第1話 無能と追放された直後、呪いの装備が外れて神スキル覚醒。〜ただのトカゲ(災厄の竜)を瞬殺したら、エルフの王女様に崇拝されました〜
初めまして!
「追放からの大逆転」「無自覚無双」「可愛いヒロインからの全肯定」をギュッと詰め込んだ、ストレスフリーな王道ファンタジーです!
全10話完結でサクッと読めますので、ぜひ最後までお付き合いください!
「アレン。お前は今日限りでこのSランクパーティー【白銀の剣】から追放だ。さっさと薄汚い荷物をまとめて出ていってくれ」
王都で最も高級な宿屋のスイートルーム。
ふかふかのソファに深々と腰掛けた勇者であり、俺の幼馴染でもあるザックが、まるで道端のゴミでも見るかのような冷たい視線を俺に向けて言い放った。
「……追放、って。急にどういうことだ、ザック? 俺はパーティーのサポートや裏方を全部一人で回してきたはずだぞ」
「はっ! サポートだと? 笑わせるなよ、この無能が!」
ザックはテーブルをバンッと叩き、立ち上がった。
その背後では、パーティーメンバーである賢者の女と、聖女の女がクスクスと嘲笑を浮かべている。
「お前のスキル『素材付与』なんて、武器に少しばかり耐久度をプラスするだけの底辺スキルだろうが! 俺たちのような国境を越えるSランクパーティーには、もうお前のような荷物持ち兼、役立たずの雑用係は必要ないんだよ! むしろ、お前がパーティーの平均レベルを下げているせいで、俺の『勇者』としての名声に傷がついているんだ!」
賢者の女が髪をかき上げながら追従する。
「そうよ。戦闘になれば後ろで震えているだけの分際で、報酬だけは一丁前に等分だなんて厚かましいにも程があるわ」
聖女も冷たい声で言い放つ。
「あなたから滲み出る底辺のオーラで、私の神聖な魔力が穢れてしまいそうですわ。早く視界から消えてくださらない?」
……なるほど、そういうことか。
俺は内心で深くため息をついた。
俺のスキル『素材付与』は、確かに見栄えの良い魔法じゃない。だが、俺は彼らの武器や防具に「絶対破壊無効」「常時回復」「全属性耐性」といった規格外の隠し効果を付与し、さらに毎日の食事には「疲労完全回復」のエンチャントをかけ、彼らが寝ている間は「絶対結界」を張って野営を守ってきた。
彼らがこれまで無傷で強敵を倒してこられたのは、俺の過剰なまでのバックアップがあったからなのだが……どうやら、彼らはそれを「自分たちの実力」だと完全に勘違いしてしまったらしい。
まあいい。これ以上、この傲慢な連中に付き合ってすり減るのも御免だ。
「わかった。今まで世話になったな。……ああ、最後にこれだけは返してもらうぞ」
俺はザックたちに渡していた『パーティーの証』である指輪を取り上げることはしなかった。ただ、俺自身の胸元で光っていた、ザックから「これを着けていればパーティーの絆が深まる」と渡されていた安物のペンダントを引きちぎり、テーブルに放り投げた。
「なんだ、そんなゴミ。さっさと出ていけ!」
ザックの罵声を背に、俺は部屋を後にした。
その瞬間だった。
――パリンッ!
脳内で何かが砕け散るような音がした。
それと同時に、俺の体の奥底から、信じられないほどの膨大な魔力がマグマのように噴き出してきたのだ。
『個体名アレンの魔力制限具(寄生型)の解除を確認』
『制限により封印されていた本来のスキル【万物創造】および【即死魔法】を完全解放します』
「……は?」
脳内に響いた無機質なアナウンスに、俺は思わず足を止めた。
魔力制限具? 寄生型?
……もしかして、あのザックが渡してきたペンダント、俺の魔力を吸い取ってザックのステータスに還元する呪いのアイテムだったのか!?
だとしたら、俺の本来のスキルは『素材付与』なんかじゃない。
【万物創造】――想像したものを文字通り「無から有へと創り出す」神の御業。
【即死魔法】――いかなる耐性も無視して、対象の命を問答無用で刈り取る究極の魔法。
「なんだこれ……俺、とんでもない力を抑え込まれてたのか?」
だが、不思議と怒りは湧いてこなかった。むしろ、あの息苦しいパーティーから解放され、本当の自由と力を手に入れたという事実が、俺の心を晴れやかにしていた。
「よし、王都を出よう。これからは誰にも縛られず、自由に生きてやる!」
◇◆◇
王都を離れ、適当に歩を進めていた俺は、気がつけば鬱蒼とした森の中を歩いていた。
ここは『絶望の深淵』と呼ばれる、Sランク冒険者すら生還が絶望視される魔境なのだが……ステータスがバグレベルに跳ね上がっている今の俺にとっては、ただの近所の公園にしか感じられなかった。
「キャアアアアアアアアアアッ!!」
突如、木々の向こうから悲鳴が響き渡った。
駆けつけてみると、そこには信じられない光景が広がっていた。
全長30メートルはあろうかという、漆黒の鱗に覆われた巨大な竜。
周囲の木々を薙ぎ倒し、口から漏れる瘴気だけで地面を腐らせるその怪物は、伝説に語られる災厄の魔物『カラミティ・ドラゴン』だった。
そして、その圧倒的な暴力の前にへたり込んでいるのは、透き通るような銀糸の髪と、宝石のように輝くサファイアの瞳を持った、絶世の美少女。
豪華なドレスを身に纏い、尖った耳を持つ彼女は、おそらくエルフの高位貴族だろう。
「ああっ……神様……!」
少女は絶望に顔を歪め、死を覚悟してギュッと目を閉じた。
カラミティ・ドラゴンが、その巨大な顎を開き、少女を丸呑みにしようと牙を剥く。
「おっと、危ない危ない」
俺は軽やかなステップでドラゴンの眼前に割り込むと、少女の前に立ち塞がった。
「なっ……!? あなたは!? 逃げてください、それはSランク指定の厄災指定魔物です! あなたまで食べられて――」
「Sランク? こいつが?」
俺は首を傾げた。
どう見ても、ただの少し大きいトカゲにしか見えないのだが。
まあいい、とりあえず彼女を助けるのが先だ。
俺は新たに覚醒したスキルを試してみることにした。
右手を軽く前に出し、指先をカラミティ・ドラゴンに向ける。
唱える言葉は、ごくシンプルに。
「【即死】」
パチンッ、と。
俺が指を鳴らした瞬間だった。
――ズガアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!
カラミティ・ドラゴンの巨体が、ピタリと動きを止めた。
次の瞬間、一切の前触れもなく、その漆黒の巨躯がサラサラと音を立てて塵のように崩れ去り、一陣の風と共に虚空へと消滅してしまったのだ。
断末魔すら上げる隙を与えない、完全なる「死」の具現化。
後に残されたのは、ぽっかりと空いた森の空間と、呆然とへたり込む銀髪の美少女だけだった。
「うーん……ちょっと出力が高すぎたかな? ただのトカゲを追い払うだけのつもりだったんだけど」
「と、トカゲ……? あ、あれを……たった指先一つで……?」
少女は信じられないものを見るような目で、俺を……いや、俺の存在そのものを仰ぎ見ていた。
「え、俺また何かやっちゃいました?」
俺が頭を掻きながら尋ねると、少女はハッと我に返り、ふらつく足で立ち上がった。
そして、泥で汚れるのも構わず、俺の目の前で深々と、それはもう美しく平伏したのだ。
「あ、ありがとうございます……! 私はエルフの国を統べる王女、シルフィアと申します。まさか、伝説に名を残す『神の使い』様にお助けいただけるとは……!」
「えっ? 神の使い? いやいや、俺はただパーティーをクビになったばかりの、無職の元雑用係なんだけど……」
「ご謙遜を! あのカラミティ・ドラゴンを瞬殺する御方など、この世界のどこを探してもおりません! ああっ、なんと神々しく、なんと慈愛に満ちた御力なのでしょう! どうか、どうかこのシルフィアを、貴方様の専属の従者として生涯お仕えさせてくださいませ!」
「えええええ!?」
目をキラキラと輝かせ、俺の手を両手でギュッと握りしめてくる絶世の美少女。
その豊満な胸が俺の腕に密着し、甘い香りが鼻腔をくすぐる。
なんだこの展開。ついさっきまで「無能」と罵られてどん底だったのに、いきなり美少女のお姫様から全肯定されて大絶賛されているんだが。
――こうして、理不尽に追放された俺の、最強スキルと最高に可愛いヒロインに甘やかされる、ストレスフリーな無双スローライフの幕が上がったのだった。
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