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少女は蝶々になれたらとただ願うだけ -5



長老の部屋では長老とバンが語っていた。


「バンよ、本当に良かったのか?」

「何がでしょう?」

「ルイが言っていたギルドの事じゃ。おぬしがここでリンを守っていてくれるのは非常に助かるが、ルイに付いていけばここで暮らすよりよっぽど楽しい人生になるぞ?」

「良いんです。私にはリンがちゃんとオツトメをするように監視する義務があります。それに、私はリンの事を妹として愛しています。だからずっとこの狭い集落で暮らす事になっても私はリンさえいれば別に構わないです」

「そうか、なら良いんじゃが」

「私よりもリンが出ていきたいと言い出す事の方が不安でたまりません。最近リンが天井の穴から外を眺めては寂しげな表情をしているのを見ます。かわいそうではありますが、彼女には必ずこの集落に居てもらわなればなりません。なぜなら」

「リンがただ一人先代より受け継がれし癒しの巫女の力を持つ者・・・だからじゃな?」

「・・・そういう事です。長老様、私は夕飯の準備をしてまいります」



バンが夕飯の準備をしようと部屋から外に出ようとしたその時

ドンッ

と女神像の部屋へと続く扉が凄い勢いで開かれた。

そこにはリンを両手で抱えたルイが立っていた。




「貴様!どういうつもりだ!!」

「リンは俺が貰っていくから」

「貰うだと?」

「ああ。お前じゃなくてギルドにはリンを勧誘する事にした」

「ふざけた真似を!わが妹から離れろ!!!」


バンは背中から弓を取り出すとルイに向かって弓を引く。


「おっと、俺はリンを抱えてるんだぜ?この状態で矢を放つとリンに当たっちまうかもよ?」

「ふん、なめるな」


バンは躊躇もせず矢を放った。

矢はルイの頭に一直線に向かってきた。

ルイはそれを頭だけ傾け避ける。


「・・・なるほど。よっぽど矢の命中力には自信があんのね。リン、ちょっと待っててな」

「は、はい!」


ルイはリンをゆっくり降ろし、その場に立たせた。

そして青い剣を取り出した。


「プロミネンスソード」


青い剣に炎が纏わりついた。

リンと長老は部屋の隅へと避難した。



「私とやるのか?・・・死ぬことになるぞ?」

「確かにお前は強いと思う。ここら辺の魔物はきっと弱くはないだろうし、さっきの矢速かった。でも」


ルイがバンに向かって走り始めた。


「俺の方が強い」

「ふん!」


バンは5本の矢を左手で取り出し、次々に連射した。

しかしルイはそれを左右に動きながら簡単に避けてしまう。


(素早いな、だがそんなに広くないこの部屋ならその素早さも奪うことができる)


バンはまた5本の矢を取り出すと態勢を低くし、地面と水平に5本同時に放った。

ルイは部屋の間取りのせいで横には避けきれずジャンプして避けた。


「貰った!空中では避けれまい!」


バンは空中へとジャンプしたルイに弓を速射した。


「避けなきゃ良いんだろ?」


ジャンプしたルイは空中で炎剣を前へ振りかざした。

すると矢は炎剣の熱に耐えきれず燃えカスへと変わった。

ジャンプしたルイはそのままバンの目の前で着地した。


「俺の勝ちだ」


ルイはバンの胸元へ炎剣を振りかざした。

バンは反応しきれず斬撃をくらってしまう。


「ぐわああああ!!」


バンはその場に倒れこんだ。

ルイは剣を背中へしまう。


「お兄様!!!」


リンはバンを心配し、バンの元へ駆け寄った。

バンの胸には斬撃の痕と、炎剣による火傷の痕がある。

バンはショックと痛みで気絶してしまっていた。


「ち、治療しないと!急いで古の女神像の元へ!」

「リン!」

「何ですかルイさん!」

「女神像のとこには連れて行かなくていい」

「何でそんな事言うんですか!?」


リンはバンの症状を見て半分パニック状態だ。


「リン、いつも女神像に訪問者と唱えてる文章をここで言ってみろ」

「え?女神像がないと効果は」

「いいからいいから!バンに向かってな」

「は、はい・・・」


リンは唱え始めた。


「古の女神よ。神から授かりしこの身体に癒しの雫を。ヒール!」


するとリンの体から薄緑の光が漏れ出した。

バンも同じ薄緑の光に包まれる。

数秒しその光が消えると、斬撃の傷も火傷も跡形もなくなっていた。


「え?何で!?」

「見ての通りだリン」

「もしかして・・・」

「そうだ。癒しの力は女神像の力なんかじゃない。お前の力だ」

「そ、そんな・・・」

「長老からリンが訪問者と唱えてる文章を聞いてピンときたよ。ずっと前にその呪文の一小節を魔法書でちらっと見た事があったんだ。回復魔法を使える者は世界でも少数しかいない。回復魔法は努力とかで使えるようになるものじゃなくて生まれもっての素質で決まるんだ。キュアポイント家は先祖様から代々回復魔法を使っていたんだろうな。だからキュアポイントの血をひいてるリンにしか回復魔法が使えなかったんだ。他の物には癒しの巫女の代役はできない訳だな」

「そ、そうだったんですね・・・」

「うん、だから」


ルイは部屋の隅にいる長老の元へ顔を向けた。


「リンは連れてって良いよな?」

「・・・うむ。つまりバンも本当は回復魔法を」

「使えるって事だ。今は気絶してるけど目覚めたら伝えてやってくれよ。これからはお前が癒しの祭壇を守るんだぞって」

「分かった。きっと最初はリンの事を心配するじゃろうがじきに慣れるじゃろうて」

「宜しく。さて、バンが目覚める前においとましないとな!」


ルイがリンの元へと近寄りお姫様抱っこをしようとする。


「ルイさん!も、もう大丈夫です!暗くないし、一人で歩けます!(もうあんなの恥ずかしい・・)」

「あ、そうか。ごめん」


リンは顔を真っ赤にしてからバンの元へ駆け寄った。


「お兄様。今までありがとうございました。私、外の世界へ旅しに行きます。落ち着いたらまた顔を出しに来ます。これから祭壇を宜しくお願いします」


気絶しているバンにそう告げるとリンは立ち上がった。


「長老も今までありがとうございました」

「ああ。気を付けて行ってくるんじゃぞ。いつ帰ってきても良いからな」

「はい!ありがとうございました!行きましょう、ルイさん!」

「ああ!」




ルイとリンは集落の人達に見られると騒ぎになると思い、全速力で集落の外へと出た。

階段を駆け上がり外に出ると外は真っ暗だ。

夜中の森は危ないと判断した二人は出発は次の日の朝にする事にし、祭壇のコンクリートの上で二人で野宿する事にした。

夜空の星を見上げながら会話する二人の声が静かな森の中に響き渡る。



「ルイさん」

「ん?」

「私、これからホントに楽しみです」

「都市に戻ったらケーキ食べような」

「はい、食べたいです!」

「・・・お前が俺の記念すべきギルドの仲間の一人目だ!これから宜しくな」

「はい!私精いっぱい頑張ります」


会話が終わると疲れていたのかルイはすぐさま寝てしまった。



「ルイさん寝ちゃいましたか?」

「・・・」

「私、ルイさんに出会えてホントに良かったです」

「・・・」

「私回復魔法しか使えないから、迷惑かけると思います」

「・・・」

「でもルイさんならきっとで私を守ってくれるって信じてます」

「・・・」

「ルイさん」

「・・・」

「本当にありがとう」

「・・・!」








リンは横向きに寝るルイの背中に体を寄り添った。

リンはそのまますぐ寝てしまった。

ちょっとしてからリンの頭をやさしく撫でてルイはまた就寝するのだった。






次の章は簡単なキャラ詳細となります。

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