はじめまして/リール視点
『最高の仲間を持って幸せだ!!』
その言葉とともに、ランスはテーブルの上に突っ伏すと、そのまま酔いつぶれて眠ってしまった。
「全くだらしないあ!!」
クリスがランスの頭をポンポンと叩く。ドルビーもどさくさに紛れて叩いている。後で怒られてもしらないぞ。
「仕方のない奴だ……。悪い気分はしないが」
レイダーは嬉しそうにワインを飲み干す。だいぶ酔ってるだろうに、相変わらず飲み干すのが早いな。
「ランスさんにこんなことを言っていただけるなんて嬉しいですわね」
「ですよねっ」
セリンとスパルナもいい感じに酔っており、「うふふふ」とほがらかオーラを出しながら笑っている。
『前回の時間』でも見た光景だ。初めてランスのこの言葉を聞いた時は本当に感動したことを覚えている。今では簡単にこの言葉を引き出せるようになったが、道のりは本当に大変だった。何個肝臓があっても足りないくらい酒を飲んだ気がする。
俺はプレミアの顔を見た。一つの仕事が終わったという安堵感が表情に出ていた。
「乾杯。一つクリアだな」
俺とプレミアはコップを端を合わせた。
「はい。まだまだクリアしないといけないことが多いですが、とりあえずはホッとしました」
「人生って不思議だよな。選択を変えれば、少しだけ未来が変わる。その少しずつを続けると、いつの間にか全然違う未来にいる」
「そうですね。なかなか変わらない未来もありますが」
「変わらない未来か」
俺はワインを一口飲んだ。時間跳躍が出来るようになってから考えたことがある。
今、この時間は『俺の人生の一部』なのだろうかいうことだった。時間を戻すという行為で否定された時間はどこにいってしまったのだろう。
「否定された時間も含めて、私の人生の一部だと思っています。だって私は覚えているんですから」
なぜ考えていることが分かった! まさか未来から? と思ったがなんてことはない。どうも酔っぱらって口に出てしまっただけのようだ。
「確かに覚えている。ランスの言葉に感動した時の気持ちをはっきりと覚えている。―――そうなると寂しいな。その時のランスはいない。今いるランスには、その時の記憶はない」
「そう―――とても、とても寂しいんです」
プレミアは寂しそうに笑う。プレミアは何度もこういう経験をしてきたに違いない。
「私と初めて会った時の事を覚えてますか?」
「ああ。男達に囲まれてて―――突然泣き出してびっくりしたよ」
「ふふっ……私がリール様と初めて会った時の記憶と一緒ですね。その時は突然泣いちゃってごめんなさい」
そうか、プレミアは俺と初めて出会った時間で生きているのか。俺との出会いをやり直していない。―――その事実が嬉しくてたまらなかった。
同じ記憶、同じ感動。それを共有できる人がいる。それはなんて幸せなことなんだろうか
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