第22話 村の猫が全員哲学者になった!?
~にゃんにゃん哲学講座~
七海は石畳の通りを、ぶらぶら散歩していた。
「ふぁぁ……今日はいい天気だなぁ。こういう日は甘いお茶とおやつでのんびりしたい……」
そんな独り言をこぼした瞬間、道端に座っていた猫がじっと七海を見上げてきた。
そして、ひとこと。
「人はなぜ、空腹を満たしたときに幸せを感じるのだろうか」
「……えっ?」
七海は足を止め、目を瞬いた。
猫は真顔でこちらを見つめている。
その後ろから、別の猫が屋根の上から声をかけてきた。
「存在とは、撫でられることか」
「……いやいやいや、待って。なんでそんな急に哲学モード入ってるの?」
七海が慌てるうちに、通りのあちこちから猫たちが集まりだした。
井戸のふちの猫が「永遠とは、毛玉が尽きぬことか」
子猫が「世界に意味はあるの?」
と口々に問いかけてくる。
近くにいた村人たちは大騒ぎだ。
「やばい! 猫が賢すぎる!」「うちのミケが急に難しいこと言いだしたんだ!」
七海は頭をかかえた。
「えっと……まぁ、考えること自体は悪くないんじゃないですか?」
そう言って腰を下ろすと、自然と猫たちの輪の中に組み込まれてしまった。
次の議題は「お昼寝は時間の浪費か、それとも最高の投資か?」
七海は真剣にうなずく。
「いや、それ完全に投資ですよ。経験者は語ります」
猫たちは「ほぅ……」「なるほど」と深くうなずいた。
――そして夕方。
長い議論の末、猫たちは一斉に立ち上がり、声を揃えた。
「答えは、昼寝にあり」
そのまま、通りの石畳にごろんと横になって一斉に寝始める。
通りの真ん中に転がる猫の群れ。
すでに哲学講座どころではなく、ただの集団昼寝大会だった。
七海は思わず笑って、その隣にごろんと横になる。
「やっぱり寝るのが一番ですよね」
猫たちと並んで、ふわりと目を閉じる。
あたりに漂うのは、夕暮れの光と、柔らかな寝息。
――翌朝。
通りの入り口に、「にゃん哲学講座」と書かれた看板が立てられていた。
村人たちは首をかしげつつも、「新名物か?」と真顔で受け止めていた。
七海は看板を見て頭を抱える。
「いや……ただのお昼寝サークルですから!」




