幕開け5
そんな馬鹿なことをやってる間に、授業が終わる。
…気になる事は勿論ある。
いつ、僕は授業を受けていたのか。
記憶があるのは朝、りこが迎えに来て一緒に登校する前だ。
ならば話は早い。
りこに聞けば良いのだ。
僕は今日、いつも通り登校したのか。
しかし同じクラスのりこは教室内には見当たらない。
…おかしいな。
トイレにでも言ってるのだろうか??
『なあ、カイト。りこ見なかったか…??』
『…はあ??何言ってんだ鏡也??りこって誰だよ??』
『…え!?』
何を言ってるんだ??
冗談にしては、面白くない。
『お前こそ何言ってんだよ!?幼馴染の上星りこだよ!!』
『…お前、大丈夫か!?まだ夢でも見てるんじゃないか??』
『…!?』
おかしい…。
カイトはこんな冗談を言う人間ではない。
これは夢なのか…!?
不安になる。
何かとんでもない状況に巻き込まれているような…。
慌てて、クラスの出席簿を確認する。
…居ない。
上星りこという人間は存在していない。
その後もクラスメートに聞きまわったが、帰ってきた答えは全て同じ。
『そんな人間はいない』
…嘘だろ!?
これは夢ではないかと、頬をつねってみても、得られるのは現実の痛み。
分からない。
何故りこが存在していないことになっているのか。
…考えられることはただ一つ。
少女の居た場所。
時間の果てとか言う場所だ。
あの場所に行ってからおかしくなってしまったんだ…。
もう一度行かないと。
何がどうなっているかたしかめないと…!!
『あ~今日も雪かよ~!!ここの所毎日じゃないか!!』
クラスメートの声が聞こえる。
…雪!?
そんな馬鹿な…。
窓の外を見る。
そこにには銀色の世界が広がっていた…。