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キングガルーダ/リール視点

「ちょっと狩りに行ってくる」とセリンに伝え、俺はガルーダを探しに向かった。商人の男によると、ガルーダは道を少し外れた林の方にいるはずだと言う。大きな翼を広げ、その林の方に飛んでいったそうだ。


 ガルーダは動物と魔物の中間の生き物だが、どちらかと言えば動物の鳥に近く、食べることもできた。


 一年くらい前だったろうか。市場の商人がガルーダの肉を仕入れたことがあった。値段が高かったため購入を諦めたが、その商人は気前のいい人物だったのか、かなりの割引をして売ってくれた。


 初めて食べたガルーダの肉は本当に美味しく、常連のお客さんにも好評だったのを覚えている。


 魔物が今よりも多かったころは、特に貴族の間で食べられたようで、栄養価の高く人気の食材だったそうだ。


 馬車から降り、整備された道を外れ林の方へ歩を進める。少しずつ日が傾き始めていた。暗くなる前に野営地に戻りたい。


 ガルーダの大きさは大体2~3メートルくらいだ。まさに巨大な鳥と言える。武器は弓矢と短剣を持ってきている。弓で仕留め、短剣で肉を解体する予定だ。

 

 林の入り口に差し掛かった時、とてつもなく大きな物体が横たわっているのに気付いた。


 5メートル? いやもっとデカい! 10メートルくらいか!!? 小さなお城くらいあるぞ。


「おいおい……確かにガルーダだけどさ……」


 驚きのあまり言葉が漏れてしまった。これはガルーダはガルーダでも『キングガルーダ』だ。


 噂では聞いたことがあったが、実物は初めて見た。魔王と共に街を襲い、その凶暴さから恐れられた伝説のモンスター。ガルーダと姿形は似ているが、その大きさは何倍にもなり、赤と黒が混じった特徴的な羽を持っている。


そんな伝説上のモンスターが、グッタリと横たわっている。


「ケガをしているのか……?」


 時折苦しそうに唸り声をあげている。こちらに気付いているようだが、特別威嚇するような動きもなく、ただただ苦しそうにうめいていた。


「敵意はなさそうだな」


 倒そうと思えばすぐに倒せる状態だ。この厚い皮膚に刃物が通るかは分からないが、魔法を使えばなんとかなりそうだ。


 そもそもキングガルーダは食べられるのだろうか。目的はキングガルーダの討伐ではないし、倒したところでこの量の肉は持って帰れない。


「グルルルル……」


 めちゃめちゃ助けて欲しそうにこちらを見ている。そんな目で見るなよ。何を考えているのか分かりやすいこともあって、殺すのに躊躇とまどいが出てしまう。いっそのこと助けようか。


「でも悪い魔物だからなあ」


 この辺りは年を取ったゆえの迷いなのだろう。「命は大事だ!!」と勢いで行動が出来ない。助けたら近隣の村や街に被害が出てしまうかもしれない。どうしても考えてしまう。


「グル……」

 

 だから悲しい顔するなって!! このキングガルーダの過去を知っている訳ではない。悪いことをしていない別の個体かもしれない。そう思い込むことにした。万が一暴れたら倒せばいい。


「分かった! 助けるよ! だたし悪いことするなよ! したらすぐに肉にして食ってやる」


 その言葉が通じたようで、キングガルーダの表情が明るくなったように見えた。

読んでいただきありがとうございます。

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