仲間の面接/リール視点
始まった仲間探しは、膨大な冒険達の経歴調査を挟んで、ようやく面接をするところまで辿り着いた。なかなかの重労働だった。
採用が決まっていた最初の三人の面接は、軽い談笑と共に、早々に終わった。
「いい人たちでしたわね」
セリンが満足そうにうなずく。面接官は俺とセリンも二人だ。プレミアとクリスは面接に来た人の誘導係をしている。
「問題はこれからだ」
机に積みあがった書類が目に入る。数にして15人程度。この中から残りの二人の仲間を決める必要があった。
「目ぼしい方は決まってますの?」
「一人だけなら」
「あら、知りませんでしたわ。どの方ですの?」
「内緒」
「むう、気になりますわね」
実際、内緒にしているのには理由があった。
「さあ、晩飯が遅くならないように、さっさと始めて終わらせよう」
「ふふ、そうですわね」
面接は手ごたえなく、淡々と進んでいった。
「……魔王時代のドラゴンの群れを倒したとお聞きしました。良かったら、その時のお話を聞かせてくれませんか?」
「ほっほっほ。今日は天気がいいですのう」
「あの……ドラゴン退治の話を……」
「なになに……ワシの趣味が知りたいと!」
「お疲れ様でございました……」
「ほっほっほ」
「おじいちゃん、もうおしまいだって」
プレミアが優しく手を差し伸べる。
「こんな美人さんに! まさかばあさんか!! ここは天国じゃったか……」
腕利きの召喚士と言われたおじいちゃんが、プレミアに連れられ、嬉しそうに退室していく。
「かわいいおじんちゃんでしたわね」
「はあ……いい感じにボケてた……気を取り直そう……次の方どうぞ!!」
ガチャりと扉を開けて入ってきたのは、見たことのある15歳の少年だった。ふてぶてしい表情が、俺の顔を見た瞬間に凍り付いたのが分かった。
「あら、とてもかわいいこ」
どうやらセリンの好みのようだ。若い男が好きなのか? とにかく面接を始めなくては。
「ごほん、お名前をどうぞ」
「ド……ドルビーで……す」
「久しぶり」
「え、はあ……あの……」
「その年でSランクなんて凄いね」
「す………すいませんでした!!!!」
ドルビーはそう言うと、勢いよく頭を地面に擦りつけた。まさか謝ってくると思わなかったので、俺はその行動にビックリした。
「顔を上げてよ。悪いと思ってるなら、今後は口の聞き方には注意しな」
「は、はい!! なので殺さないでください!!!」
「おお! よく分かったな」
実はこの面接中(最初の三人以外)部屋中のいたるところに魔力の刃を仕込んでいた。魔力の気配を出来る限り消しているので、並みの能力では気付くこともできない。
「初めてだよ、この仕掛けに気付いたのは」
「ま、まじで! やっぱり俺は天才……」
「調子に乗るな。まだ面接中だぞ」
ドルビーの能力はどうやら本物のようだ。性格に少し難があるのは、初対面の時から重々承知している。
「ぎゃあ! やめてください! 刃を止めてください!! 」
もちろん傷つけるつもりはない。放たれた刃をことごとく弾き落としている。身のこなしがいい。防御を得意とする戦士系だけある。
セリンはニコニコと笑みを浮かべながらその様子を見ている。セリンも気に入っているようだ。
「よし、合格」
「は? なんの話だ?」
「あなたを私達の仲間に認めるということですわ」
「え! ほんとに! やったー」
「ビシビシ鍛えて差し上げますわ! あー楽しみですわあ」
セリンが顔を紅潮させ興奮している。変なスイッチが入ったようだ。まさか若い男を育てるのが趣味だったりするんだろうか。
「え………」
引き気味のドルビーがなんとも愛らしい。呆然と立ち尽くしているドルビーを、プレミアが首根っこを捕まえながら部屋から引きずりだしていった。
「さて、最後の一人か」
「決めていた一人はドルビーのことだったんですわね」
「ちがうよ」
「え、じゃあどなたでしたの?」
「おーい。最後の一人がまだ来てないけどどうするの?」
軽いノックと共に部屋に入って来たのはクリスだった。
「わっ! 何この部屋! 危なくて入りたくない!!」
「よし、合格者が来たな」
「へ?」
クリスがキョトンとしてる。
「あーそういうことですのね」
セリンが大きく頷いた。
「明日からよろしくな、クリス」
「え、え、えええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
クリスがひっくり返るのに1秒とかからなかった。これで、ついに正式に五人の仲間が決まった。
少しずつアクトス国へ侵攻する準備が整いつつあった。
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