ。しっかりと準備をして、魔王を倒して、そしてプレミアを迎えよう。
そうだ、俺達の旅は始まったばかりだ。
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2年後――――――ついに魔王が討伐されたというニュースが世界中を駆け巡る。
勇者リール、賢者ライト、魔術師セリン、そしてキングガルーダの少女スパルナ
この4人によって成されたというニュースだった。
読んでいただきありがとうございます。もう少しで完結になります。




