33/92
第33話 洗濯物合唱団
~風に揺れる合唱団~
川沿いに宿を建てた七海は、道具箱から洗濯かごを取り出した。
「よし、今日は洗濯デー!」
川の水で服やタオルを洗い、さっぱり気分で物干し竿に並べる。
風が吹くと、洗濯物たちが気持ちよさそうに揺れ――
「ラ~ララ~♪ 洗いたて最高~♪」
七海の動きが止まる。
「……いま歌った?」
「お~れは~シャツ! 白さが命!♪」
「スカートのひらひら~風に舞う~♪」
「タオルはさっぱり水を吸うぅぅ~♪」
まるで合唱団。洗濯物たちが勝手にハーモニーを奏でている。
「いやいやいや、静かに乾いてくれればそれでいいんだけど!」
しかし洗濯物たちは完全にノリノリで、声を合わせてコーラス。
高音パートは靴下、低音パートは厚手の毛布、タオルはリズム隊としてビートを刻んでいる。
七海はソファに腰かけ、紅茶を飲みながらため息。
「……まあ、勝手に楽しそうならいいか。私、ただの観客だし」
気づけば風は心地よく、歌声は妙に癖になる。
結局、七海は夕方まで「洗濯物ライブ」を堪能することになった。




