表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/38

少女は蝶々になれたらとただ願うだけ -4




「ルイさんですか?」


暗闇の奥の方からリンの声が聞こえる。

天井に見える穴からは光がない。外はもう真っ暗の様だ。

ルイはロウソクを片手に鉄格子の近くへと歩み寄り地べたに座る。

光がない為、いまだにリンの顔がはっきり分からない。浮かび上がるのはロウソクを持ったルイの顔だけだ。


「よっ、ひっさしぶり」

「ふふ、二時間ぶりぐらいですか?」

「真っ暗で何も見えないな。何か照明とかないのか?」

「ごめんなさい、ここにはそういう類の物はないんです。そういえばお兄様には会えたんですか?」

「バンだよな?会ったよ。誘ったんだけど速攻で断られちゃったよ」

「そう・・・でしたか」

「何でお前が凹むんだよ」


リンはシュンとしてしまう。果たしてその態度がルイに申し訳ないという気持ちからなのかは分からない。


「お兄様は一度言い出すとなかなか意見を捻じ曲げません。諦めた方が良いのかも」

「ああ、そのつもりだよ。だから最後にリンに別れを告げに来たんだ」

「・・・そうですか。お力になれなくて申し訳ないです」

「良いんだ。こんなのこれから先いっぱいあるだろうから。それより」


ルイは奥のぼんやりと見える女神像を指差した。


「それが古の女神像ってやつ?」

「そうです。その様子だと女神像の話聞いたんですね?この像が人々に癒しを与えてくれるんです。私が母に代わってずっとお守りしてます」


ルイはぼんやりと浮かぶ女神像をじーっと見ていた。


(ふーん・・・この像にそんな力がねぇ)


「ルイさん飴ありがとうございます。この二時間の間に半分ぐらい食べちゃいました」

「凄い勢いだな」


ルイは少し笑う。


「(恥ずかしい・・・!)あ、あの!こういう食べ物が外にはいっぱいあるんですか?」

「ああもちろん!他にもおいしい果物とかケーキとかいっぱいあるぜ」

「わぁ、食べてみたいです」

「またここに来る事があったら持ってきてやるよ」

「ホントですか!?」

「いつになるか分からないけどな。1か月後か、1年後か、はたまた10年後か」

「そ、そうですよね・・・」


リンはまたシュンとしてしまう。


「ロウソクがそろそろ無くなってしまいそうですね」

「そうだな」

「ルイさん、ギルド作り頑張ってください。私は遠い所からずっと応援してます」

「・・・ああ。またいつか」

「・・・また・・・・・いつか」


ルイは立ち上がり振り返る。

そして元来た道を戻り始める。

リンも立ち上がりルイの帰っていく姿を寂しげな、悲しげな顔で見つめる。




そして10歩程歩いたとこでルイが立ち止まった。









「リン!」


「は、はい!?」

「ホントに行っちまうぞ!良いんだな!?」

「そ、それってどういう」

「行っちまうぞー!!良いんだなーー?」











ルイの言葉にリンは驚いた。

だがその言葉がリンの心の中につっかえていた物をとっぱらった。


「わ、私!」


リンが涙声で声を上げた。

ルイは振り返る。


「私、生まれた時からオツトメの為とこの暗い部屋で母に育てられてきました!」


「うん」


「だから外の世界を知りません!」


「うん」


「私、外の世界を見てみたい!色んな事を知りたい!ルイさんの言ってたケーキの味も知りたいです!」


「うん」


「でも、この古の女神像の癒しを求めて訪れてくる人がいます!その人に対し加護をもたらす事ができるのは、女に生まれ、キュアポイントの血をひく私しかこのオツトメはできません!」


「うん」


「でもやっぱり私はこの中で一生過ごすのなんて嫌です!ケガや難病の方達には申し訳ないし、自分勝手な気持ちなのかもしれない。でもルイさんと出会ったのが一生で最後のチャンスなんじゃないかと今私は思っています!」


「うん、それで?」


「そ、それでって?」


「それでどうして欲しい?」


「ル、ルイさん、私・・・」


「うん?」


「私のオツトメで救われる命があるのは分かってます。それでも・・・それでも私はここから外に出たいです!どうしたら良いんでしょうか!?助けてください!ルイさん!」






「分かった」




ルイはそういうと鉄格子の前まで戻り、ロウソクを投げ捨て青色の剣を構えた。


「リン、ちょっと後ろに下がってろ。プロミネンスソード」


ルイは炎を剣に纏わせ、鉄格子に斬撃を繰り出した。

すると鉄格子にぽっかり大きな穴が開いた。


「す、凄い・・・」


ルイは鉄格子の中に入ると剣をしまった。

当たりが真っ暗になってしまった。


「リン!」

「は、はい!?」

「そっちか」


ルイは声を頼りにリンの方へ近づく。


「ひゃん!」

「ん?何か触った?」

「ル、ルイさん・・・そ、その・・・私の胸触ってます」


ルイはリンの胸を掴んでしまっていた。


「ご、ごめん!暗くてよく見えなくて・・・もうめんどくせ!」

「え、な・・・ひ、ひゃっ!(こ、これって、お姫様だっこ~~!!?)」

「よし、リン行くぞ!」





ルイは古の女神像を部屋に残し、リンをお姫様だっこして元来た道を走り始めた。


ルイとリンの脱走劇が今始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ