表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/94

五芒星能力判別~セリン~/リール視点

 椅子に腰かけるとメイドさんがコーヒーを運んできた。


 自分で淹れるコーヒーとまた違う。特に香りがいい。かなりいい豆を使っている。セリンが下着の姿なのは気にしないようにしよう。


「それではリール様、早速お聞きいたしますわ」


 セリンはコーヒーを一口飲み、言った。


「待ってくださいセリン様。その『リール様』というのがあま性に合わなくて『リール』と呼び捨てでお願いします」


「あら、そうでしたか。それでしたら私のことも『セリン』とお呼びくださいませ。そして丁寧な言葉使いも必要ありませんわ」


「そちらがよろしければ」


「もちろんですわ。ねえプレミア、リールの希望です。これからはリールとお呼びしましょう」


「私は……」


 プレミアは体をもじもじさせている。


「私は……『リール様』とお呼びしたいです……」


 頬を赤らめながら、そう俺に問いかけた。何やら随分と期待されているし、気に入られたものだ。そんなに可愛い顔で頼まれたら流石に駄目とは言えない。


「わかった。それでいい」


「やった……!」


「やりましたわね」


 二人ともとても嬉しそうだ。仲がいいのがよく分かる。


「話を変えてすまなかった。話はプレミアから聞いた。アクトスから賢者の石を奪いメテオを止めるんだな」

 

「その通りです。ただ、重要な言葉が抜けてますわね」


 プレミアからこの話を聞いた時から、察しはついている。


「国王であるアクトスを殺すんだな」


「その通りです。ただ、今は一国の王。そう簡単にはいきませんわ。かなりの危険が伴います。そこでですが、リールの能力を調べさせていただきたいの」


 命をかけた戦いになるだろう。能力を知りたいというのは当然だ。いざ戦いが始まって「想定外の能力でした」は通用しない。


「どうぞ。好きにしてくれ。何でもしますよ」


「ふふふ、楽しみね」


 そう言うと、メイドさんを呼び、何やらお願いをしているようだった。


****


 少し待つと、メイドさんが大きな布を持ってきてテーブルに広げた。これは俺も知っている。魔術師ギルドでもランク付けに使用されている、五芒星ごぼうせいを利用した魔術師が持つ能力の判別方法だ。


 布全体に魔力を送り込み、まず五芒星(上向きの星)か逆五芒星(下向きの星)で光と闇を判別する。上なら光を頂点とし火・水・風・土の属性に振り分けられる。下なら闇を頂点とし、空・重・時・命に振り分けられる。これにより、魔術師の得意不得意がほとんど分かるようになっている。


「先にわたくしがやらせていただきます。こちらのご紹介もしないとおかしいでしょうから。その次にプレセア、最後にリールにやっていただきますわ」


 それで何も問題ない。俺は頷いた。


 懐かしい感覚だ。五芒星の判別を行うのは22年前、10歳の時以来だった。そこで4Sという評価をもらったが故に人生が変わったしまった。


「いきますわよ……んっ………」


 セリンが魔力を集め始めた。布の上に魔力を集めると、魔力が自動的に五芒星を描き出す。描き出された五芒星は、2、3回転すると上向きか下向きで止まる。

 

 セリンは予想通り上向きだった。回復魔法を得意とする魔術師は基本的には光属性だ。


「んっ……んんっ!」


 さらに魔力を高めている。ここが意外と疲れることを思い出した。能力の高さも判別しているので、自身が持つ魔力を限界まで送り込む。


 左辺上部の『水』と右辺下部の『風』が大きく反応した。能力的には2Sから3Sの間、属性は『水』と『風』、若干の『土』といったところだろうか。流石の大魔術師だ。能力の高さ、属性の広さが回復術師として最高レベルだ。


「ふう……。いかがでしたか?」


「これ以上の回復術師はいないな」


「ふふ、照れますわね。次はプレミアね」


「かんばる!! あっ……がんばります!!」


プレミアは「むん」と腕まくりをすると、布の上に手をかざし魔力を集め始めた。

読んでいただきありがとうございます。またブクマ、評価していただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ