再始動①/リール視点
「という訳で二か月後からタイムリープしてきました……ってリール様聞いてますか?」
そのプレミアの言葉に我に返った。少しボーっとしてしまっていたようだ。プレミアが未来からやってきたという衝撃の告白の最中に俺は何をやっているのか。
「あ、ああ! もちろん聞いてるよ。まさか演習中に、そんなにたくさんの人が殺されるなんて……。分かった! 信じるし、もちろん協力する。未来の俺の頼みでもあるしな」
時を止める魔法があるのなら、時を戻す魔法があってもおかしくはない。
「ありがとうございます!!!」
要するに、レッドという人物を仲間にせず、軍の演習を行わなければいいだけだ。
その二つがなければ、プレミアが言う『演習中の惨劇』は回避できる。まだ誰を仲間にするか誰一人決まっていない。修正はいくらでも効く。
しかし、既知感がとても強い。どうやら二か月後の俺にも同じ話をしているようで、もしかしたらその記憶がわずかに残っているのかもしれない。
まあ、思い出せるわけではないが。
「他に仲間になる人間を教えてくれ」
「攻撃系戦士のレイダーとランス、防御系戦士のドルビーです。それにギルド職員である魔術師のクリスです」
「クリスに声をかけてるのか。いい魔力をもっているなとは思ってたけど」
「びっくりするくらい強いですよ」
「ちょっと見てみたいな。今言ったら断られそうだし、ギリギリまで隠そうかな」
「ふふふっ、未来のリール様もやはり隠されてました」
自分の考えた行動は未来では既に結果となって現れている。そして、そのことを知っている人物が目の前にいる。俺以上に俺の事を知っている。なんとも不思議な感覚だった。
「やっぱり? 俺ならそうするよな。そうと決まれば資料室に戻ろう。他の仲間の経歴を確認したい。これなら今日中に終わっちゃいそうだな」
「そうですね! 早く終わりにして対策に時間を使いましょう!」
*************
「おっ! 戻って来たね」
資料室に戻るとクリスが多くの書類を抱えていた。
「おすすめの人! いっぱい持ってきたから、気になる人がいたら呼んでね」
初対面から3日でずいぶんと親しげになったものだ。これでかなり強い魔術師だというのだから、人は本当に分からない。
「気になる人をピックアップしたから、その人の資料を探して欲しいんだけど」
「え、じゃあこの書類はいらない感じ?」
「まあ今のところは……」
「えーん……。無駄骨だったよお……。探してくるから、名前を教えて」
先ほどのメモを渡す。
「りょー。また少し待っててね。あ、ランス君はこの中にあるや。はいどうぞ」
「ありがとう」
文書には『ランス』という人物の略歴が載っていた。
「あら、なかなな強そうな方ですわね」
横から見ていたセリンが反応した。ざっと見た感じではあるが、確かに悪くない。この人物を選んだのはよく分かる。
ランス・シャルテ―――。
42歳男性。独り身。
職業:攻撃型の戦士。
主な武器:全般。
冒険者ランク:2S。
肩書:ミシリ―冒険者ギルド軍団長。
経歴:ミシリ―軍にて長くの間右翼の部隊長を務めた。魔王軍とも交戦した経験を持つ。40歳の時に退役。以後冒険者ギルドで多くのクエストの参加し成果をあげる。集団をまとめる力に長けており、魔王軍の残党であるモンスターの群衆との際に活躍した。
「たしかに。仲間になって欲しいな」
「ランスさんはちょっとエッチで女癖が悪いですけど、力は申し分ないですのでおススメですよー。すごくいい人ですし」
クリスがにこやかに言った。
「まあそれくらいなら……」
と俺が言いかけた矢先、
「それは少し問題ですわね……」
セリンが厳しい顔で言った。まあ女性からしたら敵みたいな性格かもしれない。
「ランスさんにそんな裏があるとは……知らなかった……すごい紳士的な方だとばかり」
プレミアも頭を抱えていた。どうやらその辺りのことは知らなかったようだ。
「男的には分かりやすい性格しててありがたいんだが。部隊に迷惑をかけるようなことをしなければいいと思うが」
「た、たしかにそうですよね! 今までランスのせいで問題があったことはありませんし!」
「しかし、えっちな人はあまり……」
セリンがうんうんと唸っている。
「ま、まあ後で考えようぜ……」
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