第39話 花畑の秘密
~小さな魔法とひみつの花~
七海は森の奥の小道を歩いていた。
足元には小さな野花が咲き乱れ、風に揺れるたびに淡い香りが漂う。
「ふぁぁ……なんていい匂い……」
思わず立ち止まって深呼吸をすると、ひときわ鮮やかな青い花が目に留まった。
「こんな色の花、初めて見たなぁ」
七海が手を伸ばすと、突然、花畑の奥から小さな羽音が聞こえた。
振り返ると、森の妖精のような小さな小悪魔が、花の上にちょこんと座っていた。
「……また君か」七海は笑う。
小悪魔はツンとすましているが、目がきらきらしている。
「ここは私の秘密の花畑。勝手に摘むなら、ちょっとだけ試練だぞ」
小悪魔の試練は、ちょっと不思議なものだった。
• 花の香りで目を閉じて、風に乗ってくる音だけで花の位置を当てる
• 花びらの色を名前で呼び分ける
• 小悪魔の小さな魔法の光を追いかけて花を摘む
七海はくすっと笑いながら挑戦する。
「……難しいけど、楽しいかも」
小悪魔はツンとしつつも、七海が花を摘むたびに小さく拍手した。
最後に七海が摘んだ青い花を手にすると、小悪魔が杖をひとふり。
花びらが柔らかく光り、手の中でほんのり暖かくなる。
「……不思議……でも、なんだか癒される」七海は笑顔になる。
小悪魔もふわりと羽を広げ、満足そうに空を見上げた。
「この花畑の秘密は、特別な時間を楽しむことだ」
七海はうなずく。
「うん、わかった。だから秘密なんだね」
夕暮れ、森に優しい光が差し込む中、二人は花畑で静かに過ごした。
小さな魔法と秘密のひとときは、今日もそっと心に残った。




