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真夏の雪  作者: Than Nen
幕開け
10/23

幕開け8

『そんな馬鹿な…』




目の前には幼馴染の家は無く、古ぼけた神社があった。



夢でも見ていた方がまだ、良い。


だが間違いなく、現実だ。



状況を理解するのはこの時点では不可能だと実感した。



『この世界は現実の世界とはリンクしていないのか!?』



おかしい点はいくつかある。


まずは、この神社だ。


僕が知る限り、神降町には神降神社しかないはずだ。


もしこの神社が神降神社だとして、場所が違う。


そして、現実世界ではこの場所は上星りこ一家の家だ。



その上星りこがこの世界では居ない。


存在そのものが無い。


この場所に家がないと言う事は、おじさんもおばさんもいないのだろう…。



…ん??おじさんとおばさん??


何か引っかかるな…。


まあ、今は状況を整理するのに集中しよう…。



そして冷たくもない【雪】だ。


これは意味が分からない。


何故雪が降っていて、それは冷たくないのか!?



なんとなく、りこが関係しているのは分かったけど…。


考えても分かるはずもない。


なら、少しでも情報を集めよう。



神社の鳥居をくぐり、辺りを見回してみた。


そこは人気が全くなく、木が腐った賽銭箱が印象的だった。



神社を一周見て回ったが、特に手がかりはなかった。


…結局、ここには何もないか。



そう思い、諦めた時だった。


目の前に大きな木があるのが分かった。




『…この木何処かで見たことあるな。何処で…!?そう…あれは…』




思い出せそうで、思い出せない。


何かその情報がある引き出しを開けようとすると、鍵が掛かっているような…。




『…余計に疑問が出来てしまった』




そんなことを考えていると、ふと神社の名前が見えた。




『えっと…何々…』




神社の名前は汚れていて、初見では読めなかった。


その汚れを拭いてやると、ぼんやりと読めるようになった。




『…上?…上星…神社??…上星神社!!』




そこに書いてあったのは上星神社。つまり幼馴染と同じ名前が付けられた神社だった…。

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